69.オキナ大陸(5) オキナダンジョン(4)
「終わりました領主」
「報告は聞いた。無事依頼をこなしたと判断しよう。何を望む
はっきり言って、侵略されないのが不思議なぐらいだ」
「俺は別に侵略なんてしませんよ、遊びに来ただけだし。
そしたら、出来れば、色々この大陸について知りたいのと、案内役が欲しいな。
あとこちらの通貨がないので、なにかと交換できないかな」
アイテムボックスから、エリクサーを一本出して渡した。
「これは?」
「エリクサーという万能薬です」
「あっあの、伝説の万能薬?、存在したのかこの世界に?」
顔が近いっ、睨まれて少し怖い。
「お疑いなら鑑定してみれば?」
「鑑定したものなどおらん!存在すら疑われていたものだ」
「じゃあもう一本あるので、試してみます?」
「ああ、お願いする。ローズ、ガルダを呼べ。
ガルダはこの領で最強の戦士なのだが、あの湖の生物に挑んで、手足の一部を失ってしまったのだ」
「多分大丈夫かな」
実は俺も余り試したことがない。駄目だったらどうしよう。逃げるか?
ガルダにエリクサーを飲ませた。みるみるうちに欠損部分が再生していく。まあ、再生と言っても余り欠損が多いと材料が足らないのでやせ細ってしまうんだけど、それほどでも無かったみたい。暫く栄養を取って慣らす様に言っておく。良かった成功した。
「うぉーーーん」
ガルダが泣き出した。嬉しかったらしい。
「これで結婚できる」
なんだそっちか。「これでまた戦える」って言葉を期待してしまった。
「ありがとう、金は充分準備しよう、ローズに言ってくれ、案内もローズに頼む」
「良い取引が出来た。ローズ案内をお願いね」
「承知しました」
よかった、これで情報も得られるし、探検も問題なく行える。
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とりあえず得られた情報は
・ここはナキオ大陸と呼ばれる大陸で、ナキオ王国が支配しているレイクサイドと呼ばれている街らしい。
・北側にはイャチ大陸とモマク大陸がある。更に北極近くはゾーエ大陸がある。
・冒険者ギルドに近いものとしては傭兵ギルドがあるらしい。
・商業ギルドはあるが、当然地上のものとは異なる。
・ここは南極に近いため魔物は少ないが、イャチ大陸やモマク大陸には魔物が結構いるらしい。
・上空の黒い穴から降りてきた民族であると伝えられているが、なぜ降り立ったかは伝承されていない。
・科学技術レベルは低く、太古に失われたと伝承されている。飛行技術は無い。
・遺跡遺物はあるが、ほとんど破損して実用できるものは無い。
・通貨はどの大陸でも同じらしい。
・言語は、多少の違いはあるが、ほぼ同じらしい。
このぐらいだ。
此処が地下世界であることや地上世界が存在するという新事実には至っていないようだ。シュヴァルツ知っているかなあ?
食べ物は結構豊富なようだ。街を歩いても、治安は良さそうだった。貧富の差もあまり無いようだったが、経済的に発達しているとは言い難い様だ。慎ましやかに暮らしているといった感じだ。
ただ、少し寒い、文化汚染はしたくないが、女神教は布教してもいいよね。
女神教に入信して女神像を拝むだけで暖を取れると言ったら即決で布教の許可が出た。今のところ司教の派遣など出来ない所なので、代表者を決め女神教の教えを説いた。教会を建て、女神像を置いた。
さて、街も一通り見て回ったので、移動しようと思う。
母船はとりあえず隠蔽したままで、ステルスモードで移動する事にする。
ローズは案内役だから仕方ない母船に乗ってもらう。彼女一人だけは文化汚染は気にしない事にした。面倒なので。その後見聞した知識を伝えるかの判断は彼女に委ねた。




