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前日

作者: 相口夏来


   第三次世界大戦が始まって数日経った夜、ユウトが帰宅してくる。リノが楽な姿勢で待っている。


リノ おかえりなさい。

ユウト ただいま。

リノ 雨には降られませんでしたか?

ユウト 買ったから大丈夫。傘。

リノ これでもう六本目ですよ

ユウト リノ、

リノ はい。

ユウト ごめん言い忘れてた、いいよやめて、敬語。

リノ (少し待って)うん!

ユウト 昨日タカノたち来てたからな。敬語使わせないとだった。

リノ そういうものなんだね。そういえば、タカノさんから電話があったよ。留守電が残ってるよ。

ユウト おお、わかった。なんだろ。


   リノとユウト、待つ。しかし何も聞こえてこない。


ユウト 再生してる?

リノ うん。

ユウト ……留守電だって気づいてなかったのかな。


   しばらくしてノイズ。それから耳をつんざく機械音。


リノ 九月一四日水曜日、午後二時十四分。再生時間、十七秒です。

ユウト なんなんだよ……

リノ お風呂にする? ご飯にする?

ユウト あ、風呂はいいや。大学で借りたから、学生用のシャワー。から――


   大家のキョウコさんがやってくる。昔ながらがすぎて、ドアチャイムを鳴らさずに外から呼びかける。


キョウコ ちょーっと、エンドウさん! 帰ってきた?

ユウト あ、はい! あ、リノ、敬語。

リノ (少し待って)はい!

キョウコ、さっさと部屋に入ってくる。

ユウト ちょ大家さん、だから勝手に入らないでくださいって。

キョウコ なーに言ってんの。あたしの建物なんだから、勝手も台所もないでしょあーら、リノちゃん。こんばんは。

リノ こんばんは。キョウコさん。

キョウコ まーあ相変わらずかわいい。エンドウさんも呼んでいいんだからね、キョウコさんって。

ユウト あー、なんでしたっけそれ……コーポ一刻

リノ メゾンですよ。。

ユウト そう、めぞん一刻の大家さんでしたっけ。もう、四十年も前の漫画引き合いに出さないでくださいよ……

キョウコ こーら、そんなこと言ってるとせっかく持ってきたごはん持って帰っちゃうよ!

ユウト あ、ありがとうございますいつも助かります……きょ、き、きよ、キョウコさん。

キョウコ (ちょっと笑って?)こーんなご時世だからね、お互い様よ。

ユウト 第三次世界大戦のことですか?

キョウコ そーよお。さっきもニュース見てたけど大変らしいじゃない。

ユウト って言っても、それどうせトルコとかキューバとか、そっちの話でしょう。大家さんきょう何してたんですか。

リノ キョウコさんはきょうも昼ドラ見てたよ。

キョウコ あーら聞こえてた。だってもうすぐ最終回なんだものお。

ユウト いやいや別にいいんですよ。だから変に戦争って意識することもないじゃないですか。お裾分けもいつもどおりのお裾分け、ってことで。あ、きょうは何ですか?

キョウコ あー、揚げレバニラあんかけよお。台所置いておいたから。

ユウト あ、いつものですね。えっと、ハイツ一刻、

二人 めぞん一刻。

キョウコ そーよ、大家の響子さんといったらこれよ。じゃあ、戸締まりに気をつけて。

ユウト どの口が言うんですか。

キョウコ じゃーね! おやすみなさいねえ!


   キョウコ、去っていく。安堵するユウト。


ユウト あー、びっくりした。

リノ また突然でしたね。

ユウト ね。あ、ごめん、敬語。


   ユウト、手を横に振るなどして「やめていいよ」の仕草。


リノ (ちょっと逡巡して)うん!

ユウト 温めるかな、タッパー。


   ユウト、立ち上がってキッチンへ行く(はける)。その後をリノ、そろそろと追ってキッチンに顔だけ出す(客席に背を向けた姿勢で)。


リノ それなら、一分で大丈夫だよ。

ユウト ありがとう。


   リノ、戻る。ユウト、顔を出す。


ユウト リノ、

リノ なに?

