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第10話 お母さんの過去2

優奈さんはお母さんの話を聞いていながら泣いていた。

頑張って泣かないように必死に顔を強張らせているが、涙がポロポロでていた。

私も泣く所だった。でも、ここで泣いたらバレるし、それに絶対泣かないって決めてたから、

・・・・・・・・泣かなかった。


〔お姉ちゃん、大丈夫!?〕

お母さんはもう吹っ切れた感じ。。。というのも変だが、妙に顔が晴ればれとしていた。

それは、きっと今までお母さんが一番苦労していたから。。。だと思う。

これまでにきっといっぱい涙を流したんだと思う。


・・・・お母さんが一番、大変だったんだと思う。


「大丈夫よ。続けてちょうだい。」

優奈さんは止まらない涙を必死にぬぐいながら、言った。

〔分かったわ。電話の内容とは、亜美のお母さんからの電話だった。

その内容とは・・・つまり・・・・単刀直入に言うと、、、、〕

お母さんはやっぱりためらっているみたいで、どこか様子が変だった。

〔言うわ。亜美のお母さんはもしよければ私に一輝を引き取ってくれないか?って

聞いてきたの。

私はもちろん、結婚もしているし、それに自信もありませんって言って、申し訳ないけど

無理です。って1回目は断ったの。

でもね、毎日毎日そのお願いの電話がかかってきて

『お願いよ。施設には行かせたくないの。優子ちゃんだけが頼りなのよ。

養子として。。。優子ちゃんとこ、子供まだいないでしょう!?

亜美の願いを聞いてやって欲しいの・・・・。

本当に迷惑だっていうのは承知しているわ。でも、、でもね

亜美は絶対に施設には行かせたくないって生前も言っててね。

私達、亜美の願いさえも叶えてあげられない親で終わりたくないの・・・・・。

私達のただのプライドかもしれない・・・・。けれど、一輝は一輝は。。。ひっく・・』

ってしまいには泣き出してきちゃって・・・・・

私、亜美のお母さんの気持ちは充分に分かったし、でも夫になんて言おうか、、絶対に

無理だし。。。だから、余計に迷ったの・・・・。

亜美の気持ちは分かってたから、お母さんの気持ちもすっごく分かって・・・

自分の子として育てられるか不安で不安で・・・・・仕方がなかったわ。


・・・・結局、一輝は討論の末、引き取ることなったの!!・・・・・・


夫に、両親に、亜美の母に、何回も相談して決めたこと。。。

夫はきちんと育てようって言ってくれたけど、内心は嫌だったと思うわ。

こっちの都合で、はじめの子供が養子なんて、普通では考えられないもの・・・

私は育てられるか不安で不安で。。。。。。。


夫にも悪いって思ったけど、結局引き取った。

それまでに何回もケンカしたし、何回も反対されて泣いた日もあったわ。


         ”一輝を引き取りたい”


そう思ったことを後押ししてくれる一言は亜美のお母さんからだった。

『一輝は亜美の命でもあるの』

ってね。私、思わず泣き出しちゃって・・・・・

1つの命に2人の命が宿っているんだなぁって思って・・・・。

お姉ちゃん、ごめんね。相談できなくて、、、、

勇気なくって・・・・・・

ホント、ごめん。。。。。

私、一輝を救ってあげたくて。。。。。

子供に何も罪はないわ。だから、私育てたいって思った。。。

亜美の、一輝の、役に立ちたいって思った。

亜美のお母さんの言葉に押された感じかなぁ。。。。

でも、そう簡単なことじゃないでしょ!?だから、悩んだし・・・

不安になったし。。。とまぁ、色んなことが起きた・・・〕

お兄ちゃんはこんなにも思われていたんだなぁ。。。。と思った。

養子だけど、それを越える『愛』というものを私はその時感じた。

「優子、がんばったわね・・・。私、ごめんね・・・・。

でも、こんなことになっちゃうなんて。。。。」

優奈さんは今の深刻さに改めて築いたのか、もっと泣き出した。


気持ちは痛いほど分かる。


お母さんは、数分ボーっとしていたが急に悲しさがこみ上げてきたのか、

もらい泣きしたのか、泣き出した。

大地もじぃっと大人しく泣いていた。


私はどんな現実が待っていようと、泣かないって決めていた。

泣かない・・・・と。

だから、踏ん張った。頑張った。


でも、養子ってことに不思議と違和感はなかった。

だって、お兄ちゃんはお兄ちゃんなんだもん。

血が繋がっていろうとなかろうと、お兄ちゃんであることは変わりない。

私はそのことを言ってくれなかったお母さんを憎いなんて思わなかったが、

『すごい』と思った。


子供を騙している気分になったであろう。

自分に嫌気がさした時もあったであろう。


だから、私はただ単純に『すごい』と思えた。


お兄ちゃんが養子であることよりも、そっちのほうが私にとって

驚いたことである。


お母さんの過去・・・・

私が知らないことたくさんあったなぁ。。。。。


人生って幸せなことばっかじゃない・・・。

お母さんは色んな壁にブチ当たって強くなったんだ。


今までのことを整理すると、親友の子をお父さんが殺したってことになるよね・・・・。

なんて複雑で、なんて信じがたい真実なんだろう。。。

お母さんはまたさらなる厚い厚い高い高い壁にブチ当たってしまったんだ。


明日なんてやってこなければいいのに・・・・・。


そうすれば、永遠に幸せはやってこない。でも、不幸だってやってこないではないか。


私は、人生の道を歩みたいとは思わない。思えない。


・・・・それでも、私の未来は無限大だ。




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