energy28:シックス
『模範戦闘』・・・日本政府がエナジースーツの能力向上を目的とした制度である。
ルールは以下の通りである。
・戦闘は[ユーゼスグランド]で行われる。
・メンバーは選抜式で、最大25人まで。
・時間、期間などは、政府が決めたものに従わねばならない。
光和学園と真華学園との『模範戦闘』当日―
光和学園特別室―
ここに、メンバー全員がそろっていた。
「時間の通知はまだか?」
1人目、[漆黒卿]栄己興
音とともにチェインジビジョンが光った。
「どうやら来たようですよ。時間は・・・あと一時間後ですか。」
2人目、[風無官]九条流堂
「俺ら足手まといにならねえかな!?」
「うるせえ。」
3人目、宇田茂流
4人目、岩国隆二
「フッフッフ、何を緊張する必要がある。潰せばいいんだろ?」
5人目、[真紅の処刑人]座原鋼健、そして・・・
「戦うわけですね?ヒヒヒ・・・」
「・・・お前の言ってた仲間って連谷のことかよ。」
興が文句をこぼすが、鋼健は余裕の表情を崩さない。
「座原さんのお誘いに乗っただけですので、ヒヒヒ・・・」
6人目、連谷縁矢
「で、場所はどこなんですか?」
「自分のやつを見ろ。宇田は何をさっきから緊張してんだ?」
「なっ!!」
突然、隆ニが叫んだ。
「どうした岩国!?」
「場所は・・・『真華学園』って」
「え?」
皆のチェインジビジョンにもそう書いてあった。
「どう考えても向こうの方が有利じゃねぇか!?」
「まあそう怒らなくてもいいではありませんか。」
「場所なんざ関係ねぇ、フフフ・・・」
真華学園特別室―
「まさか場所がここだとはな、日本政府め、余計なことを・・・」
主席 沢田紅貴は不満を漏らしていた。
「これはチャンスと捉えるべきでは?」
「そうよ、私たちのほうが有利ってことよ?」
総司令 来島 周 側近 江島 藍は紅貴にそう言った。
「ま、そうだな。」
「ここは、『真華』の王があなたであることを示すいいチャンスでございます。」
「ふふっ、あなたが喜ぶのなら何だってやるわよ。」
「・・・あと30分か。そろそろだな。」
ガチャッ
「やあやあ、これは主席方々おそろいで、そろそろ時間では?」
「まだ早い、まだ30分ある。」
「いやあ、沢田さんがこのイスを私にくれる時間だと思ったのですがねえ・・・」
やけに挑発的なこの男は遊撃隊長 少田 劉である。
ユーゼスグランド(UG)―
まだ30分前だというのに、光和学園のメンバーは変身し、UG内をウロウロしていた。
「連谷のエナジースーツってそれか・・・」
「エグゼスと言います。」
連谷のエナジースーツ・・・エグゼスは少し小じんまりとしている。
「そろそろ行くか。」
「ちょ、ちょっと早くないですか?」
「彼は、いつもそうですよ。」
興は約束の1、20分前から、行動をおこすという変わった癖があった。
真華学園屋上―
「もう時間ですか?」
「ああ、そろそろだ・・・少田」
「ふむ、戦闘開始だ。」
真華学園まで1km
「ん?」(今何か聞こえたような・・・)
「どうした、栄己」
「・・・いや、何か音がしたような・・・」
「伏せろ!!」
ビシュビシュッ! 十数個の銃弾が地面を撥ねた。
「まだ到着してねえだろ!?」
真華学園屋上―
劉を含めた三人がいた。一人はガトリング銃を構えて変身していた。
「驚いてるようだね。戦いははじまっているのだよ」
「ハハハハハッ!あわててやがらっ!」
一人は少田の隣で大声を張り上げて笑うガタイのでかい男、幕僚長 林 虎三エナジースーツ名はジュゲンである。
「これで全員潰せば私が主席にもなれるものの・・・」
「この作戦考えたのはお前だからな。ハハハハッ!」
「真華学園の敷地内は半径1kmまでということをあいつらが知っているかどうかだ。それに・・」
「ここの本館は10階建て、威嚇射撃ぐらいにはなりますからね」
「6人を分断させることぐらいはできる。なあ、章平」
もう一人は遊撃参謀 登 章平である。
「すまんな林。私の作戦に協力してもらって。」
「俺は強いもんにつく。それだけだ。」(ま、いつ裏切るかはわからんがな・・・)
「これはどうも。」(表向きはまだ沢田に取り入っているクセに・・・)
戦いはまだ始まったばかりである。
終
エナジースーツ紹介
エグゼス
装着者 連谷 縁也
武器 ミングレルクロー