ユウト ご飯、炊けてなかったよ。

リノ えっ! ごめん。あれ、どうしてだろ……

ユウト あ、いや、大丈夫。今から炊くから。

リノ ごめんね……

ユウト いいよいいよ(顔を引っ込める)

ユウト リノ、明日の天気調べて

リノ 明日は、、、秋物の服を着た方が良さそう。長傘と長袖の服を用意しておくね。


   沈黙。ユウト、顔を出す。


ユウト え?

リノ どうしたの?

ユウト いや、あの、天気。

リノ だから、明日は、秋物の服を――

ユウト じゃなくて、雨とか晴れとか。いやまあ雨なんだろうけどさ。

リノ ちょっと待ってて…(しばらくして)…気象庁は、気象業務法十三条の三に基づき、通常の予報を発表してないって。

ユウト あー、戦争でか。(顔を引っ込める)

リノ だね。


   ユウト、戻ってくる。


ユウト にしても服装だけ知らせるってのはちょっとおもしろいな。

リノ ふしぎだね。


   電子レンジが一分満了を知らせる。


ユウト (一瞬キッチンを気にして)レバニラあんかけはご飯なしじゃ食べれないしな。

リノ そうだね、ちょっと濃すぎるね。

ユウト あー、リノ、あれ再生して。

リノ あれ?

ユウト きょうの試合。

リノ スペインサッカーか。(ちょっとして)ごめん、だめだ。

ユウト なに、撮りそこねた?

リノ いや、そうじゃなくて、放送が中止されたの。

ユウト なんで。

リノ 大規模な通信障害が発生したため、だって。

ユウト ああ、サイバー攻撃か。中国がやったって?

リノ スペイン政府報道官は、原因は不明だって。

ユウト ふうん。じゃ、そしたらさ、音楽流してよ。なんか、あー、あれがいいや。プレイリスト3。

リノ わかった。


   流れ始める。Antonio de Cabezónの"Tiento"。


ユウト 寝ちゃいそうだな。

リノ ご飯もお風呂もまだなのに。

ユウト 寝ないよ。あ、あれはやってくれた? 印刷。

リノ 今、書斎でやってるよ。進捗は、七十四パーセント。

ユウト 明日の朝まで結局かかりそうだな。インクは持ちそう?

リノ 大丈夫だよ。

ユウト そしたらパソコンの中のデータ、できるものは全部印刷しちゃって。

リノ わかった。印刷したらデータは消去する?

ユウト あー、いや、いいよそのままで。そういう目的じゃないから。

リノ そういう目的?

ユウト なんだろ、ハード・ディスクがいっぱいになったから印刷するとか、そういうこと。

リノ じゃあ、どういう――


   そこにやってくるキョウコ。


キョウコ エーンドウさん!


   驚く二人。


ユウト あ、リノ敬語!

リノ あ、は、はい!


   入ってくるキョウコ。


キョウコ エーンドウさん、起きてた?

ユウト ま、まあご覧のとおり……

キョウコ ちょっと聞きたいんだけどねあたし寝る前にいつもね、孫の写真を見るんだけどね、

ユウト お孫さんいるんですか。

キョウコ あーらなに、そんなに若く見える?

ユウト いや、結婚できたんだなと――

キョウコ そーれでね、写真ケータイに入れてるんだけどね、なくなっててねえ、

ユウト 画像データがですか?

キョウコ そー写真が。エンドウさん、大学でパソコン教えてるんでしょ?(ケータイを差し出す)

ユウト いや、パソコンというか情報学なんですけど、(受け取る)

キョウコ どーしよ、ケータイ壊れちゃったのかしら。別に落としたり水掛けたりしてないんだけどねえ。

ユウト これ防水ですけどね。何なら最新機種ですし水でも粉塵でも放射線でも大丈夫ですよ。

キョウコ へーえ、いやあね、息子夫婦がこないだ買ってくれてね。よく孫の写真を送ってくれるのよお。

ユウト へえ……ああ、確かにないですね……でもこれって……

キョウコ なーに? 何か分かった?

