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遺跡調査

更新が止まってしまって申し訳なかったです(~O~;)

誤字脱字に関しては、おいおい修正します



「遺跡調査ですか??」



乙葉は目をパチクリとさせながら、唐突にやってきた依頼に困惑した。

そんな彼女とは対象的に、目の前に座るエルダーは、にっこりとそれは花の咲いたような笑みを浮かべ大きく頷いた。



◇◇◇◇◇◇



東雲の特訓に日々ボロボロになりつつも、少しづつ成果は出てきていた。

少し前までなら、どれほど「ファイアーボール」と力強く唱えようと「出てください!!お願いします!!」と懇願しようとファイアーのファの字もでなかったというのに、今ではファイアーボールを一つだせるようにまで、乙葉は成長していた。

とはいえ出てきたファイアーボールはふよふよとした火の玉のような威力皆無なもので、玩具だと勘違いした小雪に噛みつかれ呆気なく消滅した。


「もうこれは無理では??」


と、当の本人である乙葉はすでに諦めモードになっていた。しかし、コーチである東雲がそれを許さず今現在も特訓は続いている。


そんなある日、ギルドマスターに呼び出され朝から乙葉は冒険者ギルドへとやってきていた。何事だろうかと不安がる彼女に、エルダーは人の良さそうな笑みを浮かべた。そして冒頭に戻る。


「冒険者ギルドから貴女に依頼です」


「え、ん??はい??私にですか??」


駆け出し冒険者にギルドから依頼って何事だと乙葉は少し警戒し始める。きっとろくな依頼内容ではないのだ。

しかし聞いてしまえば最後、その依頼を遂行する他ない。組織に所属する下の人間はみんなYESマンなのだ。社畜人生が長かった乙葉はその考えが染み付いていた。


「行っていただきたいのは、町外れに出現した遺跡です。うちによく出入りしている腕のたつ冒険者たちはこぞって遠征に行ってしまって、駆け出し冒険者くらいしか今いないんですよ」


そういえば、受付のニナが「むさ苦しい人たちがここに入り浸ってなくて空気が澄んでますよね」と素敵な笑顔で毒を吐いていたなと乙葉は思い出す。

今日来た時も、いつもは依頼ボードの前を陣取って大声で話している大男たちが確かに居なかった。


困った困ったと大げさに困ってますアピールをされ、乙葉はクッと口元に力が入る。

それは遠回しに行けという意味なのは十分に理解しているのだが、どう考えても面倒くさいのと危険な予感しかしないため頷くに頷けない。


「いや、そもそも私も駆け出し冒険者枠に入ってるのでは??」


「貴女は、駆け出し冒険者の枠になんて収まりきれてないですよ」


「オサマリキレテナイ」


私個人はその駆け出し冒険者の足元にすら及んでいないのに??と乙葉は口元を震わせた。全然伝わらない自分の弱さ、これが絶望か。


「では、明日早々に出発してください」


「いや私の意思はッ!?」


言うやいなや部屋を追い出され、乙葉はか細く震えた。もしかしたら、私は明日死ぬかもしれない。


その日は依頼を受ける気にもなれず、直に宿に戻ってふて寝をした。

今日ほど明日が来なければ良いと思わない日はない。腕のたつ冒険者でないと依頼達成ができない遺跡調査に恐怖しか感じない。

へっぴり腰冒険者には、とてつもなくハードルが高い依頼だ。


しかし明けない夜などなく、無慈悲に月が沈み太陽が空へと登った。


「遺跡調査内容は階層の数とモンスターの有無です。ダンジョンと違いモンスターが生まれるわけではないですが、近くの森のモンスターが住み着き繁殖してしまう場合があるので、遠慮なく殺っちゃってください」


