6、聖女
名前:トーヤ・アシハラ 年齢:16 種族:人族(勇者) LV:1
HP:300 MP:500
筋力:300 耐久:200 魔攻:500 魔防:400 敏捷:300
スキル:、MP吸収LV1、大陸語LV10
あれ? ユニークスキルは?
先程確認した自分のステータスと見比べスキルの数が少ないことに違和感を持つ。
鑑定水晶の不具合かな?
「これは……。どうやらアシハラ様もユニークスキルをお持ちでないようですね。MP吸収は、珍しくはありますが王国内でも存在が確認されているスキルです。まあ、頑張れば他の皆様に追いつけるかもしれません。期待しています」
明らかに侮蔑の目を向けられてしまった。
使えないと判断されてしまったみたいだけど……まあいいかな。
手札を王国側にひとつ隠せたということで、ラッキーだったと判断しておこう。
……あ、待てよ、弱いから処分なんてことないよね?
王女様期待してるって言ってたよね?
……その場合俺にはどうすることも出来ないし、スキルがひとつ増えたと言ったところで変わらないか。はぁ。
それに他にもユニークスキルのない人がいるようなことを仄めかしていたし、なんとかしようと思えば意外となんとかなるかもね。
周りからの嘲りの視線を一身に浴びながら列を外れていく。
こういうのはやっぱり、お世辞にも気分がいいとは言えないね。
あまり、というか殆ど交流の無かった人達に蔑まれても、気になるか気にならないかと言えば、そこまで気にならないけど。
でも、その中に輝堂君がいたのは意外だな。
俺みたいな境遇の者は、即座に励ましに来るタイプだと思ってた。
こんな状況で他人を気遣う余裕はないだろうし、仕方ないね。
「芦原君、大丈夫だよ! 勇者は普通の人より早く強くなれるって王女様も言ってたし、あと、平均よりステータスも高いし、それに………私もいるから! どんどん頼ってくれていいからね!」
そんな中、宮森さんは真っ先にフォローに来てくれた。
この世界での一般男性の平均的なステータスの数値は70。
騎士が300程度らしい。
ちなみに宮森さんのステータスはこんな感じだった。
名前:アマナ・ミヤモリ 年齢:15 種族:人族 LV:1
HP:200 MP:700
筋力:70 耐久:80 魔攻:400 魔防:800 敏捷:60
スキル:、聖女の護り、祈祷術LV1、回復魔法LV1、結界魔法LV1、付加魔法LV1、状態異常耐性LV1、HP高速回復LV1、MP高速回復LV1、MP消費緩和LV1、大陸語LV10
ちゃんと宮森さんのイメージに合わせて後方支援系のヒーラー役だった。
まあ宮森さんが攻撃力特化だったら正直引いてたかもだし、良かった。
そんな聖女みたいな宮森さんも励ましてくれてることだし、そろそろ切り替えるかな。
「ありがとう。そうだね、最初がちょっと悪くても、こんなものがある世界だし、努力すれば強くなれるよね。さっきも言ったように死なない程度に死に物狂いで頑張ってみるよ」
本当は大して気にしてないんだけどね。
俺の台詞に満足したのか、笑顔で頷き二、三フォローを重ね掛けして宮森さんはまたどこかへ走り去って行ってしまった。
その時、感じる視線が強いものになった気がする。
はて、なにかしたかな?