冒険の準備
毎週日曜の更新を目処に頑張っていきたいです
ベッドの硬さにうなされながら目覚めた異世界二日目。今日は冒険者ギルドに行って冒険者登録をしようと思う。やっぱり異世界に来たら冒険者になるよねテンプレだよね!
前日に門番の兄ちゃんにギルドの場所は聞いていたので特に迷うこともなく辿りついた。
「意外にでっけえな・・・」
冒険者ギルドは石造りの頑丈そうな建物で、ビル5階建くらいの大きさがあった。
「いらっしゃいませ!ようこそ冒険者ギルドへ!」
中に入り新規受付のカウンターの前に行くと人の良さそうなおっちゃんに声をかけられた。むう、可愛い受付嬢はいないのか?
「すいません。冒険者登録をしたいのですが」
「かしこまりました。登録料として500ギン頂きますがよろしいですか?」
「構いません。」
因みにこの世界の通過はギンというらしい。宿の朝食が30ギンだったので大体1ギン=10円くらいだろうか。
「はい確かに。ではギルドカードを発券致しますので、あちらにお掛けになって少々お待ちください」
おっちゃんに案内された休憩所の様な所でキョロキョロしながら待つ。レストランバーの様なものも併設されてる様で、朝っぱらから酒飲んでる魔物がいる。あ、目が合った。こっちきた。
「よう兄ちゃん。冒険者ギルドは初めてか?」
魔物じゃなかった。ただのモジャモジャに髭を生やしたおっさんだった様だ。
「ええ、ずっと憧れだったんですよ」
「おいおい敬語とか止めてくれよ。冒険者になったからには皆仲間だ。今日会ったのも何かの縁だ、よろしくやろうぜ。俺はカサノバってんだ。最近やっとCランクに上がったばっかりだが、俺の方が長いこと冒険者やってる分アドバイス出来る事も多いと思うぜ」
▽ カサノバ は ガハハハと笑っている!
「はい、では。カサノバさん、よろしく。早速で申し訳ないんだけど冒険者について色々聞きたいんですが」
色々聞いてみた。
まず冒険者とは、ギルドから依頼を受けてそれをこなす人の事を指す。別に各地を冒険しなくても冒険者らしい。冒険者にはランクがあってSSS、SS、Sこの辺りは人外級。現在はSランクが1人いるだけで過去にもSSSランクになった人物はいないようだ。SSはいたようだが。A、Bで達人。国の軍隊と1人で渡り合えるくらいじゃないとAランクにはなれないらしい。C、Dで中堅クラス。ここが一番数が多い。E、Fが駆け出しとの事だった。Cランクまでは依頼をこなしていけば自動的に上がっていくが、Bランクから上は昇級試験があるようだ。自身のランクはギルドカードに記載され、自分のランクに合った依頼しか受けれない様だった。まあ当然か。依頼を達成するとその依頼に合った報酬がギンとして貰える。討伐依頼だった場合は討伐対象の死体は貰えるがギルドに買い取ってもらう事も出来る。魔物の大量発生など、緊急事態には辞退不可の強制召集がかかる事もある。と、そこまで教えてもらったところでギルドのおっちゃんが戻ってきた。カードが出来たのだろう。
「お待たせいたしました。最後にこの紋章に所有者様の血を一滴垂らして頂ければ登録完了になります」
針を受け取り人差し指をちょっと刺して血を垂らした。痛い。
「はい、登録完了です。こちら無くさないようにお願い致します」
おっちゃんからギルドカードを受け取りポケットへ。つーかそろそろ学校の制服から着替えたいな・・・。それには先立つ物が必要ですね依頼を受けましょう。
「これとこれ受けます」
早速だが近くに合った依頼ボードから簡単そうなのをチョイスしておっちゃんに渡す。
「はい、気を付けて行ってらっしゃいませ」
因みにカサノバはいつの間にか居なくなっていた。
また草原にやってきた。
受けた依頼はこうだ。
*ジェリー15体の討伐
*コボルトの5体の討伐
コボルトってのは小学生くらいの大きさで棍棒を振り回すほんの少し知性のある魔物らしい。出現場所は森も浅いところだそうだ。森は草原を1時間くらい歩くとある、とても広大なセルンの森という所らしい。
とりあえずジェリーをフレイムバレットで撃ち抜きながら森を目指す。ジェリー程度は相手にならないな。余裕で15体終わってしまった。
