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ゼノスの過去

 ここに来て龍の神話。

 間違いなくアーマグの神話。


 それは流石に後付けしすぎだ。今までだってそうだけれど。

 二匹の龍という時点で、光と闇のメビウスを連想させるし、目下の話題、黄金とプラチナも強引に連想できる。


 ——けれど、これでいい


 どうして、龍の神話なんて突飛な話があり得ると彼が判断したのか。

 ドラゴンステーションワゴンというタイトルなのに、ベンジャミールしか出ない。

 リメイク前のただの流行りなのは分かっている。

 あの時期はドラゴンがつけば、大体のものが売れた。

 ゲーム黄金期と言っても過言ではない。


 何度も言う。

 この過去創造は『七並べ』のようなもの。

 最初が『7』だとして、そこから出来上がるストーリーが過去創造なのだ。

 だから、こんなチープな話題だって、そうなのだろうと思うしかない。


「東で生まれた人間を火山活動によって追い出させ、ザパンという国を火山の噴火で消した。今は何もないし、ゲームの初期から何もない。だからザパンは無いという結論でいい。だが、今の話はある意味で必要な条件を満たしている……と。」


 金鉱とダークメタル、つまりこの世界でいう油田が何故できたかという、昔話付きだった。

 お陰で、どの辺りにそれらがあったのかを想像できる。


 レイが求めているのは過去ではない。

 過去創造はその地に力を取り戻させるから、やっておくに越したことはない。


 ただ、内容自体は実はどうでも良い。

 それにはちゃんと理由があって……


 ——ただ、ここで意外な人物が意外な発言をした。



「あれ、俺もなんか思い出したかもしれないぜ。ってか、なーんかさっきの話とは全然違うんだが?」


 確かに龍が出てきたのだ。

 竜人の彼が刺激を受けてもおかしくない。


「これは確か、俺が子供の頃に近所の竜人から聞いた話なんだが——



          ♧


 あれは、俺がまだ小学校の高学年だった夏。夏休みだったので俺は祖父母の住む田舎に帰っていた。今思えば、単なる帰省ではなく、エクレアの街に不穏な噂が流れていたからだった。つまり帰省というよりは疎開だった。


ゼノス「なぁ、爺ちゃん。黒い像があったけど、アレって黒龍様だよな?」


 俺は祖父にそう言った。

 先日、病院に行った時に言われた言葉だ。


「君の体に流れている闇のエネルギーのせいじゃないか」と。


 金髪のお姉さんは俺の体を見てそう言った。


 闇、闇、闇……。


 思い浮かぶのは、田舎の祖父が時々祈りを捧げている不気味な化け物の彫像だった。

 祖父はそれを時々出しては祈りを捧げている。


祖父「黒龍様は我らをお作りなさった。黄龍様とともにな。」


 俺はまだ、子供だったのでそれが意味することは理解できなかった。


ゼノス「爺ちゃん、俺たち竜人、特に男性型は龍の面影を持っている。でも、気持ちは分かるけど、二匹の龍が姿をお隠しになって、それから一回も姿を見せてないんだろ? あんま、そればっか祈ってると危ないぜ。メビウス教の奴らに昔のように殺されるか、邪神様を崇める魔王軍の餌食にされるか。マジでおっかないぜ。それにしても……」


 そう、それにしても。女体を見るとなんだかそわそわするという気持ちになったのは随分と前だし、子供がどうやって出来るのか、知らない方がおかしい年齢だった。いや、同年代でも知らない奴はいるかもしれない。俺は心はすでに大人だったからだ。

 それがあの医療施設っぽい研究所に行った理由でもある。

 あの綺麗な女の人のお尻を見ていたら、いつの間にか研究所に入っていたのだが。


祖父「分かっておる。というより、ゼノス。ちょっとそこに座りなさい。最近ここいらの竜人の若者がこの絵を持ち歩いているらしいが……」


 その言葉を聞いて、俺は立ち上がった。

 そう……、あの金髪美女に言われた言葉。

 君は陰なる力に取り憑かれている、という言葉を思い出しながら。

 だが、爺ちゃんは強い。その辺の竜人など比較にもならないほどだ。


ゼノス「爺ちゃん、苦し……苦しいんだけど……」


祖父「黄龍様と銘打ってはおるが、まっことおかしいことじゃ。おかしなことに龍神様が女体化をさせておる。こん、罰当たりものめ!」


ゼノス「き、き、聞いてくれ、爺ちゃん!違うんだよ。芸術なんだよ! だって、そうだろ? 黄龍様の水浴び伝説。俺はアレを再現したかっただけなんだよ!」


 龍の呪いと呼ばれた、男性特有の病がある。

 もしかしたら、あのめちゃくちゃ良い体をしていた金髪ネェちゃんに言われたのも、そのことかもしれない。

 龍神族の男のみがかかる、この病。


祖父「はぁ……。あの伝説は語ってはいけぬものじゃ。秘匿中の秘匿……。それをこのような……。じゃから、お前もそんな病になっているというのに。それで、その手術費をせがみにウチに来たというわけじゃな。娘からも来たらガツンと叱ってやれと言われておる。だいたいお前は龍神様を———」



