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閑話 お姉さんが一番エロい

 宿の取り方で一悶着した俺たちは、俺とディア、それに奴隷となったエナとサエの四人で一部屋、そしてティルンとウールル、ウールナの三人で一部屋を取る事になった。


 女性と一緒はなんだから、エナとサエで部屋を取るように勧めたんだよ? ティルンの目線も怖かったし。だけどエナの、


「奴隷となった以上、奴隷道というものがございます。ご主人様と片時も離れず、警護するとが我らの使命。同室、寝床はゆかの上で結構」


 と言ってゆずらなかった。それにサエが反対するはずもなく、結局押し切られる形で四人部屋に入った俺は、スッポンポンになってベッドに飛び込んだ。


 だって今夜は満月、人化したディアが、シッポをフリフリやってくると、全身をペロペロしだすんだもの。体を拭いたところでどうせ一緒だろ? 細かい事は知ったこっちゃない。


 俺は頭をなでながら、やりたいようにさせる。最近では毎食後に口をゆすぎ、人化した時は歯を磨かせるようにしたから、ディアの口臭は大分とマシになってきている。

 少しの臭いは野性味として、それはそれで良しと思えてきた。というか、なんだか癖になって来た気がする。今さら無臭だと物足りなく感じるんじゃないか? これって変態なんだろうか? まあどっちでも良いが。


 ディアの人化に驚いたエナとサエは、俺たちが当然のようにいたすのを、呆気にとられて見ていたが、体力の有り余る俺を、持て余すディアを見て、


「助太刀いたす」


 と服を脱いでベッドの側にやって来た。エナちゃん、胸にサラシを巻いていたのね? 解き放たれた双丘は、ツンと上を向く中々の釣り鐘型(つりがねがた)

 普段の厚着に守られた純白の肌に、桃色のプックリとしたいただきが恥ずかしげに顔をみせていた。


 顔を真っ赤にしているが、体を隠そうとしない。そこらへんは奴隷道というものなのか? 後ろで結わえた髪をほどくと、腰まで伸びた黒髪がサラリと揺れた。


 手を伸ばすと、


「あっ」


 と声を上げる。疲れ切ったディアが好奇の目で見上げてくるのを、少し怒ったように見たエナは、膝の力を抜くと、俺にかぶさってきた。


「ご主人様の初陣、かいしゃく申し上げます」


 まるで切腹の助太刀のような事を言うのはサエ、いや切腹じゃなくて、セッ○スだからね? と思って見ると、短い肌着の下は細めのふんどし一丁。


 ひざまずいて肌着のすそから見える薄布は、太ももの奥、下半身の形をそのまま写しだしてしまっている。


 小ぶりな胸も、角度によっては可愛らしい乳首が見えそうで……見えない。


 〝この娘、やるなっ!〟


 その顔を見るが、平常心といった風で、むしろこんな事には慣れている風格を感じた。


 見えそうで見えない服装といい、男心を知り尽くした性の上級者ってことか? くノ一といえば、性技をもって男を骨抜きにするのも、朝飯前というイメージがある。


 前世のくノ一と、この世界のは違うだろうが、誰かに仕込まれたであろうそのテクニック、受けて立とう!


 俺はウブな主人とともに、老練な従者を攻略にかかった。主人を立てねばならないという地の利が、俺に味方する。なに、時間はたっぷりあるのだ、そして夜通し戦える体力は有り余っている。


 久しぶりに燃えるシチュエーションでの戦いに、たぎる、ほとばしる、絶頂する。


 その晩、復活してきたディアも交えて、くんずほぐれつ寝技の練習に勤しんだ俺たちは、いつの間にか朝を迎えていた。三人の娘は力を使い果たして、幸せそうに寝ている。そっとしておこう。


 トイレに行って、顔でも洗うか。と部屋を出たところで、


「おはようございます」


 お上品なウールルに声をかけられた。その姿は寝起きにもかかわらずとても美しい。朝日に透けるような肌は、血が通っているのか? と疑うほど、白磁器のように艶やかだった。


「おはよう」


 というと、廊下ですれ違う。トイレは離れにあって、廊下は狭い。顔がつきそうなくらい近付いた時、


「昨晩はおさかんでしたわね」


 と聞こえるか聞こえないかという声でささやかれた。耳たぶにかかる甘い息に身震いしそうになる。


「き、聞こえてました?」


 少しバツの悪い俺は、うつむき加減で通り抜けようとする。すると胸に手を置いてきたウールルが、


「ええ、それにわたくしも女でしてよ?」


 とその手を下に持っていくと、サワリと円を描いた。


 おおおおおっ! 何という色香、ほのかに甘い香りがして、朝だというのに元気になってくる。というか朝だからか!?


「今晩、お邪魔してもよろしいかしら?」


 と耳元でささやかれると、返事をまたずに耳たぶを甘噛みされた。


 お姉さま〜〜〜っ!


 廊下にくずおれる俺を置いて、自室に戻るウールル。


 〝ラスボスが現れた〟


 自らの漢気おとこぎに立ち上がれなくなった俺は、しばらくほとぼりを冷ますと、中腰になってトイレへと急いだ。


 その晩、ウールル選手とのスパーリングが熾烈を極めた事は、言うまでもないよな……アディオス!

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