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乙葉、親になる②

なかなか更新できず申し訳ありません

今年はこれで最後かな

皆様メリークリスマスそして良いお年をお迎えください


ドラゴンの母となりました。そもそもドラゴンって何を食べるのって話である。

幼獣用のミルクや哺乳瓶などを買い込んで足早に帰ってきたものの、問題が発生した。

流石異世界というかファンタジー過ぎて、読めと言われた本の意味が理解できない。


「ドラゴンの栄養は魔力であり、ミルクと併用して与えるべしって書いてあるんだけど。どういうことなの??」


ミルクは幼獣用のミルクしか買ってないがこれで大丈夫なのだろうか??そもそと魔力ってどうやったら与えられるんだ??


(ミルクに魔力を混ぜ込むのだ。ただ、主の魔力では少し頼りないな) 


「誰が魔力味噌っかす女だと!!」


(うるさい)


宿に帰った乙葉たちは、眠るドラゴンの子をベッドに寝かせ作戦会議を始めた。なお馬鹿でかい二匹は、乙葉の影から顔だけを覗かせている。


(我がやろう。ミルクだけ用意してくれ)


「とりあえずミルクを用意したら良いのね」


ヘレンには事前に事情は話し済みだ。さすがにドラゴンの赤ちゃんを連れて帰ったと聞いて彼女は驚きはしていたものの、すぐに冷静になり「何かあれば頼ってくれ」と笑みを浮かべた。

こんなにもすぐに冷静さを取り戻し、加えて何かあったら頼ってくれと言えるのは元冒険者だからこそだろうか。安心感しかない。


ヘレンからお湯をもらってミルクを作る。作り方など知らないので、今度はパッケージとにらめっこをしつつ何とか作り終える。


「ここに落とせば良い??」


影の中に哺乳瓶を落とすと、すぐに東雲も影の中へと戻っていった。

後は少しの間待つだけだ。その間は頭だけでいてる小雪のモフモフを堪能して時間をつぶした。

この毛艶の感触は一度撫でると病みつきになるモフモフ加減で、日々のストレスも何もかもが吹き飛ぶ効力を持っていると乙葉は思っている。

前世で彼がいたのならば、振りかかる厄災のようなストレスから己の身を守れたに違いない。

しばらくすると哺乳瓶が返ってきた。見るからに変化はなさそうで、適温になっているのを確認しているとご飯に気づいたドラゴンが“それをはやくちょうだい!!”とばかりに乙葉に絡みついた。


哺乳瓶の口をドラゴンの方へと向けると齧り付いて一生懸命に飲み始める。孵化したばかりで何も食べていないのだからしょうがない。

普通なら目覚めて直ぐに母親の元に母乳を貰いに行くのがどの動物にも共通している部分だ。

急いで帰ってきたが、それでも空腹のドラゴンを待たせたのは間違いない。


「待たせてごめんね。たくさん飲んでね」


キュゥッキュゥッと甘えたように鳴きつつ、ドラゴンはひしと乙葉の手に捕まり必死にミルクを飲んでいる。

乙葉は前世でも今世でももちろん子供を産んだことはない。しかし、不思議な話で母性というものがにじみ出る感覚がした。

この暖かく柔らかな存在を守らなければいけないと自然と思っていた。不思議な感覚だ。


ミルクを飲み終えてケプッとゲップをしたドラゴンがそのまま乙葉の腕の中で眠り始める。


「これが母性というやつか」


スピスピと眠るドラゴンの優しく撫でるとブランケットで作った即席のベッドに寝かせてやる。

さぁ子供ドラゴンが寝た今始めますと小さく手を叩いた。


「第一回家族会議を始めます」


(なんだそれは)


呆れたように目を細める東雲と分かりやすく首を傾げる小雪に、彼女は気にすることなく話を続けた。


「正直子育てなどできる自信がないッ!!手伝ってほしい」


(素直だな)


「ここで取り繕ってもしょうがないでしょ??私はもうすでに恥ずかしい所をたくさん見られているから、今更だし」


(確かにな)


「そこは即答で肯定してほしくなかった!!」


いや確かにそうだけども!!と乙葉ら悔し涙を流した。脱線した話が戻され、今後について真剣なお話である。

人間の赤ちゃんでも育て方など小指の先ほどの知識しかない。となれば乙葉が身近にいて頼れるのは東雲だけである。

今後どうしていけばいいのかご教授願えればと彼女は東雲に向き直った。


「どうやって育てていくべきでしょうか」


(放っておけば育つ)


「放任主義カンストしてる」


乙葉は真顔で瞬きを繰り返した。それは正解なの??それともジョーク??としばし室内が静寂に包まれた。

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