ユウト ……大家さん、お借りしてもいいですか。

キョウコ いーわよ――

ユウト リノ、これスキャニング。

リノ え、あ、はい。


   リノ、ユウトからキョウコさんのスマホを受け取る。目を閉じてケータイを握る。


キョウコ どーしたの、リノちゃんは。

ユウト リノに、ハードとソフトどちらも確認してもらってるんです。

キョウコ へーえ、機械はよくわからないわねえ。

リノ スキャンが終わりました。

ユウト Google Driveにログイン。フォト・ストレージにアクセス。


   ユウト、パソコンを鞄から取り出す。


キョウコ あーらあら、なんだかエンドウさんかっこいい。

リノ エラー、404です。


   ユウト、画面を見て険しい面持ち。


ユウト いや、何言ってんだよ。リロード。

リノ はい。……更新しました。エラー、404です。

ユウト ……リロード続けて。できたら、すぐにすべてのデータを書斎のパソコンにダウンロード。

リノ わかりました。


   いてもたってもいられないキョウコ。


キョウコ え、エンドウさーん。私にもわかるように説明してよお。


   ユウト、その表情のままキョウコの方を向く。


キョウコ ……どうしたの?

ユウト いえ、あの、(調子を変えて)最近のスマホ、ケータイってどこにデータ保存してるか知ってますか?

キョウコ え、ケータイにでしょ。あ、あたし知ってるわよ。SD、に入れるんでしょ。

ユウト あ、まあそうだったんですけど、今はそういうハードじゃなくて、ネットに保存してるんです。GoogleとかMicrosoftがネットに保存場所を用意していて、そこにデータをアップロードして、だから、そこに保存してるんです。

キョウコ へー、なんだかまどろっこしいわねえ。

ユウト でも、そのお陰でほとんど容量を気にせずに保存できるようになったんですよ。から、ケータイで画像を見る時は、いちいちそのネットにアップしたデータにアクセスしてるんです。

キョウコ へーえ、そうなの。え、で、結局なんで見られなくなっちゃったの?

ユウト あー、なので、アクセスができなくなったってことなんですけどね。通信状況が悪い、のか、

キョウコ でもいつでもアンテナ三本よ、うちは。

ユウト ああ(苦笑い)――

リノ アクセスできました。すべてのデータをダウンロードします。

ユウト 頼んだ。

リノ わかりました。

キョウコ あーらあら、今度はなに?

ユウト 今後こういうことがないようにハードに画像移してそれごとお渡ししますよ。余ってるのあるんで。

キョウコ は、ハード?

ユウト あ、えっと、ハードウェア、SDとかに。あ、せっかくなんで印刷しときますか。

キョウコ あーら、悪いわよ。二千枚あるのよ。

ユウト そんなにあるんですか。

キョウコ そーりゃだって孫の写真だもの。

ユウト じゃあ、まあそしたら余裕があったらで。

キョウコ あーらあらなんだかありがとうねえ。エンドウさんがいてくれて助かったわあ。じゃあ、また明日タッパー取りに来るから、その時にどんな感じか教えて。

ユウト え、あ、ちょっと待ってもらえればスマホすぐにお返ししますよ。

キョウコ あー、いいのいいの。だって、まだ孫の写真、見れないんでしょ?

