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1話 プロローグ
苦しい。
水が、気道を塞いで、せめて融通の効く左足で必死になんとかしようとするが酸素の足りなくなった体は言うことをきかない。力が入らなくなって、頭もぼーっとしてきて、酸素を求めているのに酸素が無い。
日が射し込むおだやかな水はさっきまで綺麗な澄んだ水色だったのに、だんだん濁ってまばたきすらできない私の目を黒く染めていく。
ああ、魚だったらよかったのになぁ。そしたら呼吸、できるのに。
苦しいよ……助けてよラスティ……まだ私、生きたいよ……それに好きって、言ってない……!
どうしようもなく辛くって、力のない自分が恨めしくって、息ができないはずの鼻がツーンとした。涙が出たような気もするけど確かめる術がない。
許さない。私たちを貶めた人を、私は許さない。
愛する人と私を引き離した人を、私は許さない。
ああ神様。
どうか私にもう一度、幸せになるチャンスをください。どうか、報われなかった私に、それに見合うだけの幸せを――
しばらく短文が続きます。すみません……。