小さな勇者とテスト問題
あるところに小さな少年がおりました。
小さな少年が洞窟で遊んでいると、石に突き刺さった伝説の剣を見つけました。
小さな少年はうっかりとそれを抜いてしまったので、みんなから勇者と讃えられ魔王退治に行くことになりました。
勇者の装備と秘石を受け取り、いざ魔王城へ。
でも魔王は勇者と戦おうとせず、たくさんの手下に小さな少年を襲わせました。
小さな少年は負けずと伝説の剣でどんどん敵を倒して、とうとう魔王との一騎打ちになりました。
「僕はたくさんの敵を倒したから、魔王なんかに負けないぞ!」
そういって小さな少年は伝説の剣を魔王に振り下ろしました。
ところがそれは魔王がもっていた不合格の盾に止められてしまいます。これでは魔王に攻撃が当たりません。
それなのに魔王は魔剣で攻撃をしてきます。
少年は最後の手段である秘石を取り出すと、不合格の盾に投げつけました。
すると不合格の盾は花丸の鳥へと姿を変え、魔王の魔剣を奪い取りました。
「僕は負けないぞ!」
伝説の剣を振り下ろすと、武器のない魔王は悲鳴を上げて倒れました。小さな少年はとうとう魔王に勝ったのです。
魔王の身体は煙のように消え、空には花丸の花火がいくつも上がっていました。
うっとりと花火を眺めていると、どこからか小さな少年を呼ぶ声が聞こえてきます。
「起きなさい!今日はテストの日でしょ!遅刻するわよ?」
あれれ?お母さんの声です。
「魔王ならもう倒したよ!」
自慢げに言ったあと、小さな少年は今までの事が夢であったことに気づきます。その証拠に少年がいるのも魔王城ではなくお布団の上です。
「ほら準備して学校に行きなさい」
お母さんにいわれて、小さな少年はしぶしぶと学校に行きました。
学校についてテストの時間、筆箱の中を見ると夢で出てきた伝説の剣と秘石がはいっていました。
小さな少年は思いました。
「僕は負けないぞ!」
数日後に帰ってきたテストには、大きな大きな花丸がついていましたとさ。