3.旅立ち
調査団船の造船で少しやりすぎた感を感じながらも。『備えあれば憂いなし』と胸を張る。
今までの装備開発で得られたノウハウを注ぎ込んでいる自信作だ。
今まで装備を作ってもあまり使っていないのは考えないでおく。考えたら負けだ。誰に負けるかは知らないが。
オブシディアンの船もバージョンアップしようかな。
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必要な物資の準備も終わりいよいよ出港だ。
「第2皇太子、ご準備は大丈夫でしょうか」
「アルスでよい、ロイ。義兄弟だしね」
「では義理の兄なので「アルス兄さん」と呼ばせて頂きます」
「ああ、よろしく、それで船の方は? なんかとんでもない船らしいね」
「準備完了です。私の船なのでね、とんでもなくて普通です。皆を守るのに必要なんです」
「ほどほどにね」
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他のメンバーも乗船して出港する。
快適な船旅のはずだ。
まずは、サドー島へと向かう。クルー達は初航海ということもあり緊張しているが、最悪なんとでもなるので安心だ。なんなら一気に大陸まで行っても良いぐらいだ。が、旅を楽しもう。船旅は初めてだ。
さて、サドー島は金の産出が多く、一応ホックリ王国に帰属している。
通常5日ぐらいでたどり着けるが、今の時期風が強く4日程で着く。時々イルカみたいな海獣が並走する。島までは特に何事もなく順調に着いた。オブシディアンは既に次の寄港地まで先行させている。
サドー島では特に物資の補給の必要も無いことから下船して観光をする。金山の採掘後の洞窟とかを見学し、海幸料理を堪能する。特にウウニーと呼ばれる雲丹の様な物の卵は美味しかった。刺し身を食べる文化は無いので、主に塩焼きの料理だが新鮮な食材のため甘みが強く甘みも強く美味である。
メンバーの殆は来たことのない土地で日常とは異なる環境を楽しんだ。ドラファだけは獣肉の方が良いと嘆いていた。キングは淡水生物しか食べないのでつまらなさそうだが、狩りの練習をしていたが海水で羽がベトベトになりしょんぼりしていたので、綺麗に洗ったあげた。可愛い。
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2日ほど滞在し、次の寄港地に向かって出港した。
皆、まだ旅の始まりで疲れた様子はない。このまま順調に行けば良いなと思ったのがフラグだった。
オブシディアンから緊急連絡が入った。
「オーキ島より大陸側から膨大な数の武装船団がそちらに向かっています。千隻はいます」
早速会議室に各部リーダーを招集して対応を話し合う。
「千隻ほどの武装船団がこちらに向かっているとの報告が先行部隊からあった。
それぞれ100人の戦闘員が乗っているとして10万人規模の軍隊だ。無視できない。」
「その規模だとチャイ帝国に間違いないな」
「といってもこちらは一隻だろ、何も出来ない。 戻って報告するのが良いのでは?」
「連絡は通信を使ってすでにしている。
ちなみに対抗する戦力は持っている、ん、だよなロイ」
「はい、普通の武装船団なら恐らく問題ないかと、
特殊な召喚獣とかが加わるとわかりませんが」
「考えられる対応としては
・有無を言わさず撃破
・司令船を拿捕し、撤退させる
・敵帝都に行き撃破の許可を得て撃破する。」
「なんですか?最後の?」
「宣戦布告しているわけではないから恐らく知らないフリをするだろう、撃破出来るとも思っていない、
海賊だと言い張って討伐許可を出すだろう。ならば撃破しても外交上の問題は無くなる。」
「なるほど、でも時間的にはどうだろう
司令船を拿捕して停船足止めしてから、帝都に行って交渉すればどうかな
小型艇で俺と第2皇太子で帝都に飛ぼう」
「よし、本部にその方針で打診してみよう。皆もそのつもりで待機だ」
なんか面倒なことになってきたな。