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■八時〇〇分

登場人物:キリ、ケイカ

「ルディ、聞こえるか?」

 キリは突如見失った由衣の姿を探していた。


『聞こえている。こちらでも状況は把握した』

 キリの耳に男の声が入ってくる。

「合流は後まわしでいいよな?」


『もちろんだ。こちらでも捜索をはじめる。武器の使用許可も降りた。対象に攻撃の意志があるならば、先制攻撃もできる』

「了解。そっちはどこにいるんだ?」


 キリは鞄を下ろすと中から拳銃を取りだす。

『部室だ。こちらもすぐに動く。どうやらソウジ・ガレイ直属の諜報員が動いているようだ』


「セイオーム軍の動きがなかったのはそれが理由か。通りで作戦行動を黙認するわけだ」

『敵襲も考えられる。気をつけろ』

「そっちもな」


 そこで通信が切れる。と同時に正面から気配を感じる。いつの間にかそこには一二歳くらいの少女がいた。

「はじめまして」


 トレーナーに動きやすいミニスカート。髪は後ろでくくってポニーテールにしている。いかにも快活そうな印象だ。

(結構可愛いかも)


 不謹慎だろうが、そう思うことは制御できない。

「……惚れた?」


 少女は自信ありげにふふんと笑いながら胸を張る。

「一目惚れはさすがにないだろ。それよりここは関係者以外立ち入り禁止のはずだ。……どうやってここに入った?」


 キリは少女に躊躇いなく銃口を向ける。

「ご挨拶ね。私はヨリミズ・ケイカ。ま、あなたの予想通りセイオームのまわし者よ。私が名乗ったんだから、あなたも名乗るべきじゃない?」


 少女は臆す様子もなく逆に名乗って、こちらの名前を聞いてくる始末だ。自信があるのかあるいは度胸なのかキリには判断がつかない。


「ご丁寧にどうも。俺はシキジョウ・キリだ。セイオーム軍第一三独立部隊所属している。武器を持っているなら放棄しろ。いまなら降伏に応じる」

「武器なんてありはしないわ」


 少女は右手親指と人差し指を弾くと同時にキリは拳銃を持つ手に重みを感じ、それが痛みに変わって銃を落としてしまう。


「強いて武器というなら、それは私自身こそよ」

 ――指弾。それは一種の空気弾である。彼女は指を弾くだけで空気弾を放ったのだ。


「私くらいの武闘家になると間合いというのは意味がなくなるわ。相手から間合いを奪ってしまうからね」


 ――そういえばヒズルがそんなことを言っていた気がする。キリはふと初老だが、精悍な男のことを思い出した。


 ケイカは不思議な足運びで距離を詰めてくる。おかげでどう行動するのかがまるで読めなかった。


(こういうときは……)

 足元にある鞄のひもに右足に引っかけて蹴りあげる。ケイカは鞄をものともせずに拳でぶち抜く。


 その見た目からは考えられないほどの腕力である。すると同時にその鞄から煙幕が広がる。キリはその間に足元に落ちた拳銃を拾い、おそらくいるであろうケイカのシルエットに向けて銃弾を放つ。


 するとケイカは蹴りを振るって煙幕を吹き飛ばして、さらに銃弾を蹴りあげて弾き飛ばした。


「おい、反則だろ!」

「力っていうのは持つべき方向のことを言うのよ。つまり別方向の力からは存外弱いものでしょ」


「普通はそういうのできないだろ……」

 少なくとも知り合いでできそうな人間に心当たりがないわけでないというのが何とも言えないのだが。


 そこからさらに蹴りを放ってくるのをキリは体を横に逸らしてかわす。そしてその瞬間にキリはあるものを目にする。


「水玉……」

 ケイカは蹴りをまた繰り出そうとするのをやめて、スカートを押さえる。


「いや、不可抗力だから。そもそもそんな格好で蹴りをしてくるんだから当然だろ」

 キリは早口でまくしたてて自身の無罪を主張する。あきらかにケイカは怒っていた。


「許さないから!」

「何なんだよ、もう!」

 ケイカは顔を真っ赤にして追いかけてくる。対してキリは逃げることしかできなかった。


ここから展開を変えることにしています。トウカという人物がいたと思いますが、削除しています。代わりにケイカを前倒しにして登場させています。


お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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