表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第二話 神様(じじい)

  「よーしじじい歯ぁ食い縛れ」


 両手の指の骨をボキボキ鳴らしながら 自称神様に迫る。

 これでも小学校から今までずっと運動部に所属していたのでそれなりに筋肉は付いている。あんな老ぼれ訳なくピチュン出来るだろう。


  「まっ待つのじゃ!ワシは神であり寿命は存在しないが不死ではないのじゃ!そんな硬そうな拳で打たれたら死んでしまうのじゃああああああ!!」

  「あーうるさい。つまり死ぬまで殴れば神様も死ぬって事だろう?」


  言うや否や老ぼれに怒りに満ちた拳を振り抜くべく駆ける。


  「ひいぃ!!分かった!分かった!スキル好きなのあげるから許してくれえええええ!!」

  「ほう?スキルってなんだ?」


  俺の正義の右拳は爺さんの顔面数センチの所でピタっと止まっている。


  「すっスキルというのはじゃな、人が先天的または後天的に得られる才能のことじゃ。スキルには大きく分けて肉体スキルと精神スキルの2種類があって肉体スキルには剣術や俊敏など身体能力に関わるものが、、精神スキルには火魔法や魔力量増加など精神面に関わるものがあるのじゃだから好きなの選ばせてやるからその拳をじわじわ近付けてくるのはやめてほしいのじゃ!」


  一息にここまで言い切る爺さん。最後の方はちょっと涙目だった。哀れ。


  「ふん。好きにってとはどういう事だ?通常は選べないのか?」

  「うむ、勇者は通常その者の資質ーーまあステータスじゃなーーを見てワシが決めるんじゃ」

 

  なんとこの世界にはステータスまであるらしい。なんかRPGみたいだな。


  「なるほどなー。じゃあ俺のステータス見せてくれるか?それ見てスキルを決めたい」

  「いいじゃろう。因みに他人のステータスを見るには鑑定スキルが必要じゃからな」


  言うやいなや俺の脳裏に自分のステータスが流れてきた。不思議な感覚だ。


 ★

 新城 匠 男 17歳 異世界人

 Level 1

 HP 60/60 MP 350/350

 筋力 50

 耐久 42

 敏捷 60

 魔力 200

 スキル

 なし


  ・・・。

 

  「なあこれ、一般平均はどのくらいなんだ?」

  「ふむ。なんの訓練も受けてないこの世界の人間の平均はどの項目も10が良いところじゃろう。今回召喚されたお主以外の勇者は120〜150って所かのう。それで言えばお主はMPと魔力だけはかなり優秀じゃのう。まあそれ以外はちと情けないがの」

  「むぅ・・・」


  あいつらは特に資質が高いみたいな事言われてたからな。

  しかし俺のMPと魔力が早瀬組よりも随分と高いのはどうしてなんだろう。


  「それはただの才能じゃな」


  そういうことらしい。


  「じゃあ早くスキルを寄越せ。勇者っていくつ持ってるんだ?」

  「そうじゃのう、今回の勇者は全員に5つのスキルをあたえておる」


  ふーん、なるほどね。それじゃあ・・・。


  「15個寄越せ」

  「は?」

  「15個だ。こっちはなんの力もないまま危険な世界に無理やり連れて来られたんだ。それくらいしてくれても当然だよなぁ?」

  「い、いや・・・流石にそれは多すぎるんじゃ・・・」

  「あ、スキルにレベルとかあるのか?あるのであれば2つか3つレベルマックスにしてくれるなら10個で妥協しようじゃないか」

  「む、むぅ・・・」


  爺さんは悩んでいる様だった。だが俺はこれをふっかけ過ぎだとは思わない。人1人の人生をただの勘違いで狂わされてるのだ。これでも安いくらいだろう。

  元の世界に戻してほしいとはあまり思わない。両親の事は心配だがまあなんとかなるだろう。それよりも今俺の胸中を占めているのは夢にまでみた異世界ライフなのだ。剣と魔法の世界なのだ。これを楽しまない手はない。まあそんな事この爺さんには言わないが。


  「で、どうするんだ?爺さんは勘違いで召喚したか弱い一般人を野垂れ死にさせる気なのか?」

  「・・・・・・・・・いいじゃろう。この世界にはスキルレベルがある。マックスはレベル10じゃ。レベルマックスのスキルを3つ、レベル1のスキルを7つでどうじゃろう・・・?」

