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ミスリル  作者: 紺野 柚季
本編
8/14

7:14年目・18歳

負けた。

負けた。負けた。負けた。

一つの掠り傷すら負わせることも出来ず、あっさりと、簡単に、組み伏せられた。


イノリアは、知っていたのか。

あいつが一番になる事を。

大丈夫だと言ったその口で、作っていた笑みは、俺を嗤うものだったのか。


違うとは分かっていても、思考は延々と無限にループする。

どろどろとした行先の無い思いは凝り固まり、黒々とした塊になって心を押し潰そうと重量を増していくから、だから。


「……お前には分からない」


口が勝手に言葉を紡いでいく。

思っていない。

俺はそんなこと、思っていない。

……思っていない、はず、なのに。


「こんな、山奥で! しかも四六時中工房に閉じこもって、誰ともかかわろうとしない! そんなお前には、分からないだろ!!」


次々と発せられる言葉は、イノリアを傷つけようとする意志が明確に窺える。

思っていない、考えていない事を、言える訳がない。

だとすると、これは俺が思っていた事?

こんな、こんな事を。

イノリア、に?


「優しいものにばかり包まれて、人の悪意に触れた事はあるか? 傷付けられた事は? 傷ついた事は? 無いよな、だって、お前、いつもへらへら笑ってるんだもんなあ!」


ああ、やめろ。

やめてくれ。

お願いだから。

もうこれ以上は――


「……お前を信じてた、俺が馬鹿だったよ」


馬鹿は確かに俺だ。

信じてたんじゃない、依存していたんだろうに。

よくもそんな事をぬけぬけと。


最初から最後まで裏切ってくれた自分自身の体を、無理矢理動かして、工房を飛び出す。

これ以上顔を合わせているなんて出来なかった。

これ以上、酷い言葉を投げかけるなんてしたくなかった。

結局のところ、それは全て、逃げでしかないのだけど。



最後の最後、終始驚いたように目を見開いていたイノリアの目が、何かで揺れたように感じた。

それを確認する事は、きっと二度とないだろう。

後二つで本編終わりです。

語彙の豊富な口喧嘩をしたことが無い&眠いせいで、物凄くちゃちな台詞の喧嘩となっております。

喧嘩っていうか、ロニーが一方的にいちゃもん付けているだけですね、これ。

良いのかこれが主人公で。


計画性って大事ですね、次回気を付けます。

とりあえずどうあがいても間に合いそうにないので、EXは完結設定後、ちまちまと投下します。

元が蛇足なので、お許しくださいませ。



2014/01/23 投稿

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