58.チャイ大陸(48) 魔人国(3)
ーーーーー魔道具ギルド
「領主よ、これは魔道具ではない、アーティファクトだ。」
「そうだ、謎部品が多い、我らにはわからん」
「これは辺境伯から我らへの挑戦状じゃな」
「闘技場で見たゴーレム、あれはホムンクルスだ、出来が全く違う。武器も異常だ」
「再現しなくても、コンセプトは採用出来ないか」
「なんとか出来るかな」
「やってやろうぜ」
「おー」
ーーーーー魔法薬ギルド
「聞いたか、イーストチャイの薬屋の話」
「ああ、エリクサーを普通に売ってるらしいぞ」
「買いに行くか?」
「俺達に買えるわけ無いだろ」
「あのローリン商会が絡んでいるらしいぞ」
「なに言っているだ、辺境伯様は、ローリン商会の会長だぞ」
「マジかぁ」
「やばいな、俺達」
「いや、ローリン商会に紹介してもらおう。身内になれば問題ないって」
「そうだな、打診してみるか」
ーーーーー冒険者ギルド
「街にS級冒険者が来たって知ってる?」
「あー、冒険者パーティ『女神教』ね、知ってるわ、この前移動の挨拶に来たよ」
「まだ若いのに、凄いわね」
「あの肩に乗せた小鳥、可愛かったわねぇ」
「あっ、知ってる? あんなに可愛くても、リーダーを除いて最強らしいわよ、小鳥様よ」
「でも、小鳥でしょ?」
「何言ってるの、次に強いのがドラゴンよ、隠蔽しているけど、高位の鑑定士が看破したわ」
「えっ、ドラゴンより強いの?」
「それにリーダーが可愛がっているから絶対に手を出しちゃ駄目よ」
「えっ、ちょっと待って、ということはリーダーはそれより強いってこと?」
「らしいわよ」
「でも、人当たりがよくてそんなふうには見えなかったわ」
「ここ数ヶ月で帝国の殆どの盗賊を彼が捕らえたってことだよ『バウンティーハンター・ロイ』で通っているわ」
「すごぉーい」
「おかねもちかなぁ」
「狙っても駄目よ、パーティに嫁がいるわ、しかもアウル帝国の皇女様よ」
「ちょっと太刀打ちできないわ」
「ちょっとじゃないでしょ」
ーーーーー商業ギルド
「ゴールドランクのロイ様が街に来たらしい」
「ローリン商会の会長の?」
「そうだ、しかも辺境伯らしい」
「この街に出店したいそうだ」
「それって良いことだよね」
「ギルドにとってはな、だが他の商店はどうだろう」
「でも、彼らは新しい事業を中心にしているから、直接既存の商店にには競合しないだろ」
「いや、産業構造が変わってしまえば影響はそれ以上に大きい」
「トラブらないですか?」
「優秀なところは大丈夫だ、取り込まれるだけだ」
「問題なのは淘汰される商店だな」
「でも、全体としては経済が発展するんですよね」
「そうだな、単に拡大を目指したところは危ないだろうな、拡大し更に発展していかなければ生き残れないという事だ。商売としては正しい」
「人情としては?」
「それを手助けするのが我々ギルドだ。事務処理をするだけでは無いぞ。
経済が発展すれば、ギルドも潤う、手助けは出来る余裕も出来るだろう。
単に援助するのは駄目だ、投資し発展するのを手助けするんだ」
「がんばります、先輩」
「「おー」」
ーーーーー領主館
「ライブラ、彼はどんなやつだ?」
「帝国辺境伯、獣人国国王、龍人国国王、ドラゴンや精霊と友誼を結び、強力な部下を持つ
そして私の師匠。これで充分でしょ」
「充分すぎるな」
「どうすれば良い?」
「彼に従えばよいです。身内には優しい」
「そうだな、彼には初代魔人国国王になってもらおう」
「懸命ですね。鳥人国はまだですが、他の国は皆同じ考えだと思います」
「あそこも頑固だが、折れるだろうな」
「経済的にはもう詰みです」
「容赦ないな」
「身内になればとても心強いですよ」
「議会を招集する」




