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ミスリル  作者: 紺野 柚季
本編
1/14

0:関係ない人達の会話

0は会話文のみです。



全10話+EX2話予定。

「――ミスリル?」


「うん。知ってる?」


「知ってるも何も……稀少金属でしょ? あの、馬鹿みたいに高価な」


「そうだけど、そっちじゃなくて。御伽噺の方。奇跡を起こす、神秘の宝石」


「あぁ、あの童話の。で? いきなり何でそんな話?」


「ふっふっふー、よくぞ訊いてくれました!」


「やっぱいいわ。答えんな」


「まぁまぁ。実はだね、最近、巷で気になる噂がありまして」


「聞けよ」


「なんと!」


「おい」


「先月、ここの領主の息子が遠征先の遺跡で、ミスリルを見つけたんだって!」


「へー、そう。あ、すみません。アップルパイとガトーショコラを一つずつ。あと、ココアも」


「かしこまりました」


「ちょっちょちょっと!」


「何?」


「ちゃんと聞いてよ……」


「お前に言われたく無いんだけど……」


「聞いてよ……」


「うぜえ……」


「……」


「あー、はいはい、で、続きは? ほら、聞いてやるから」


「聞きたい?」


「いや別に」


「そっかそっかー、そんなに聞きたいのかー」


「うわどうしよう、本当にうざい」


「その見つけたらしいミスリルなんだがね、今月、競売にかけられるらしいのだよ」


「はーん、そう、どうでもいい」


「いやいやいや、どうでもよくないでしょ! ないから! ないよね!?」


「えー」


「えー、って!」


「いや、だってさぁ、仕方ない……仕方ない? あー、んん、やっぱどうでも良いし」


「なんでさ! 気になるじゃんかー」


「どこが?」


「どうしてそんな珍しい貴重なものを売っちゃうのか!」


「でかすぎて邪魔なんじゃない?」


「そんなにでかくないでしょ、宝石なんだから」


「……あー、そうだねー」


「え、何、何なのその反応! 何か知ってんの!?」


「いや、知らないよ。うん、知らない知らない」


「うわ、怪しい……!!」


「! あんたにもその位は分かるんだ……」


「酷っ!」


「あれ、私優しいよね」


「どこが!?」


「は?」


「すっごい優しいです!」


「ね。…………あのさ、諦めな。あんたにはどうせ使えない。手に入れたって、何にもならない」


「え」


「いや、あんただけじゃないか。……だから? なら、元あった所に戻せば良いのに」


「ちょ、何のはな、っていうかどういう意味?」


「お待たせ致しました。アップルパイとガトーショコラ、ココアでございます」


「はい、私です」


「ごゆっくりどうぞ」


「ありがとうございます。……あー、うま」


「無視!?」


「ちょっと、うるさいよ。静かにしなよ、迷惑でしょ」


「ぐっ……い、今更……」


「今更でも大切な事なので」


「うー……」


「しょうがないな、分けてあげるから元気出せ、ほら。静かにな」


「難題だ……でもありがとう……」

冬童話2014

参加作品


冷たく硬い。



2013/12/23 投稿

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