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「これで怪しい物ではないってわかったでしょう?」
中身が5分の1ぐらいになったちょーハイポーションを、
再度その人物の口元に持っていく、
少し迷う素振りを見せたが、その後、残りを全て飲み干した。
血の気がなく、青白くなっていた肌は、どんどん色を取り戻し、
息も正常に戻ったようだ。
「良かった、助かったようですね」
警戒されないように、優しく笑顔で話しかけるが、
相手は何の反応もない。
どこかぼーぜんとしているようだ。
まあ、今まで怖いモンスターに終われ、
生きるか死ぬかだったのだ、この反応でも仕方ないだろう。
「食べ物も少しはある、何かあったら言って下さい」
そう言ってその人物から離れた。
その目の先では、グリーンのモンスターが5体程、
かなり上等そうな剣を持ち、今だ威嚇している。
指にも宝石らしき物を付けたりしているので、
かなりのお金持ちか、奪ったのか・・・恐らく後者だろうと検討をつける。
取りあえず、世界樹の結界はパネルの情報通りだった。
パネルの情報を過信してしまうのはいけないかもしれないが、
ある程度信憑性のある情報が提供されているのは、間違いない。
あのモンスターの情報は載っていないかな・・・
パネルで情報を呼び出すも、”ジェネラルゴブリン”
と言う種類だと分かっただけで、強さや弱点は分からない。
やはり触ってみないと鑑定はできないようで、
鑑定してないと情報はかなり限定的だ、
とは言え、あの結界の外で奇声を上げているジェネラルゴブリンに、
触ってみようと言う気もおきないが・・・
結界の外で騒ぎ続けている時点で、あまり知能は高くなさそうだ。
とりあえず、結界の外に出ない限り問題はなさそうなので、放置する事にした。