「すっごい笑顔ですっごいこと言うじゃんこの人。怖い」


簡単な説明を受け、ロザクローから出発する。今日のために上級ポーションも多めに用意した抜かりない。乙葉は気合を入れるためにバチンッと両頬を叩いた。


遺跡は太古の昔にいた魔術師が作り上げた建物の一つでダンジョンと同じく突如姿を現すのが特徴だ。

ダンジョンは強いモンスターを生成するため冒険者がこぞって腕試しに向かう。そのためその近辺には店や宿屋が軒をつらね始め活気が生まれる。近隣に住む人は三日三晩飲んで騒ぐくらい嬉しいことのようだ。

冒険者が来て金は落としてくれるし、モンスターはダンジョンから出てくる前に冒険者たちが倒してくれるのだ。これほど嬉しいことはない。


しかし遺跡は大前提として、モンスターを生成しない。極稀にお宝が眠っているが、皆が皆お宝だと思うような代物が出てくるのは極稀だ。

そのため出現した遺跡に目を光らせるのは考古学者か、もしくは一攫千金を夢見る極小数のトレジャーハンターくらいだろう。

というわけで人が集まらないため活気は生まれない。

そればかりか、モンスターが住み着いてしまえば近辺の町や村に被害があるため、近隣に住む人からすると活気は出ないのに危険度は増すというなんとも迷惑な状態になるのだ。


そのために出現した遺跡は何階層ありモンスターが現時点でいるかいないのかをはっきりさせないといけないわけだ。

そして調査後は遺跡から一番近い冒険者ギルドの管理下に置かれるようになる。


「ん??んん??待って地図の作成??え、聞いてないんだが!?」


行く道中で依頼内容をもう一度確認していると、建物内のおおよその地図作成もさらっと仕事内容に組み込まれていて、乙葉はすでに死にそうな顔色をより悪くさせた。


「小雪も東雲さんも全力で私を守ってね頼む御生だから」


(しっかりせんか主よ)


小型犬のようにプルプルと震える乙葉に、東雲はまったくとため息を漏らした。頼りない主でごめんよと謝るが自分の身は自分で守れるよと彼女はけして言わなかった。いや、言えなかった。


街から出てそれほど遠くない場所に、遺跡はひっそりと立っていた。

話によれば、この遺跡は一夜にして立っていたらしい。それはおったまげるなと乙葉は、口元をひくつかせた。


建物は森の中に最初からあったのではないかと思うほど馴染んでいた。マヤ文明の有名な遺跡であるチチェンイッツァにも少し見た目が似ている。


長い石の階段を登り、入口から建物内へと入っていく。薄暗い建物内に入る前に、乙葉はランプに火をつけた。ポワっとオレンジ色の光が辺りを明るく照らす。


流石魔法道具だなと彼女は感心したように、ランプを頭上に掲げてじっくりと観察した。

今回の調査で必要だろうとギルドから借りた代物で、通常のランプと違いかなりの範囲を明るく照らしていた。

ランプには魔力を蓄積させることのできる魔石が使われているため、魔法がよちよち歩きの乙葉でもスイッチを押すだけでちゃんとついてくれる。


薄暗いと言っても全く見えないほどではないので、魔法ランプがあれば道の先までよく見える。

さて地図の作成だなと紙とペンを持ち、作業を始めた。魔法ランプは小雪が口に咥えて辺りを照らしてくれている。


「ふたりとも、変な気配とか声とか聞こえたらすぐに言ってね!?本当に直ぐ言って!!」


(わかったわかった、はよ行かんか)


「東雲さんの私の扱いが日々雑になっている事に対して抗議したい!!」


ギャンギャンと抗議する乙葉の背を、東雲はくちばしで押して先に進むように促す。


(主を守るのは当たり前のことだ馬鹿者。おどおどせず前に進め、背に我が居るのだぞ??何を不安がることがある)


フンッと鼻をならす東雲に、これが世にいうツンデレかと乙葉は感動しつつその身に抱きついた。


まだ調査は始まってもいない。



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