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18 静峰 月夜(月夜茸の少女)

「やっぱり月夜も、この国まで来ていたんだね」


「……直視してはいけないのですよ。あのパンチラは目の毒。……裏地の光で目から最初にやられるのです」


 静峰 月夜の《夜光(ノクティルセンス)》。

 その実態は光子状態の毒で攻撃するとかいうおよそ原理の分からないものだ。


 だが実際の現象としては、彼女の発する光を浴びると微量の毒を受けるそうだ。

 そして光を浴び続けていると徐々に身体能力を低下させられていくらしい。

 特に目はやられやすいらしく、月夜嬢の姿を直視すると一時的にだが視力が一気に低下していくそうだ。


 だから彼女と相対する際は出来るだけ姿を見ない必要があるとのこと。

 だが俺は……月夜嬢から目が離せなかった。


 だってパンチラしてるんだもん。


挿絵(By みてみん)


 パンチラと言っても、中から見えるのは黒いカボチャパンツで下着という感じはあまりしない。

 だがしかし、スカートの中から覗くという事象そのものが、月夜嬢のカボチャパンツを至高の存在へと押し上げていた。


 さらにその下に続く網タイツにロングブーツ。

 その全てが素晴らしく、罠だと分かっていても俺は彼女から目をそらすことが出来なかった。


 さらにスカートの裏地までうっすらと黄緑色に輝いて見える。

 いや、この光がやばいってことは十分ちゃんと分かっているのだ。

 だが分かっちゃいるけどやめられない。


 月夜嬢、なんという恐ろしい敵だろう。

 見ちゃいけないと思うほどに見ずにはいられない魔性の魅力を持つ少女だった。


 もっとも俺には彼女の《夜光(ノクティルセンス)》も無意味なので思う存分鑑賞していたが。



 ちなみに月夜嬢は絶対領域以外も大変よく素晴らしい。

 黒を基調としたゴスロリ服も彼女によく似合っている。

 頭に乗せてるヘッドドレスも可愛いし、褐色の髪も裏側がスカート同様緑に光って幻想的な美しさを醸し出していた。


 要するに月夜嬢は、すごく可愛くて目立つ美少女だった。



 うん、これは見るなという方が不可能だ。

 俺は月夜嬢の外見戦闘力に恐れをなしつつ彼女をローアングルから眺め続ける。

 ちなみに俺の視線がローアングルなのは紅を縦四方固めで抑え続けているため。

 決して月夜嬢の絶対領域を見たいが為に地面に寝そべっているわけではない。


 だが出来るなら、むしろ仰向けになって真下から月夜嬢をパンチラ盗撮しまくりたいと俺は思う!



 そんなことを考えている内に、月夜嬢は俺の真上までやって来ていた。

 もちろん俺は真下から月夜嬢の絶対領域を思う存分鑑賞させて頂く。


「……変態さんの変態度がもはや限界突破してるのですよ」


 ヴェルナにすごく悲しそうな目で見られてしまった。



「久しぶりだね月夜。あんたもやる気か?」


 ファルが戦闘態勢をとって話しかける。


 だが月夜嬢の返事は否だった。


「まさか。こんな状況で戦ったりなんてしないよ。私勝てない戦はしないもの」


 とのこと。


 これは純粋に嬉しいことだった。

 俺の体の下で紅が歯ぎしりしてる気はしたが。


「月夜てめぇ……」


 紅がめっちゃにらんでいたが月夜嬢には効かない様子。

 そのまま月夜嬢は話を続けた。


「私だって、そこのヒアリヌスさんがこんなに強いだなんて知らなかったんだもの。それを見誤った時点で私達の負けよ。はあ……、せっかくヴィロサがいなくてチャンスだと思ったのになぁ。しかもそういうの全部含めて、ヴィロサの掌の上だったって言うんだから救えないよね」


 ここでヴィロサ嬢の名が出てくるのに俺は違和感を覚えたが、その理由はすぐに分かった。


 月夜嬢の後ろから、真っ白な大鎌がにょきっと飛び出してきたのだ。

 その鎌がぴったり月夜嬢の首筋に突きつけられている。


 そうして月夜嬢の後ろから、天使のような羽を生やしたヴィロサ嬢が現れた。


「なっ……なんでてめぇがここにいんだよヴィロサ! 転生中じゃなかったのかよ。前もって準備してても最低後一週間は――って、てめえ幼菌のままじゃねぇか! なんで幼菌のまま外出ちゃってんの? 頭馬鹿なの?」


 紅が驚愕しながらわめきちらしていた。


 いや紅だけではない。

 俺を含むほとんど全員が、ヴィロサ嬢の姿を見て固まっていた。


 なぜならヴィロサ嬢の外見が……あきらかに中学生になっていたからだ。

 いや、中学生とういかなんというか……とにかくちっちゃくなっていた。


 ディフォルメキャラみたいに微妙に頭身が少ない。

 身長もヴェルナと同じくらいになっている。


「ふふっ。どうかしら。少しロリってみたんだけど、こういうのもたまにはいいんじゃない?」


 などと言っている。


 そんなヴィロサ嬢の様子を見てファルがあきれた顔で話しかけた。


「まったく……ヴィロサにはいつも驚かされるけど、また思い切ったことしたもんだ。子実体が完成する前に出てくるなんて正直あきれたよ。もっとも、だからこそこうして月夜達の裏もかけたんだろうとは思うけどさ」


「ふふっ、まあね。毒の効かない人間が現れて、さらに私がいないとなれば邪魔したい人は攻めて来るでしょ。それでも準備に時間は必要だから、速くて二週間、遅くても三週間目には出てくるわよね。だから私、実は先週から外に出てきてたのよ。……でもごめんなさいねヒアリヌス。三体一じゃあ分が悪くて、あなたのお店が壊されるのは防げなかったわ」


 とのことだ。

 ちなみにヴィロサ嬢は、最初から月夜嬢だけを抑えていたらしい。

 後は俺達が自力でどうにかするのを待っていたということだ。


 もちろんこれは俺達にとってかなりの助けとなっていた。


 紅達は月夜嬢が動ける前提で作戦を立てていたからな。

 本来ならウスタが時間を稼いでいるうちから月夜嬢が攻撃する予定だったのだ。

 その後も紅が地雷原で時間稼ぎをする間に月夜嬢がさらに攻撃。


 つまり月夜嬢こそが本来敵の主攻だった。


 ウスタと紅はただの時間稼ぎで、月夜嬢の《夜光(ノクティルセンス)》によって俺達が弱体化するのを待っていたのだ。


 だが毒を無効化出来る俺はともかく、他のみんなにも全く弱る気配がない。

 その時点で紅は内心あせりまくっていたことだろう。


 要するに紅達は作戦の要を、ヴィロサ嬢に完全に抑えられていたというわけだ。


「そういうわけだけど、ヒアリヌスがあんなに強かったのは私にも予想外だったのよ。ヴェルナとファルだけでも勝ってくれるとは信じてたけど、あなたのおかげで犠牲をより少なく出来た。お礼を言わせてもらうわね、ヒアリヌス」


 ヴィロサ嬢が礼を言ってきた。



 全てが彼女の掌の上だったって言うのは少し思う所もあるが、何にせよこれで事件は解決だ。


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