73.オキナ大陸(9) オキナダンジョン(8)
「気は進まないと思うが、国王に会って欲しい」
「なんで?」
「今回の取り組みを進めるのに国王の許可が必要なのだ」
「俺、ここの作法知らないんだけど」
「大丈夫だ、公式な謁見ではなく、事務処理の一環として行われるので、失礼さえなければ良い。
内容が内容なので、謁見だと有象無象の貴族が居て秘密が守れない。」
「まあ、会ってはみますが、どのような方ですか?」
「我儘で自己中。すぐにヒステリーを起こして暴れまわる。拒む者は牢屋へ投獄...」
「嫌だ、会いたくなぁーい」
「そこをなんとか」
「じゃあ条件がある、もし問題が起きたら、この国潰していい?」
「それはーー」
「秘密にしていたけど、これでも地上では辺境伯を賜っていて、属国を併合して複数国の国王なんだよね。
属国が増えるだけだから。いざという時は、潰しちゃうよ。ほんとに。
その時は、あんたには代官を努めてもらうからね
それでも良いか?」
使いたくは無いが権威を使ってしまおう。
「え゛ーー。ひょっとして我が国王より傍若無人なお方?」
「失礼な。これでも崇められているんだから。本当に、多分、きっとそうだと思うよ」
仕方ない会ってやるか。
ひょっとして皆今の俺と同じ気持ちだったのかな? 少し反省。
ーーーーー
なんか、国王さんビビっているみたい、領主が要らぬ情報を漏らしたか?
まあ不要な争いを避けるために、シュヴァルツに登場してもらって乗ってきたんだけどね。こいつ見た目は怖いからな。
「はじめまして冒険者のロイと言います」
「このたびはー、朕の願いを聞き入れてくれてありがとー」
言葉が死んでいる。
そこからは順調に話が進み、精霊契約による龍脈制御の実験が許可された。
シュヴァルツの威厳のおかげかな。キングは強いけど、こういう押しは効かない。
適材適所だな。
どうやらここでは国王にならなくて済んだ様だ。助かった。
「あの、第3王女を連れてきました」
その落ちは要らないーー
間に合ってますぅーーー
まったく油断も隙もない。




