第9話 お母さんの過去
「・・・・どういうことなの!?説明して!!」
優奈さんがお母さんに向かってそう言っている。
私は震えている足をやっとの思いで動かして、ふすまに隠れて見た。
「お母さん、おばさんやめて。。。。。お願いだよぅ。。。」
大地は泣き崩れていた。とても頑張っていた。見ていて苦しくなるほどに。。。
〔大地。。。。。ごめんね、でも話さなくてはいけないことなの・・・・大地も聞いていて〕
お母さんはそう言うと私達兄弟には最も信じがたい真実を打ち明けた。
〔何年前だったかしら、、、私は親友の亜美と楽しく高校生活を楽しく送っていたわ。
お姉ちゃんも知っていたみたいにね・・・・・。
高校3年生になって数ヶ月たったある日、亜美は妊娠していたことがわかったの。でも、
それと同時に亜美は癌だったことも分かったの。。。〕
「私も知ってるわ。亜美ちゃんのことは。。。。。家によく遊びに来ていたもんね。」
〔えぇ。亜美は子供ができたことにとても嬉しいって喜んでいたわ。
当時の亜美は高校3年生と早く妊娠してしまったけど、交際相手は成人していたし
両親も安心だということで、妊娠は許可されたの。。。
でも、亜美は癌だった。それはまぎれもない現実で。。。
亜美は自分が死ぬって分かっていたんでしょうね・・・・・。
{優子。私、たぶんこの世から消えることになると思う。でも、この子だけは絶対に産みたいの。
夫には言いにくくて。。。この子の名は、以前から私が付けたいって言ってたんだけど
決めたの!『一輝』よ。一生、輝ける子。夫にも名前のことは言っておくけどね^^
癌とはまぁ、知っているみたいだけど。。。。私がいなくなることは分かってないと思うから。
優子、一輝は夫に立派に育ててくれるよう私がいなくなったら言って。
私からもさりげなくは言うけれど}と亜美は私に託した。
亜美は立派に男の子を産んだわ。奇跡だと医師の人たちは言ってた。
でも、亜美は男の子に命を捧げてこの世からいなくなってしまった。。。
私は分かっていたと言えども悲しくて涙がもうでないってくらい出て、、本当に
悲しかったわ。でも、それ以上に旦那さんはダメージが大きくて
現実逃避してしまって、、、彼は自殺をしてしまった・・・。〕
お母さんの過去はひどく残酷で、でも温かみはあって。。。不思議な気持ちになった。
お母さんの過去・・・いやその亜美さんは一番悔しかったんだと思う。
亜美さんがお母さんに託す時の気持ちが痛いほど伝わってくるような気がして
ならなかった。
「そうだったの。。。亜美ちゃんが・・・・。優子、相談も何もしてくれなかったじゃない
・・・。辛かったんでしょう・・。」
優奈さんは、自分を責めるように歯を噛み締めて言った。
〔うん。ごめんね、お姉ちゃん。でも、その頃の私は誰かに相談できるほど
強くはなかったんだよ・・・・・・。。。
・・・・・それで、一輝の親は誰一人としていなくて亜美の両親が育てるみたいな
話もでたんだけど老人2人にはそれが大変だったみたいなの。
その当時、私は結婚を約束した人がいたわ。そう、大地達のお父さん。私は一輝のことを放っておけなかったけど、高校を卒業したら結婚するつもりだったから、
一輝には触れないようにしてた。。。辛かったけれど。。。。
その1年後、私達はめでたく結婚することができたわ。
一輝はその頃どこで何しているんだか私は知る由もなかった・・・。
新婚生活1週間がたったある日、ある一件の電話がかかって
きてね。。。。その電話は後に私の人生を左右するものとなったわ。〕
「優子、ごめんね・・・・。こんな頼りないお姉ちゃんで・・・・
何もきずいてあげられなかったたなんて・・・
情けないわ・・・・」
優奈さんは顔をひきつらせていた。
私にも優奈さんの思いがひしひしと伝わってきた・・・・・。
その電話の内容は私もビックリするほどだった。。。
・・・お母さんって強いなぁと思ったのはそれから何年かたった後だった・・・。
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