「ここがセルンの森か・・・」
でかい、でかすぎる。聳え立つ木一本一本の幹が直径5mくらいありそうだ。
ここにきたのはクエストのコボルト討伐もそうだが、昨日できなかったLevel 10の炎魔法を試すのが一番の目的だ。
どうやら王都で手当たり次第に鑑定をかけてた所、魔法スキルでLevel 10はおろかLevel 5以上すらほぼ居なかったので、俺の炎魔法がLevel 10だという事は当面内緒にしておいたほうがいいだろう。
「このあたりでいいかな」
辺りを確認し、人が居ないのを確かめる。
炎魔法Level 10のスキルは『ハウザーインパクト』、『エラプション』
どうやら『ハウザーインパクト』は単体攻撃、『エラプション』が範囲攻撃のようだ。
「とりあえず、あの幹に向かって・・・『ハウザーインパクト』!!」
少しの詠唱の後魔法が発動し、目的とした木の幹から半径20mくらいに渡って爆発し、消滅した。
「うわっ流石Level 10えげつない威力だ」
ついでに何匹か魔物も吹き飛ばしたらしくレベルが1つ上がった。
「次は・・・『エラプション』!!」
さっきより長めの詠唱の後、魔法が発動した。その様は一言でいうなら正に地獄絵図と言っても過言ではなかった。大地が割れ、割れ目からマグマやら炎やらが間欠泉の様に吹き出し、地上の大木を根こそぎ薙ぎ倒し燃やし尽くした。森の中に居た魔物などひとたまりもないだろう。
そう。森が消えたのだ。俺の魔法の一撃で。頭の中でレベルアップ音が連続で鳴り響くが意識できない。この森はかなり大きかった筈だ。それが根こそぎ消えてしまった。
「は、はは・・・すげえ・・・」
これが魔法か!凄まじい威力だ!そう言えば使用MPは・・・260しか残ってない。素で420の魔力量増加でプラス200%だからMP総量は1260もあった筈なのに・・・。これは使える人が居なくなったのも頷けるな。
森に居た魔物を一撃で爆☆殺したせいでレベルが一気に47まで上がってしまった。ステータスの伸びも凄い。ギルドカードにレベルまで表示されてなくて本当に良かった。
因みにギルドカードには倒した魔物を最新のものから1000件まで表示する機能があるので、今日だけで森を殲滅するくらいの大量の魔物を倒した事は言い逃れ出来ないだろう。
今日冒険者なったばっかで大量討伐ってやばいよな・・・はぁ。
というか森消しちゃったよどうしよう・・・。
「まあ何とかなるか」
今から心配してても仕方ない。ポジティブにいこうぜ。
ギルドカードを確認してみたらコボルトは31体も倒していた。コボルト以外にもなんか強そうな魔物の名前が一杯ある。
少し憂鬱だが冒険者ギルドに報告しに戻るか・・・。
「もう依頼を達成されたのですか?・・・ええっ!?なんですかこの討伐数は!?これは一体・・・」
まあそうなるよね。取り敢えず範囲魔法でチュドーンしたと言い訳しておいた。納得はしてないようだったがなんとか引き下がってくれたようた。
「ええっとですね、ギルドには依頼とは別に弱くない魔物には討伐報酬というものがありまして、要は強い魔物をせっかく倒したのに依頼受けてなかったから無報酬というのは切ないだろうと。倒していただく事で周辺の町の安全も守られますしね。その討伐報酬と依頼報酬を合わせてギルドからの支払いは・・・603250ギンになります。物凄い数倒されていましたからね・・・」
日本円にして600万ちょいだ。一気にお金持ちになってしまった。
貰ったギンをアイテムボックスにしまってギルドを後にする。
森爆発で800近い魔物を消しとばしてしまったようだ。
まあ、いいスタートダッシュを切れたと前向きに考えておこう。
お金も手に入ったし、装備を揃えに行こうかな。武器屋防具屋はどこにあるのだろう。門番の兄ちゃんから聞いておけば良かった。
あっちへフラフラこっちへブラブラする事15分ほどで武具屋を見つけた。武器も防具も戦闘関連のアイテムも売ってるようだ。
「いらっしゃい!ニイちゃん初めてだよな、どういった用件だ?」
快活で人当たりの良さそうなオヤジが出迎えてくれた。なんかこの世界に来てからおっさんとしか会ってなくね?
