70.オキナ大陸(6) オキナダンジョン(5)
「こっこれっ飛んでいるんですね」
甲板に立って手すりに捕まって震えている。
「見たとおりだ、遺跡を案内してもらえるか」
「あっ、はい、この岬に向かって下さい」
マッピングした地図を指差した。
「この地図かなり正確ですね」
「ああ、こちらに来て地図がないので作った」
「気軽に言われますが、地図って大変なんですよ、踏み込めないところが多くて、あっ、空を飛べたらそれほどでもないのでしょうか?」
「多少時間はかかるが」
本当は自動探索機も使っているけど説明が面倒だ。
「ところでこちらには精霊の里とかはあるのか?」
まあ地上でもほとんど知られていなかったけど。
「そうですね。踏み込めない様な場所にはあるかもしれません。なにぶん未開拓の地が多いので」
「アリー、どうだ、近くに精霊の里はありそうか?」
「遠くに気配だけは感じますが、近くには居ないようです。元々極地に精霊は少ないと思います。」
「そうか、まずは遺跡かな」
ーーーーー
遺跡、に着きました。
これは、恐らくここに降り立った人々が乗って来たもの。の残骸だな。
ここが上空から降り立った地に違いない。
大型の飛行艇のようだが朽ち果てている。定員もオーバーしていたのだろうぎりぎり不時着した様だ。
ダンジョンから戻った者が居ないことから、こちらの状況を推測し対策して飛行艇で来たようだな。地上での邪神による破壊活動から逃げる一つの方法として正に清水の舞台から飛び降りる気持ちで、飛び込んだのだろう。海底とかに出る穴なら駄目だったろう。
地表近くでダンジョンシェルターに籠もる者、この穴から別の世界に逃げる者、中には宇宙へ出た者もいるかもしれないな。とにかくその子孫が生き残って国を建てたのだろう。科学技術は失ったものの力強く生き抜いていったのだろうな。
似たような遺跡が他の大陸にも多数あるらしい。極地のダンジョンへはかなりの数逃げ込んだ様だ。数がいれば生き残れる可能性は多いだろう。この科学技術レベルなら直ぐに自然破壊が進むことは考えられないな。ただ、龍脈の気を操る技術は地上よりも優れていそうだ。




