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晴れ男の雨好き

作者: 空のかけら

連載(2本)が始まる前に書いたものを加筆して掲載します。

僕は、周りから晴れ男と言われている。

なんでも、僕が晴れてほしい日の前日にお願いすると、必ず晴れる。

なんと、15歳になるまで、晴れなかった日はないらしい。


そんな晴れ男と言われる僕、実は雨の日が大好き。

だから、いつもは晴れてほしいなんて思っていなくて、雨が降りますように。嵐が来ますように。台風が来ますように、とお願いしている。

しかし、お願いして晴れることはあっても、雨が降ることはない。

不公平だ。


中学校を卒業後、高校に進学したが、僕の晴れ男としての名声(?)はすごいらしく、入学式の前日にも、


「ぜひ明日は晴れるようにお願いしたい。」


と校長先生が来たりしていた。


いつも通り、晴れますようにとお願いをした。


でも、なんだか、身体がむずむずする。

お願いをしたのに、なんだか中途半端な感じがした。


そこで、まだ残っていた校長先生にこんなことを言った。


「お願いをしたけど、明日、雨が降るかも…」


校長先生は、後半の部分を聞き逃したのか、なかったことにしたのか、


「ありがとう。明日も晴れる。いい入学式になりますな」


と上機嫌で帰って行った。


その後の夕食時に、お姉ちゃんに、


「お願いをしても中途半端な感じがする。雨、降るかも。」


と言っておいた。


お姉ちゃんは、同じ高校に通っていて、僕の1つ上。

お姉ちゃんと同じ高校に進学したのは、お姉ちゃんの同級生で文通相手の女の子が、近いうちにお姉ちゃんの通学している高校に編入する可能性が高くなったためだった。

この女の子は、お父さんの帰省先で出会ったのだが、お姉ちゃんと僕の3人であちこち探検したりした。

到着初日は、なぜか土砂降りの天気で到着から夜遅くまで、そんな天気だった。

姉に、明日こそ外で遊びたいと言われたので、『お願いをした』。

その結果、次の日の"午前中"は、昨日の土砂降りはどこに行ったのか、快晴であちこちに行けると思った。

お父さんの帰省先には、おじいちゃんとおばあちゃんの他、親戚が何人か暮らしている。

その親戚の家に行った際に、たまたま遊びに来ていたのが、女の子だった。

年齢は、お姉ちゃんと一緒。

すぐに3人、仲良くなった。


お昼を過ぎて、あれほど晴れていた空がいつの間にかに雲で埋まっていた。

辺りは、だんだん暗くなってきた。

まだ、お昼過ぎなのに、まるで夜のような感じ。

あちこちから、雷の音。ごろごろと聞こえてくる。


ドカーン。


近くに、雷が落ちたようだ。

女の子は、その音を聞いて、悲しそうな顔をしていた。

お姉ちゃんが、その顔を見て、雷が恐かったんだろうと思って、なぐさめようとした時。

女の子は、小さな声で


「雨を降らしてごめんなさい。」


と言った。

なんのことか分からなくて、困惑する姉弟。

断片的な話を組み合わせると、こんなことらしい。


 女の子は、周囲から「雨女」と呼ばれている。

 でも、全ての雨を自由に操れるわけではなく、ほとんど無意識で、バケツをひっくり返した雨、暴力的な雨を降らせることが多いらしい。

 

今回の天候の悪化も私のせい…

と考えていたが。


お姉ちゃんは、僕に向かって「お願いが負けちゃったね。」

と言って、少し笑っていた。


その言葉を不思議そうに、女の子はお姉ちゃんの方を見て、


「なんで、笑っているの?」


と聞いて、僕の事を話した。


すると、女の子はこんな事を言い始めた。


「私とけっこんすると、雨が普通になるかも…」


僕は、「けっこん」って何だ?

という感じで、お姉ちゃんと女の子が何の話をしているのか、全く分からなかった。


お父さんの実家がある地域は、近くにダムがいくつもある、下流地域の水がめと言われる地域だった。

そのためもあり、今の雨が頻繁にするのは"都合が良かった"。


その後、お姉ちゃんは、その女の子と文通をし始めた。

しばらくすると、メールのやり取りに代わっていったけど。


お姉ちゃんは、女の子に、うちに来なよ。

私と一緒の学校に行こうと誘っていたらしい。


あれから、数年が経って、両親のOKがもらえ、うちの両親は、初めからいつでも来ていいと言っていたので、割とすんなりと転校・編入学が決まった。

入学式の日の午後、家にその女の子が来ることは分かっていたのだけど、校長先生に会った時は、そのことをすっかり忘れていた。


あのとき、身体がむずむずするというのは、もしかして女の子の影響を受けているんじゃ?と、漠然と思った。


お姉ちゃんは、僕の雨発言に、黙って頷くと、両親にも同じことを言っていた。


入学式。

晴れていました。


でも、両親は傘と長靴と合羽を3人分用意して、万全の構え。

(お姉ちゃんは、女の子を迎えるために、自宅待機。女の子の両親が送ってくれるので)


でも、なんだか空気がピリピリしているような感じ。

僕だけではなく、他の人も感じるようで、どことなく、"これから何かが起こる"という予感があった。


講堂で入学式が始まって、20分くらいした時、校長先生のお話がうんざりするほど長くなりつつあったその時だ。近くに雷が落ちたらしい。講堂の照明は全て消え、さっきまで晴れていた外は、いつの間にか真っ黒な雲があちこちに点在するような感じになっていた。雲と雲の間を稲光が走っている。

校長先生は何かを叫んでいたようだったが、照明は停電によるものらしく、スピーカーの電気も落ちているため、全く聞き取ることができなかった。


他の人たちは、この荒らしのような天気や稲光、ひっきりなしに落ちている雷の音と震動に恐怖心をあおられているようだ。

幾人かは、入学生の席を離れ、親のところに行ったりしているようで、既に入学式をおこなえるような感じではない。


僕も両親のところに行って、


「女の子。今、家に着いたみたいだね。」


と、笑顔で言ったところ、母親が、


「ええ、あなたの婚約者が、来たようね」


と言った。


「ええ、そんなこと聞いていないよ。いつ決まったの?」


「ずっと前よ。お姉ちゃんから話を聞いて、すぐにあちらの両親と話した結果、快諾してくれたわよ。」


…どうやら、いつの間にかに結婚相手が決まっていたようだ。

知らなかったのは、僕だけか。


でも、悪い気はしない。

むしろ、僕のこころは昔から変わっていないことを再確認した感じ。

女の子のことが忘れられないように。

天気のことと一緒に。



僕は「晴れ男」でも雨好き、嵐好き、台風好き。

女の子…将来の妻は、「雨女」でも、普通の天気が好き。

2人が一緒になった時。天気はどうなるのか、今から楽しみだ。





少し、描写が足りない感じもありますが、ボキャブラリーが少ないのが欠点ですので、ご容赦下さい。



できれば、評価・感想などなどをお願いします。

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