  「ああ、悪くない。それで手を打とうじゃないか。じゃあ早速スキルの一覧を見せてくれ」

  「ほれ、かなり多いからゆっくり時間かけたらいいじゃろう・・・」


  なんか爺さんが元気ない気がするがきっと気のせいだろう。

  ていうか本当にスキル多いな。こりゃ全部目を通してたら相当時間かかりそうだ。

  何を取ろうかな、まずはせっかくの異世界だから剣術スキルに隠密や索敵なんかの定番系と豊富な魔力を活かせる魔法とーーーー



  「お待たせ。漸く決まったよ」

  「おお、本当に待ったわ。それじゃそろそろ元の場所に戻すぞ?」

  「ああ、やってくれ」


  神様はもう会う事は無いだろうと言っていた。なんだかんだありがとう神様、俺のワガママを聞いてくれて。間違えて召喚した事は許さないけど。


 ★スキル

【剣術】Level 1

 剣の扱いに補正

【身体能力強化】Level 1

 筋力、耐久、敏捷に補正

【鑑定】Level 10

 人や物体の情報を表示する

【気配察知】Level 1

 自分の周囲の気配をより強く感じられる

【隠密】Level 1

 自分から出る音を消し、存在感を薄れさせる

【空間魔法】Level 1

 アイテムボックス、ワープ等の空間を統べる魔法を覚える

【炎魔法】Level 10

 フレイムバレットやファイヤーウォール等の炎魔法を覚える

【幻影魔法】 Level 1

ミラージュやファントムミスト等の対象を惑わす魔法を覚える。

【魔力量増加】Level 10

 魔力の総量が増加する。Level 1から20%ずつ増加。Level 10でプラス200%

【高速詠唱】Level 1

 魔法の詠唱速度が増加する。Level 1毎に10%ずつ増加




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  俺は今草原に立っている。風が心地いい。すぐ後ろにはアステルダム王都へと続く大きな門。


  「とても異世界っぽい!!」


  草原の所々でぐにぐに蠢いているスライムっぽい魔物を遠巻きに眺めながら一人言。

  え?ユリアのお願いと他の勇者はどうしたのかって?おいおい俺は一般人だぜ?一般人に魔王なんて倒せるわけないだろう?俺は俺でノンビリやるさって強引に納得させてお小遣い貰ってお城から出てきました。ユリアさんは王女様でした。早瀬組は魔王討伐に向けて訓練するんだって。あ、もちろん神様爺さんからスキル貰った話はしてない。


  「さーて、いきますかー?」


  俺がアステルダム城を出てから脇目も振らず草原までやってきた理由は二つ。

  一つは異世界を感じたかったから。要は魔物を見たかった。

  もう一つは魔法の試し打ちだ。せっかく炎魔法Level 10を持ってるのだ。早く使ってみたい。空間魔法Level 1と幻影魔法Level 1はレベルが低くまだ攻撃魔法は使えないようだ。

  炎魔法は魔力で炎を発生、操り攻撃したり身を守ったり出来るようだ。


  「あいつにするか」


  近くを歩いて?いたスライムっぽい魔物をターゲットに。鑑定をかけてみた。スライムではなくジェリーという魔物らしい。かなり弱いらしいので初戦闘にはもってこいだろう。

取り敢えずはLevel 1から使える初級魔法からでいいだろう。


  「さて、『フレイムバレット』!」


  ジェリーに向けた右手の人差し指から炎の塊が射出され、明後日の方向に飛んでいった。

なるほど、手のひらじゃなくて指から出るのね。もう一度。


  「おぉー、これはこれは」


  とても楽しい。

さて次はちょっとだけ幻影魔法を試してみようか。


「『コンフュージョン』!」


コンフュージョンはかけた対象を錯乱状態に落とす魔法だ。

コンフュージョンがかけられたジェリーは近くに居た別のジェリーを襲い始めた。


「なるほど、これは楽でいいや」



その後ここら一体の草原を駆け回り、ジェリーを貫いて回って、すっかり日も落ちた頃にはLevelが5まで上がっていた。

  というか召喚されたの夕方だったしな。もう夜だ。


  「あっ、Level 10の炎魔法使ってねえじゃん」


  すっかり忘れていた。



  ジェリーの死体?残骸?をアイテムボックスに回収しつつ王都へ戻り、宿を取った。門番の兄ちゃんに一番安い所を教えて貰った。やっぱり安いだけあってご飯はボソボソしてるしお風呂は無いしベットは硬いしでちょっと後悔。明日からはまともな所に泊まろう・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