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17.チャイ大陸(7) チャイ帝都(4) 調査依頼

そやつは居た。

ドラコンだ。たぶん。

小さい。

人間の倍ぐらいだ。

まあ情報ではドラゴンかワイバーンって言ってたからな。間違われても仕方ない。

しかも弱っている、黒い霧の様な瘴気に包まれて、どうやら呪われているようだ。

「どうした?」

〈里でいじめられて逃げてきた〉

ドラファもそうだったな。ドラゴンっていじめっ子が多いのか?

他のやつより小さいからバカにされたのかな?小さかったら可愛がられないのかなあ?

「呪われているようだが」

〈ここに来る途中で洞窟に隠れたら呪われたみたい〉

とりあえず、討伐しなくて済みそうだ。

「呪いを解いてやろう、呪解析」

なになに、解析不能か。

アリーが呪われていたときのものに似ているな。

「解呪!」

黒い霧は晴れていき姿がはっきりとしてくる。

白いドラゴンだ。

〈助かった、このまま死んじゃうかと思った〉

「その洞窟って何処か分かるか?」

〈んーと、あっち〉

聞いた俺が馬鹿だった。ドラゴンが地図を持っているわけ無いよな。

「案内できるか? お前の名前は?」

〈出来る。 名前は無い〉

「友だちになるか、そしたら名前をあげよう」

〈んーん〉

「ティム、名前は白いから『ヴィア』」

ティムってお友だちってことでいいよね。騙してティムして依頼一件落着ってか? まあいいか。


〈ありがとー、でも里のドラゴンはみんな白いよ〉

「そこは突っ込まないで。白いドラゴンは初めて見たんだ」

〈友達だから許してあげる〉

「どうも」

〈お姉ちゃんもドラゴン?〉

〈ドラファだ、私も主の仲間だ。よろしくな。

 お前も主の仲間になったからかなり強くなっているはずだ、

 もう里の奴らにいじめられても大丈夫だぞ。よかったな〉

〈そーなの? 嬉しい〉


ヴィアに案内されて洞窟にたどり着く。いっぱい迂回しなければならなかったけど。

ドラゴンは空をまっすぐ飛べるけど、こちらは馬車だからね。

馬車に飛行能力付けとけばよかった。


洞窟に入って暫く奥に向かうと、予想通り例の呪玉のようなものが見つかった、疑似精霊石の様だ。

何回も発動できそうだったが、エネルギー切れらしい。触らないようにしてアイテムボックスに放り込む。

更に奥に進むとドーム状のホールに出た。中心には結界石のようなものが台座に載せられていた。

ジャパンゲア大陸の物と酷似している。


「ヴィア、人化は出来るか?」

〈最近ようやく出来るようになったぁ〉

ぽぉんっ〜〜

可愛いドラゴンアーマー姿の少女になった。大きめの少女だけど。

元のサイズが中途半端なサイズなので、ドラファの様に尻尾の先では無く、尻尾全体を人型にして本体は亜空間に隠しているみたいだ。切られたらダメージはトカゲの尻尾切り状態だな。それなりにダメージがありそうだ。

「ヴィア、今日からドラファの妹だ」

〈里にも姉妹いるよ〉  そうなの、そういや事情を詳しく訊いてなかったな

「ヴィア、今日からドラファの弟子だ」  前言撤回

〈わーい〉

「里は遠いのか」

〈ちっと遠いかも〉

「またそのうち案内してくれ」

〈はぁーい〉

軽いノリだがまあいいか。ドラファ頼んだ。ドラファも弟子が二人になって嬉しそうだ。


とりあえず解決したので帝都に戻ることにした。

帰りの道すがら、色々と事情を聞いた。

偶然とは恐ろしい、ヴィアも里の長の娘らしい。末娘だ、といっても50歳。

里は大陸の中央山脈の中心辺りにあるらしい。どれだけ逃げてきたんだ、という話である。

一言でいうと、家出状態だな。書き置きとかはして無いよね。さらったと思われないかなあ。

まあ、襲われても大丈夫だから、里に行った時説明しよう。

無事に貴族門を通り帝都に戻る。

ーーーーー

冒険者ギルドで報告だ。

まだ昼過ぎぐらいなので、人は少ない。

少しだけ並んで朝と同じ受付嬢と対峙する。

「ただいまー」

「早いですね、依頼は諦めたんですか」

「いや、完了だ」

「嘘はいけませんよ、調査に行ったふりして報告だけしようって思っても駄目ですからね」

どうやら全く信用がないみたいだ、S級の信頼度って低かったのか?

「お前の態度が軽すぎるんだよ」

おー、困ったときのクーマー・ゲラン、都合よく居たもんだ。

「お前がドラゴン調査の依頼を受けたって聞いたもんだから面白そうだと思って待ってたんだよ」

暇だな、

「とりあえず応接室でおまち下さい、ギルド長を呼んできます」

ーーーーー

応接室で待つことしばし、ギルド長がやってきた。

期待と異なり、細身の年配紳士だった。もっとマッチョんみたいな人だと思ってた。

まあ見た目と違いかなりの手練れらしい。

「それでドラゴン調査の報告かい?」

「簡単に報告します、ドラゴンは居ました」

「それで」

「この娘です。以上」

「おい、簡単に説明しすぎだ、もっとわかりやすく説明しろ」

クーマー・ゲランが指摘する

それ以外に何を報告するっていうんだよ。

「では、ヴィア、人化を解いて」

ぽんっ〜〜

「ギャーーーー」受付嬢が失神する。

応接室は結構広いので余裕だ。が、受付嬢の許容量の余裕は無かったようだ。

「わっわかった、もう元に戻ってくれ」

これが元なんだけど

「ヴィア、人化して」

ぽぉん〜〜

「実は。。。。。」

経緯を説明した。最初から経緯を説明すればよかった。

ヴィアの扱いは俺に任された。

というか、俺以外には任せられないだろう。

ーーーーー

受付嬢には、後でこってり叱られた。

あんたが信用しないからこういうことになるんだよっ。とは言えなかった。ゴメン。

ーーーーー

冒険者達からは親しみを込めて?『ドラゴンフレンズ』と呼ばれるようになった。変な二つ名より良いかな。どうやらあの受付嬢は嫌われていたようだ。




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