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冒険者ギルド


賑わう街の中を、颯爽と乙葉と小雪は冒険者ギルドへ向かっていた。門番兵の言っていた通り、大通りをまっすぐ進むと見えてきた建物の門には冒険者ギルドと表記されている。


見たことも無い文字なのに読めることに驚きを覚えるが、神様特典かなとあえて触れずに敷地内へと入っていく。

そこでふと、このままは行っていいのかと考え始めた。さっきと同じことが起きそうだ。


「小雪、手のひらサイズになったりとかは無理だよね??」


そんな都合よくいきませんよね??


小雪は考える様に数度瞬きをした。そして理解したように、主人の影の中へと飛び込んだ。小雪の大きな体が底のない闇の中へと消えていく。不思議な現象に乙葉は自分の影をまじまじと見降ろした。


「……なんやそれ。そんなことできるんかい」


自分の影もアイテムボックス(生き物用)みたいだな。


冒険者ギルドの少し朽ちた木の扉は、押すとギィッと鈍い音を上げた。建物の中の様子は、なんというか居酒屋のような雰囲気だった。丸い机に腰かけた屈強な男たちが昼間からお酒を飲んでどんちゃん騒ぎをしていた。


「可愛らしいお嬢ちゃん、来るところ間違えてんじゃねーのか??」


小馬鹿にしたように一人の男が乙葉をからかい、それを皮切りに辺りの男たちも大口を開けて笑い始める。足元からグルルと威嚇をするような声が聞こえ、小雪が飛び出してこないか乙葉は気が気でない。


「小雪、大丈夫」


足元へ小さく声をかけ、乙葉は男たちを気にすることなく無視して受付へと向かった。多少頭にきたが、あのような男たちは無視するのに限る。


「ようこそ、ロザクロー冒険者ギルドへ」


受付嬢をする淡い菫色の髪をした綺麗な女性が、綺麗な笑みを浮かべる。


「冒険者登録がしたいのですが」


「冒険者登録ですね。ではまずこちらに目を通して、同意の署名をご記入ください」


渡された説明書を読みこむ。どうやらギルドに入るにあたっての同意書のようだ。すべてを読み名前を書き終えて紙を返すと受付嬢は椅子から立ち上がった。


「登録を行いますのでこちらへ来ていただけますか??」


案内されるままに、ギルドの奥へと進んで行く。向かった先には見たことも無いほど大きな水晶が中央に飾られた薄暗い場所だった。


「ではこの水晶の前で手をかざしてください」


言われるままに水晶に手をかざした。微弱だが光っていた水晶がより強い光を帯び始める。


「すごい」


神秘的な光景につい言葉が漏れる。よく見ると水晶に文字が刻み込まれていた。名前はオトハ・チガサキ、性別は女、年齢は17歳。乙葉はその年齢の欄から目が離せなかった。


ちょっと待て、私は成人してるぞ。と言える雰囲気ではないので乙葉は言いたい気持ちを必死に抑えた。


水晶の中で文字が刻まれ、すべての項目が埋まったのか光が収まり始める。


「お疲れ様です。冒険者カードを先にお渡ししておきますね」


詳細を説明するので先ほどの場所へ行きましょうと受付嬢が歩き始める中、乙葉は渡された出来立ての冒険者カードをガン見していた。やはり年齢の欄が17歳になっている。


「あのお姉さん」


「はい、なんでしょうか??」


「このカードってあの水晶が作り出してるんですよね??」


急な乙葉の問いかけに、受付嬢はきょとんと眼を丸める。しかしすぐに受付嬢らしい笑顔を浮かべ肯定するように頷いた。


「はい、あの水晶はそれぞれのギルドに設置されていてその人の魂と共鳴することでカードに情報を写す仕組みになってます」


「ということは、間違いなんてことは起きないわけですね??」


「はい120%起きません!!」


とても素敵な笑顔で全力で頷かれ乙葉何も言えなくなった。成人していたのに、未成年に戻ってしまった。若返ったのか??


「すっごい微妙」


すっごおおーーーい反応しづらい特典がもう一つ判明した。若干の若返りだ。ビール飲めないじゃんと本日一の大ショックが乙葉を襲った。



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