53.チャイ大陸(43) 龍人国(3)
湖はカルデラ湖の様で、中央に島が。
遺跡っぽい。
念の為安全確認だけしていこうか。
島に渡り、遺跡を探す。ダンジョンコアの台座だけが見つかった。既に活動を止めた遺跡の様だ。
ドラゴンサットを龍脈センサーにして観測してみる。この近くに龍脈は無い様だ、長い年月で龍脈が消滅したのかな。そこまでは分からない。ドラゴンビジョンを使って辺りを観測したが、穢れも無いようだ。
帰りに、お礼として精霊石をもらった。持ってたんだ。
精霊石ってなんだろね、人工精霊石は呪玉として使っているけど。
遺跡では、龍脈の制御に使われていたし。
お前は一体何なんだ?
〈精霊だよっ〉
んっ?なんていった?
精霊石が喋った。精霊石って何?
〈精霊の入れ物みたいな?〉
なんで教えてくれなかったの。
〈だれも聞かなかったからね〉
なんとぉ、そうなのか。
じゃあ、あの呪われた精霊石みたいのは
〈たぶん、精霊が出て代わりに邪悪なもの?呪とか、悪魔とか、が入っちゃったんじゃないかな〉
出られるの?
〈外にいる精霊たちもここから出たやつだと思うんだけど、みんな忘れちゃってるんじゃないかな〉
大昔に、遺跡、いや当時はちゃんとした施設か、そこでこの精霊石で龍脈の制御をしていたみたいなんだが、知っているか?
〈覚えてるよ、ここを出ると皆忘れてしまうみたいなんだ〉
今はそこで何をしている
〈何も。ここは居心地いいからね。強いて言えば自然に加護を与えているぐらいかな〉
わかった。じゃあ昔のことを教えてくれないか?
〈いいよ、おおむかしにね....〉
要約しよう
・当時、この精霊石なるものが開発された。
精霊の器、精神の器、意思の器して。
・精霊は龍脈を制御する能力を持っているが、特定の目的では使いにくい。この器に入れて制御対象を限定して影響を与えられるようにした。
・精霊をこの器に収めるのは精霊と契約する必要がある。対価は龍脈自体の気だ。
・契約者が死亡した場合は、出入りが自由になる。そのまま使用するには契約の更新が必要になる。
・施設が壊れたことで契約が更新されなくなり、外に出てしまった精霊が里を作った。
・その後、精霊石はその意味と使い方を忘れ去られた。
ただ、その施設を何に使っていたかは知らないみたいだ。
つまり、こいつは引きこもりというわけだ。引きこもり精霊とでも呼ぼうか。
〈ひどい、でもそうかな、今はそうでもないけど昔は外の世界は穢れまくっていたから、ここは良いよ〉
そうか、精霊を守る意味もあったんだな。
〈あんたには加護をあげる。えっ!、あんた加護だらけだね、また一つ増えたね、じゃあお休み〉
おい、勝手に寝るな。まあいいか、謎も一つ解けたし。
差し迫った問題がないので、里を去る事にする。
龍人族には、精霊・妖精の里、精霊石を守る様に指示し、次の目的地である鳥人国に進むことにした。




