energy30:ポイズン
「し、真華に[列強]は何人いるんだよ?」
「私もはっきりとはわかりません。あなたは[列強]ではなかったのですか?これは残念ですねぇ・・・」
サブラントは笑みを浮かべながらロスノフに圧力をかける。ロスノフが焦ることは彼の思うつぼだった。しかし・・・
「ヒヒヒ、我々は戦いを楽しみにしているんですよ。口先だけが[列強]だと、ガッカリしてしまいますので」
エグゼスは違った。彼は元[メンシェヴィキ]で、座原とは友人の間柄だった。つまり、このような場面は彼にとって稀ではなかったのだ。
「ほう、言いますね・・・」
サブラントは眉をひそめた。そして、シャオピンにこう指示した。
「お前はそこの世間知らずを仕留めろ。オレはあの臆病な男をやる。」
「はい」
シャッ 彼は環刀・・・龍断刀でエグゼスに斬りかかった。エグゼスはミングレルクローで受け止めた。
「いきなりですね・・・」
「戦いを楽しむのはお前たちの勝手だが、オレは楽しむ気はない。ただ倒すだけだ。」
ガキィン ギギィン! シャオピンの攻めには全くスキがなく、エグゼスは防戦一方だった。一方・・・
「まだ、怯えているのですか?」
シャキッ サブラントは指先(中指・人差し指)から5cm程の針・・・点殺針を出した。ロスノフもシリアルサイズを構えた。
(くそっ・・・やってやる!)
「うぉらっ!!」
(焦りすぎですね・・・)
サブラントはロスノフの攻撃を軽くいなすと、首に指を突き出した。ロスノフは後ろに退いたが・・・
ビュン!
「!!?」
なんと、サブラントの腕が伸びたのだ。当然ロスノフの首に針は刺さった。
「ちくしょう・・・何だ、体が動かねぇ・・・」
ロスノフを体の痺れが襲った。
「[毒蛇]っていうのはこういうことか・・・」
「一関節分、腕が伸びるんですよ。この能力さえなかったら[列強]にはなれませんでしたよ。」
「これが、[列強]の壁、か・・・」
「蜒蜒長堕撃」
ビュン! また腕が伸び。今度は腹に深々と針が突き刺さった。
「今度は毒を入れてませんよ。ちなみに毒が体を巡るのは約1分。その間何もできない。ハハハ・・・」
それから、サブラントの半ばリンチといえる状態が続いた。
「ハァ・・ハァ・・ハァ・・」
「まず、一人・・・この腕で仕留めてやる。」
サブラントは腕を振り上げた、しかし・・・
「ヒヒヒ・・・」
この声にサブラントは振り向いた。そこにはシャオピンと互角に戦っているエグゼスがいた。
「何をしているシャオピン!お前らしくもない。」
「申し訳ございません。今すぐに・・・」
ビュン! 龍断刀がエグゼスに迫る。しかし、エグゼスは瞬間移動ともいえる速さで、シャオピンの後ろに立った。
「ヒヒヒヒヒヒ!!」
ズコォッ!! エグゼスのミングレルクローがシャオピンの背中を切り裂いた。
「グゥッ!」
「・・・」
これにはサブラントも開いた口が塞がらない。
「お、おのれぇ!!」
エグゼスは猶も攻撃を仕掛ける。だが、シャオピンも負けてられない。
ガィン!! 龍断刀がエグゼスの攻撃を弾いた。
「斬打」
ドォォン!! エグゼスは、まるでハンマーで叩かれたような一撃をくらった。
どうやらシャオピンはエグゼスの攻撃のタイミングをつかんだようだ。
「はっはっは!さすが我が参謀!」
「100%成功するとはわかりませんが・・・」
「やられましたね・・・ヒッヒッヒ、戦いは楽しいなぁ・・・」
エグゼスは元[メンシェヴィキ]だけあって、かなり好戦的な性格だった。
「ヒッヒッヒ、お前は油断してていいのか?」
「何?」
サブラントはロスノフがいた位置を見ると、そこにはロスノフはいなかった。
「なっ!ど、どこに!?」
「うぉぉぉらぁあっ!!!首無し!!!」
ビュオッ!!空に跳んだロスノフはサブラントの首に全体重を乗せた一撃を仕掛けた。
サブラントはなんとか直撃は避けたものの、肩に攻撃を受けてしまった。
「元気ありありのようですね・・・どうやらヘラヘラしている場合ではなさそうです」
(よく考えてみたら、俺は普通に栄己に勝負を挑んでたじゃねえか!栄己も目の前にいるあいつも同じ[列強]なんなら、ビビる必要はねぇ!!)
ザッ ロスノフのそれまで逃げ腰だった構えがなくなった。
「今からお前にいいものを見せてやるよ。」
ロスノフは言った。
「なんでしょう?[列強]でない者の足掻き方ですか?」
サブラントはまたも皮肉を言った。しかし、今度はロスノフには通じなかった
「へっ、普通の[列強]なんかにはねぇ、とっておきの能力さ」
ロスノフの真の能力が、今。
終
エナジースーツ紹介
サブラント
装着者 少田 劉
武器 点殺針