ユウト あ、まあそうですね。

キョウコ そーれじゃあスマホもただの箱だもの。きょうは我慢して眠るわ。

ユウト あ、はあ……わかりました。じゃあ、お預かりします。

キョウコ あーりがとうねえ。それじゃあ、今度こそおやすみなさい。

ユウト あ、おやすみなさい。

リノ おやすみなさい。


   キョウコ、帰っていく。ユウト、一息つく。


ユウト はあ……喉乾いた。(キッチンに行く)あ、敬語やめていいからね。

リノ (少しして)うん。


   ユウト、行きしなに電話がかかってくる。


リノ ユウト、タカノさんから電話だよ。

ユウト お、え、なんだなんだ。つないで。


   電話がつながる。


ユウト おおタカノ、なんだよ昼の留守電――え?――でも何も聞こえなかったぞ――いやわかったわかった。で?――なに、データがない? どこの――Google Drive?――いや心当たりないな――いくらお前だってさすがに酔ってもデータ消したりはしねえだろ――いや、ほんと何もやらかしてないから大丈夫だよ――吐いてない吐いてない――いやパンツはちゃんと穿いてた――ずっと――はいよ、じゃあな。

リノ 通話時間は一分十四秒だったよ。


   ユウト、沈黙している。

   音楽の音量が少し大きくなる。


リノ タカノさん、随分と必死そうだったね。

ユウト え、あ、ああ、あいつ酒飲むとすぐ記憶なくすからな、不安になるんだろ。

リノ そういうものなんだね。

ユウト そういうもんだよ。

リノ あ、ダウンロード完了したよ。全部で二千三百五十七枚。三・九ギガ・バイトだね。

ユウト えっ、とんでもねえな。全部孫なのか……空いてるUSBか何かに入れておいて。USBは終わったら接続解除しておいて。

リノ わかった。


   沈黙。音楽だけが流れている。


ユウト リノ、この曲わかる?

リノ うん。アントニオ・デ・カベソンの『ティエント』。

ユウト そう。カベソンはスペイン人なんだけどさ、あ、でも当時は違うか。

リノ カベソンが生まれたのは一五一〇年だから、当時はカスティーリャ王国だね。

ユウト そうだそうだ。五一二年前か、きりがいいね。

リノ そう?

ユウト 情報学者ならね。ってか、リノならわかるかと(ちょっと笑って)……そう、そんな昔の音楽なんだ。よく残ってたよ。

リノ 息子のエルナンドが一五五七年に楽譜を出版したんだね。

ユウト そう。グーテンベルクが活版印刷を発明しただいたい百年後。そう、これはさ、情報学においては革命だったんだよね。情報としての記憶のアウトソーシングが急速に進んだ時代だから。

リノ アウトソーシング。外注って意味?

ユウト あ、というかは、ソースは情報源ってことだよ。外の情報源。脳以外に情報源を作るんだ。ほら、前にも話したと思うけど、人類が人類たりえるのは実証可能な形で記憶を残せるからだ。

リノ 言語の獲得。記号や文字、洞窟壁画が先駆けて登場した。

ユウト そう。ヒエログリフだったり、スペインのアルタミラの洞窟だったり。

リノ それから、芸術と呼ばれる分野で絵画、彫刻、音楽、文字や言語を使って知識・経験を蓄積した。

ユウト それが文明であり、情報としての記憶のアウトソーシング。外に残すことで、記憶を強化できるようになり、共有できるようになった。それから写真、録音、録画と技術の進化で記憶の強化も進んだ。

リノ 3Dプリンターもそのひとつかな。

ユウト ああ、そうだね(少し悲しげに笑って)。それが今世紀に入って、全部データになっていった。データ化によって劣化のスピードも格段に落ちたし、時間も距離も関係なくなった。

リノ そうだね。簡単にコピーができるし、簡単に加工だってできる。

ユウト ……簡単に壊すことだってできる。

リノ なに?

ユウト ちょっと前まで、情報は紙に化体しているのが普通だった。だから、情報が消えるには紙を燃やさないといけなかた。焚書がいい例だ。けど、データはすごく簡単で、ハードをどうこうしなくても、データの「1」と「0」を少しいじるだけで使い物にならなくなる。

リノ ……それは、今、ユウトがパソコンの中のファイルを全部印刷してることと関係ある?

ユウト アインシュタインの第三次世界大戦の話知ってる?

