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旅立ち

「さて、これからどうしたい?」

「主様はどうしたいのだ?」

「いや、それを聞いたんだけど・・・。まぁ、いっか。そうだなー・・・とりあえず、各国の王に会いたいな。恐らく世界最強レベルの4人。その人たちに勝てないと帝国を征服するなんて出来ないだろうし」

「なるほど。さすが主様。いい判断だな」

「レイリアはどうするんだ?」

「私は・・・あなた達に付いて行けません。一度、国に帰ります」

「そうか」

「グレンが生きているとしても私は、あなた達が帝国を征服すること自体を許した訳ではありません。いずれまた、あなた達を止めに行きます。

 今は何もしないでおきます」

「そうか。また、会えるといいな」

「私はもう2度と会いたくはないです」

 レイリアはそのまま踵を返すとその場を後にした。会場もいつの間にか観客がいなくなっており、静寂が包み込む。

「改めてよろしくな。スカーレット」

「こちらこそよろしく頼む。主様」

「その主様っての何とかならないのか? どうも慣れない」

「うーん・・・妾はこれで慣れてしまったからなー。まぁ、主様も慣れるしかないな」

「そういうもんかね」

 そういうもんだよとスカーレットが笑顔で返してくる。可愛いなー。南の大国か。一体どういったところなんだろうか。

「スカーレットはこの世界のこと詳しいのか?」

「サッパリ」

「この世界の住人なのにか?」

「内界のことはよく分からないのだ。外界にいたからな」

「外界か。竜王のいるところでもあるのか。ん? 竜は全員外界にいるもんなのか?」

「いや、そうでもない。内界にいる竜もいる。だけど、位が高い竜は外界にいる」

「へぇー・・・そうなのか。やっぱり竜王女にもなるとかなり上になるんだな」

「んー・・・というよりも妾が竜王の娘だから余計にだと思う」

「なるほど。竜王の娘ね・・・竜王の娘!?」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

 突然の告白に俺は驚く。スカーレットが竜王の娘!? ゲームにもそんな設定無かったと思ったが。何にせよ竜王に会わなければスカーレットとの結婚は認められないって訳か。


「娘はどうしてる?」

「内界にてとある人間と接触している模様です」

「とある人間?」

「恐らくはアチラ側の人間かと思われます」

「なるほど。ついに世界が動き出したという訳か」

「ご息女はどうされますか?」

「好きにさせておけ。いずれこの場所に帰ってくるはずだ。それに過保護過ぎるのは我は好きではない。あいつにはあいつの人生がある。ならば、見守るのもまた父としての仕事だ」

 尻尾の生えた男が付き人のような人間と話している。ガタイのいい体つきからただ者ではないということが一発で分かる。

 付き人のような人間は背が丸まっていて、実際の身長よりも遥かに小さく感じる。

 2人は王座のような場所で話をしていた。

「さすがは竜王様。して、内界からの侵攻はどうされますか?」

「ふむ・・・。侵攻の度合いはどうだ?」

 玉座の前にある球体から映像が映し出される。赤と青に色分けされた世界地図のようなもので付き人は説明を始める。

「進行速度は大したことはありませんが、着実に内界からの侵攻が進んでいます。半年ほど前まではおよそ20%ほどだった侵攻も現在では26%ほどにまでなっています」

「このままのペースで行けば近い未来に内界と外界で衝突が起きるな」

「恐らく3年~4年が目途かと思います」

「思った以上に早い。・・・あの人間がそれまでにここまで上がって来れればいいのだがな」

「難しいでしょう。体はかなりの逸材ですが、中身がそれに追い付いていません。追い付くまでに1年。そこから四帝王を倒すのに要する時間も考えると・・・足りないですな」

「なるほど。だが、一つ忘れている」

「と言いますと?」

「人間は時に大いなる可能性を見せる。我々竜は己の力を潜在的に知り、それをどれだけ伸ばすかということしか出来ない。

 つまり、限界を知ってしまい、そこで止まってしまう。だが、人間は違う。限界を知っても尚、己の内に秘めた可能性を信じる。そして、限界を超える。何度も何度も。

 そうして、過去の英雄達は世界を救ってきたのだ」

「英雄・・・。確かに、人間の英雄は異常でした。内界と外界という隔たりが無い時代に我々も何度も助けられました。それほどまでに強かった。

 しかし、それほどの人間が現在にいますでしょうか?」

「さぁな。もしかしたら、あの人間がそうかもしれんな」

 竜王と付き人は世界地図に映っている2つの点を見ながら感慨深そうに話す。2つの点は赤と青色であり、大きな闘技場のような場所にある。

 人類は着実に外界へと侵攻を進める。だが、それこそがこの世界の全ての始まりになることを誰も知りはしない。いや、竜王ならばもしかしたら知っているのかもしれない。

 だが、彼は必要以上に事を起こすことはないだろう。それこそが、この世界を支配する竜王だから。

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