 というわけで、俺は爺ちゃんから夜通し説教を受けた。



168 名無しのオカルトマニア

乙ー。まぁまぁ、面白かった。実体験にしても、創作にしても


169 名無しのオカルトマニア

乙乙ー!でも、その伝説って何なん? 男にだけかかる奇病って怖すぎだろwww


170 名無しののオカルトマニア

164です。すみません。コテのつけかた分かりません。一応信じてくれる方だけ読んでくれたらいいんで。


171 治療中の竜人

コテの付け方、これであってます?じゃあ、続き行きます。


それで奇病についてだけど。実は『龍神様の湯浴み覗き』っていう伝説がうちの田舎にはあるんだよ。んで、その伝説の内容だけど、黄龍って龍神様は実は人間の姿にも化けることができたんだ。そしてその姿で水浴びをしてたんだと。しかも性別は女。金髪美女が水浴びしてんだぜ? これは覗くしかないだろ。


で、そこからが問題なんだけど、バカな俺の先祖はその裸体を見て、アレしようとしてたんだってよ。んで結局、その高速摩擦音か、声に出ちまったか知らねぇけど、バレちまってさ。それで龍神様は逆鱗モード。


「この不届き者めが。そして言いふらすつもりじゃろ。そして毎晩、毎晩、ワシの体を見て○こるつもりじゃろう。ふっ、好きにするが良い。じゃが、その手で○こったら、大切な何かがズタズタになるじゃろうなぁ。」


と言って、龍神様は消えて、気がつくと俺の祖先の祖先の祖先の手はガッチガチで痛そうな尖った腕に変わっていた。さらに言えば、足も同じようになってしまったんだってよ。んで、俺の代でもそれが治らないっつーわけ。


171 名無しのオカルトマニア

てか、この手お前の先祖のせいだったのかよ!


172 名無しのオカルトマニア

つーかお前、本名晒してね? 特定班急いでーww


173 治療中の竜人

違います。あれは仮名です。それにこれ、釣りですから。釣られてやんのーwww


174 名無しのオカルトマニア

wwwww


175 名無しのオカルトマニア

なんだよ。釣り宣言早くね?


176 名無しのオカルトマニア

いや、これマジだろ。俺たちの手もそうなってんだし。別のスレで特定できたらしいし、ちょっと俺、凸ってこようかな。 


          ♧


 ——という話なんだが……」


「なんだが……、じゃねぇよ! ゼノス、どうした?もうちょっと良いこと言えるキャラでもあるんだぞ? いきなり怪談調で話し始めたと思って聞いてたら。それ、お前の実体験じゃん!まぁ、それまではいい。実体験でも聞いた話的な感じだったわけだしー。でも、最後のあれ、何? あれ、完全に某掲示板サイトに投稿した流れだよね? なんで過去創造で某掲示板チックな何かが始まんのかなぁ。っていうか、お前、ネットの特定班を舐めんなよ!ネットの闇は、お前が抱える闇以上にヤバいんだぞ!」


 魔王は頭を抱えた。

 そして彼の話を頭の中で整理する。

 確かに重要な話が登場している筈だ。

 なのに、全く頭に入ってこない。そして銀髪の竜人は不敵に笑う。


「そんなに俺のことで悩まなくてもいい。結局、あのあと爺ちゃんが治療費を出してくれてな。——ほら、この通りだ。」


 そう言って、彼はドラゴンっぽい竜人モンスターの両手をズポッと外した。

 するとそこからテカテカの人間の腕が現れた。


(——取れるんかい! っていうか、その腕じゃあ、間違いなくシ○れない。なんという恐ろしさ。それが龍神の呪いか。)


 そして、その恐ろしさを竜人はさらに語る。


「普通は思春期あたりで剥け始めるんだ。でも、俺はどうにもこうにも剥けなくてな。でも、途中まで剥けてたから、診断的には仮性竜拳(かせいりゅうけん)だったらしい。だから保険が適用さ——」

「一旦黙ろうか!」


 と、マジの殺気でゼノスを黙らせた魔王であるが、「ゼノスがいてくれて良かった」と、数話分の重苦しい空気を消し去ってくれた彼に、感謝の気持ちを持っていたりもする。

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