4.船団(1) 司令官の拉致
とりあえず敵船団の足並みは遅く、オーキ島まではまだまだである。我々はオーキ島に寄港する。
オーキ島周辺までがホックリ王国の領域だ、敵船団をこれより中に入れるわけにはいかない。
島の領主と共に前哨基地を簡易設営する。
島の領主は辺境伯と同等の権限を持つため、ここの指揮官となる。ただし我々は別の国のため傘下に入る事はない、アドバイザー及び協力関係にあたる。通常であれば門外漢であるが、我々が通報者であり対応能力もあり国際的な機関の使節団であることから、アドバイザーとして対策会議に参加することになった。
「どうしよー、どうしよー」
領主の声である。領主を継いで間もないようで今まで何事もなかったため、どうして良いか分からずパニック状態だ。実力もないのに変にやる気だけある奴よりはましだ。プライドだけ高い奴は使えないのでやりやすい。
「落ち着いて、領主殿、対策案の是非を本部に打診している。
我々がたまたま早期に事態を察知出来たのは幸運だ、
それに、たまたま対抗手段があることも幸運だ、
お前は運が良いな」
第2皇太子が主導権を得る。
「お願い助けて」
情けないが、こちらとしてはとてもやりやすい。これが上から目線の強気プライドだけ高いバカなら、既にさよならしている。そういうのは自滅すれば良い。
「第2皇太子、今連絡が入りました。『その作戦でいけ』との事です」
従者が伝える。従者にも本部との通信機を渡している。
「領主には協力をお願いする。これから敵司令船を拿捕し司令官らを拉致する。牢屋を準備してくれ
こちらには牢屋は無いのでな」
間違っている、俺が持っている、盗賊ホイホイ用の凶悪なやつをな。
まあ、なにか出来ることがある、と思わせるのは大切だ。それで少し安心できる。
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司令船拿捕作戦開始だ。
敵船団は、総司令船を先頭に次に分隊司令船10隻、その後にそれぞれ100隻ほどの戦艦が続く。
司令船を拿捕するだけなら簡単だが、分隊司令船やそれ以降に司令船拿捕の事実を明確に突きつける必要がある。そうしないと船団が止まらない。
「というわけで、ロイ、頼んだ」
丸投げかい。
まあ、そうだな、俺も丸投げしよう。
司令船自体はあまり大きくない、ドラファに掴み上げてもらって晒し者にしよう。
「ドラファ頼む」
そして、分隊司令官を拉致していく、
俺とライディ、虚仮威しにフェン、これでも過剰戦力だ。
俺が宣言して、ライディが確保、フェンが護衛を蹴散らす。
まずドラゴンアーマー姿の派手な出現で怯む、フェンも張り切って威嚇する。
フェンもたまには役に立ってもらわないとな。出番だっと意気込んでる。
元々船上での戦闘など想定していないから難なく拉致できる。
司令官を人質に、一旦船団を停止させて拉致していく。
そして拉致していく。。。。
司令官ホイホイ状態だ。
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そうして、総司令官と分隊司令官10人をオーキ島の牢獄へ放り込む。
これで俺の役目は終わりだ。
「あとは頼んだアルス兄さん。
皇帝と交渉する時は教えてね。
おれも要求があるから」
「要求とは?」
「・女神教の布教の許可、教会建設の許可
・呪い屋本舗支店出店の許可
・帝国内での行動の自由(ダンジョン入場許可含む)
かな。あと
船団を見捨てた場合、その人達を自由に使いたいな。
エゾー大陸の開発をさせたい。皆殺しは趣味じゃない」
「おいおい、エゾー大陸なんて皆殺しよりヤバイんじゃないか?」
「でも生きていけるよ、運が良ければ。それに寒さは女神教に入信すれば大丈夫だよ。
加護付きアイテムあるし。
アルス兄さんは知っていると思うけど、エゾー大陸に籠もっている邪神様なんだけどさ、
いつまでも邪神扱いをされるのも可愛そうだと思ってね。なんとかしようかなって」
「お前は、優しいのか、容赦ないのかわからないな」
「身内に優しく、悪者に容赦ないと思ってくれればよいよ」
「身内で良かったよ」