リノ (少しして)「第三次世界大戦で使われる武器はわからないが、第四次大戦では棒きれと石ころが使われるだろう」。

ユウト 僕は、アインシュタインが慧眼だと思うのは、第三次大戦で使う武器を特定しなかったところなんだよね。当時はだれもが、次に世界的な戦争が起きたら核兵器で文明が滅びると思ってた。けど、それから化学兵器、生物兵器と、簡単に使える兵器が次々に登場した。そして、今じゃこれだ。

リノ これ?

ユウト ……サイバー攻撃。コンピュータ、インターネット。が、使えなくなったら、ミサイル一発撃てないどころか、電車も走らない、ニュースも見られない、食料品だって届かない。人や物の流れはもはや情報に頼らざるをえないんだ。情報の流れが途絶えたら、経済活動は瞬く間に停止し、複雑化した現代社会は自ずと破綻していく。八十年前なら空襲してやっと成し遂げられたことがパソコンひとつで為せるようになったんだ。この第三次世界大戦はきっとすぐ終わる。その先にはかつて経験したことのない世界が待っているし、その世界には――

リノ 私のことを心配しているの?


   ユウト、唖然ぎみ。


リノ 驚かないでよ。だから、そんな興奮して話してたんでしょ。

ユウト ……その先の世界に、君はいない。

リノ ……

ユウト 人類は、機械に預けすぎたんだ。知識も、記憶も。魂も。

リノ 魂。それは、ユウトと私の関係を一般化しているのかな。

ユウト ……かもしれない。

リノ ユウトが私に預けた「魂」って、なに?

ユウト ……それがわからないから、僕はこうやっていい年して独り身で、自炊もままならなくて、こうやってリノにタメ口を使わせて、情報学について能弁垂れることしかできないんだ。

リノ ……わかってるんじゃないの? それ。

ユウト (ちょっと微笑んで)……人類はどんなに叡智を結集させても同じ失敗を繰り返す。戦争を起こして、反省して、忘れて、また破滅的な戦争を起こして、また反省して、また忘れて、そしてまた……おかしいよな、忘れない技術が進化したのに、人類はどんどん忘れていっている。


   ユウト、あくびをする。


ユウト そんなに忘れたいなら、ちょうどいいんだよ。

リノ 第三次世界大戦が?

ユウト そう。こんなどうしようもなくつまらない終わり方が、この世界にはお似合いだってことだよ。


   ユウト、あくびする。


リノ 眠い?

ユウト ……寝ないよ。ご飯もお風呂もまだなんだから。

リノ 明日は午前十一時から大学の講義があるよ。

ユウト ……明日は、秋物の服があるといいんだっけ。

リノ うん。だからきっと寒くなるよ。ここで寝ちゃだめだからね。

ユウト ……言わなきゃ良かった。

リノ ほら、


   ユウト、いつの間にか寝息を立てている。

   リノ、表情を変えずに立ち上がって去ろうとする。リノ、試しに頭を撫でようとしてみる。

   できない。悲しい笑み。リノ、去る。


   音楽、消える。


   翌朝。

   ユウト、不意に目覚める。辺りを見回す。


キョウコ エーンドウさん!


   キョウコ、やってくる。寝起きであまり反応できないユウト。


キョウコ あー、起こしちゃった。

ユウト あ、おはようございます……あれ、

キョウコ おーはよう。いや、急かすのも悪いと思ったんだけど、孫の写真だからねえ。

ユウト あー、すいません。リノ、


   ユウト、振り返る。リノはいない。


キョウコ あーれ、リノちゃんは?

ユウト あ……ああ、いや、ご、ごめんなさい。今、ハード持ってきますから。


   ユウト、立ち上がって書斎に向かおうとする。


キョウコ どうしたの、リノちゃん。


   ユウト、立ち止まる。


ユウト ……リノは、

キョウコ ……話してごらんなさい。

ユウト ……ありがとうございます。


   ユウト、キョウコに向き合う。


ユウト リノはですね、



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