「武器防具を一式揃えたい。いいアイテムがあればそれも。魔法と剣を使うんだ」
まあ剣とかまだ使った事もないんですけどね。剣術Level 1は一般兵士レベルらしい。
「ほう?魔法剣士か、珍しいな。まず武器からな。なにか要望とかあるか?」
「いや、特にはない。使いやすい物を頼む」
「それじゃあ・・・これなんかどうだ?」
奥でゴソゴソやってから一つの剣をこちらに持ってくる。細身で軽いが丈夫そうな剣だ。ちょっと振ってみる。
「うーん、上手く言えないけどなんかイマイチ。もっといいヤツない?」
「そうか。まあ確かにこれは安物の部類だしな。というかニイちゃん予算はどの位なんだ?うちにはピンからキリまで色々あるぜ」
「予算は大量にある。取り敢えず一番いい剣見せてもらってもいいか?」
「おいおい無理すんなよ?・・・っと。これがうちの一番の剣、というか刀だな。ドラゴンの骨をフェニックスの素材で補強した最高級品よ!」
オヤジが自身満々で取り出した刀は、なるほど、確かにいい物だった。綺麗な紋が入り、刀身が長く鮮やかな緋色をしている。最高級品と言っていたが過度な装飾がされてるでもなく、かなり実用的に作られているようだ。
ちょっと振ってみる。まるで俺の為に誂えたかのようにとても手に馴染む。
「これはいいな、気に入った。いくらだオヤジ」
「おいおいオヤジ呼ばわりかよ。まだピチピチの34だっつーの。そいつは龍骨の炎刀といってな、250000ギンだ!・・・どうする?払えるか?」
「貰おう」
「即答かよ」
こんなに良いい刀手放したくない。異世界といえば西洋剣のイメージだが、やはり日本男児なら刀を振りたいものだ。刀身が150cmくらいありそうな程長いのも厨二心を刺激する。
取り敢えず250000ギン支払う。
「次は魔法触媒だが・・・アクセサリー型と杖の2種類がある。アクセサリー型は両手の邪魔しないのが一番の利点だが杖に比べて強化量が落ちる。杖はその逆だな。どっちが好みだ?」
「ふむ・・・アクセサリー型がいいな。龍骨の炎刀はかなり刀身が長めだし両手で運用する時もありそうだし。アクセサリー型も最高級の物を見せてくれ」
「ニイちゃん若いのに金持ってんな・・・」
オヤジは苦笑いしながら何やら高級そうな木箱から取り出した物を見せてきた。
「これは精霊王のグローブって言ってな、魔力と詠唱速度が上がるんだ」
どうやら指の第1関節から先の無い、いわゆるハーフグローブという物らしい。ただ普通の物と違うのは中指の部分に大きめの真っ赤な宝石のついた指輪が付いてる事だろうか。
「おお、中々オシャレだな。効果もいい。こっちはいくらだ?」
「こっちは150000ギンだ。買うか?」
「貰おう」
「毎度どうも!しかし金持ってんねーニイちゃん。防具も最高級いっとくか?!」
「いや、防具はそこそこのでいいや。適当に会いそうなの見繕ってくれるか?」
結局その後、魔法の威力に補正がかかる緋色のローブと特殊効果の無い小手、胸当て、ブーツを買った。アイテムは回復ポーションを山程。神様爺さんから回復魔法貰っとくんだったかなぁ。
★
新城 匠 男 17歳 異世界人
Level 47
HP 5620/5620 MP 20800/20800
筋力 1960
耐久 1810
敏捷 2692
魔力 9805
スキル
【剣術】Level 1
【身体能力強化】Level 1
【鑑定】Level 10
【気配察知】Level 1
【隠密】Level 1
【空間魔法】Level 1
【炎魔法】Level 10
【幻影魔法】 Level 1
【魔力量増加】Level 10
【高速詠唱】Level 1
装備
龍骨の炎刀
ランク S
炎魔法の威力UP
精霊王のグローブ
ランク A
全魔法威力UP
緋色のローブ
ランク C
炎耐性