三話 レベルアップとスキル入手
翌日の昼。
俺は早速、ゴードンを連れて冒険者ギルドに行くことにした。
他の商業店と比べ、一際大きな剣と盾の看板が飾られたギルドが見えてきた。
聞いた通りならこれが冒険者ギルドだろう。
中に入ると、俺に威圧的な視線を向ける男達と目が合った。
しかし、俺の後に入ってきたゴードンを見た途端にその威圧的な視線は消えた。
(ゴードン連れてきて良かった。でも、こいつステータス的には俺の半分の値だし、強そうなのは見た目だけなんだよな。)
俺は、ここに長居すると絡んできそうな輩が現れる可能性があるため、早速、冒険者登録を行うために受付に向かう。
受付には、綺麗なお姉さんがいた。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をお願いします。」
「かしこまりました。お二人様でよろしいでしょうか?初回登録料として、お一人1000ギリー頂戴致します。」
2人で2000ギリーの出費は痛いが、登録するのに必要なので仕方ないだろう。
俺達は、魔力登録機と呼ばれる魔力を登録する機械に手をかざし、ギルドカードを発行してもらう。
後に聞いたところ、魔力の波長は人それぞれ違くらしく、その波長をこの機械で記録しているようだった。
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「他に何かご不明な点はございますか?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました。それと早速、Fランク依頼のスライム討伐を受けようと思います。」
色々と冒険者ギルドの仕組みについて質問をし、子供でも武器を持てば倒せるというスライム討伐に行くことにした。
武器は冒険者ギルドの貸し出しシステムを用いて、1日1000ギリーする剣を借りた。
スライムの生息する森までは、徒歩一時間以上かかるので、道中、俺は冒険者ギルドの仕組みやこれからについて考えることにした。
どうやら、冒険者ギルドではランク制を定めており、冒険者ランクはFランクから最高のSランクまであるとのこと。つまり、俺たちは今Fランク冒険者である。
また、ランクを上げるには一定の依頼達成と試験官による認可が必要だ。依頼は基本的には、自分のランクと同じ依頼しか受注できないが、パーティに属すると、パーティリーダーと同じランクの依頼を受けることができるらしい。
(まず、俺はあと10回もFランクの依頼を受けないと、次のEランクには上がれない訳かー)
ランク上げの面倒な手順にげんなりしていると、目的のスライムが多く生息している森に到着した。
ちなみに、目的地に着く頃には俺の足はぷるぷるとけいれんをおこし、へとへとになっていた。
これは、日頃の運動不足のせいか。それとも、ステータスの低さのせいか。
森に入り、少し散策したところで、スライムが現れた。
イメージ通りの青くてプルプルした魔物のようだ。
一番槍はゴードンに譲った。
ザシュッ
ゴードンの振るった剣がスライムを切り裂き、呆気なく戦闘は終了した。
その場に残ったスライムの核を拾い、次の獲物を探す。
【レベルが上がりました。】
スライムを各々3体ずつ狩った時、そんな声が頭に響く。
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名前 金堂人史
レベル2
体力40
魔力40
攻撃力40
防御力40
敏捷40
スキル
人形作成レベル1
言語理解
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ステータスを急ぎ確認すると、確かにレベル2になっていて、各能力値が10ずつ増えていた。
続けて、ゴードンのステータスも確認する。
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名前 ゴードン
レベル2
体力20
魔力20
攻撃力20
防御力20
敏捷20
スキル
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ゴードンの方は各能力値が5ずつ増えていた。
ギルドの人の話では、ステータスの上がり幅は、人によって違うようで、一般的な人は、平均して、俺と同じ上昇値が10である。
ただ、その人の特性によってその上昇値が上下するらしい。
それから、俺達は、依頼達成条件の10匹を倒すために、スライムを探しては、倒す作業を繰り返した。
スライムを20匹倒し、帰ろうとしたところで、奥の木陰にゴブリンがいることを見つけた。
しかも最悪な事に、あちらのゴブリンもこちらに気が付いたようだ。
ゴブリンはFランクの依頼ではあるが、詳しくはF+のランクである。
何故なら、ゴブリンはスライムと違く、多少の知性がある。そして、何より道具を使ってくるのだ。
ゴブリンは棍棒を持って一直線にこちらに走ってくる。
すかさず、姫を守る騎士のようにゴードンが俺とゴブリンの間に入り、盾を構えた。しかし、ゴブリンは構わず、ゴードンに突っ込み、持っていた棍棒を振り回した。
すると、ゴードンの持っていた盾は一瞬にして砕け散り、そのままゴードンはゴブリンにマウント態勢をとられてしまう。
俺は、冷や汗をかきながらも、ゴードンに対して夢中になって棍棒を振り回しているゴブリンに向かって、思いっきり剣を振る。
ゴブリンとゴードンが倒され、消えたのはほぼ同時だった。
すると、
【レベルが上がりました】
【人形ゴードンが破壊されました。】
【スキル【棍術】レベル1を入手しました】
先程も聞いたアナウンスが頭に響く。しかし、先程とは違い、今回はゴードンが破壊され、スキルを入手していた。
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