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魔導具について知ろう

色々ごたごたしておりまして大変遅くなりましたorz


早いもんで異世界3日目。今日はダーランさんの家に遊びに行く日である。

遊びっていっても魔道具について教えてもらいに行くのだが、なんか遠足に行くみたいで楽しい。


ダーランさん一見怖そうなおじいさんだけど根は優しそうだし、行くついでに市場でカヤの実をお土産に買って行こうかな?

何もお礼しないのは失礼だからね。

ついでに、昨日のギルド収入はというと配達依頼が1500ルストで道中で倒したモンスター素材が3000ルストで売れたから合計4000ルスト=銀貨4枚の収入を得た。

いつもだったら5名くらいのグループで行う依頼だったらしいけど、一人でやっちゃったから山分けすることなくガッツリ頂くことができたわけである。

ほんと、チートって最高だ。


市場で買ったカヤの実が入った紙袋を左手で抱えながら右手で剣を持ちながら四方八方から襲い来るモンスターたちを仕留めていく。


モンスターの残した素材をバックに入れるとすでにバックは軽く膨らんでいた。そういえば、このバック…旅にはちょうど良い大きさなんだけどモンスター素材でパンパンになっちゃうんだよなぁ。

ドラ○もんまでとはいかないけど、せめてトランク並みの収納ができるような異次元バックとか作れないかな?

空間とかの魔法だったら闇魔法の応用でありそうだし、ダーランさんだったら何か知ってそうだよね?

よし!会ったらそれも聞いてみよう!


頭の中で色々と聞きたいことをまとめながら、ダーランさんの家につく。

古い木の扉をノックすると昨日と同様、長いローブを着たダーランさんが出迎えてくれた。


『うむ、お主か…。入るといい』


相変わらずそっけない態度でダーランさんは私を家の中へ招き入れてくれた。


『おはようございます、ダーランさん。これ今朝市場で買ったカヤの実です。美味しいんでぜひ召し上がってください』


満面の笑みで挨拶すると、カヤの実の入った紙袋を差し出す。


『ほぉ…カヤの実か。確かに旨そうじゃな。久々に頂くとしよう』


差し出された紙袋の中身を見るとダーランは軽く目を見開きながらカヤの実を受け取った。

彼が案外素直に受け取ってくれたことに、ルイは内心ほっとしているといつの間にかダーランは紙袋をテーブルの上に置き何やら本棚を漁り始める。

初めは本で知識を得るのかと思いきや取り出した本はそのままに、空いた棚奥に何やら小さい魔方陣のような紋様が描かれているのを見つけ、それに手をかざすと《オープン・サ゛・プレイス(空間よ開け)》と小さく呪文を唱えた。

まさかの『開けゴマ』パターンか!?……と思いきや、案の定呪文とともに魔方陣は淡く光り、左右の扉が開くようにゴゴゴゴ…と音をたてながら本棚がづれていく。

初めて見る生隠し扉に唖然としつつも、その奥にある光景を見るとさらに大きな目を見開いた。


『すっごい!これ全部魔道具ですか!?』


『そうじゃ。ここには長い年月をかけわしが開発した魔道具が置いてある。大体は見たことのあるものばかりじゃろ』


一昨日来たばかりなのでほとんど初めて見るものばかりだが、魔術士が使うようなスティックやワンドの他に宿の台所で見たガスコンロや照明器具、水洗トイレなど家庭で使われている器具が置いてあった。


『トイレとか照明器具ってダーランさんが発明したんですね。ほんと驚きました。それより、ここの部屋って異次元空間とかですか?外から家を見た時はこのような部屋は無かったように感じたんですが……』


『お主も中々鋭いのぅ。確かにここはわしが作った空間じゃ。ここにある物を狙う不届き者が多くてな。わしと許可した者しか入れない仕組みになっておる』


ダーランさんはそう言うとにやっと悪どい笑みを眼鏡越しに浮かべた。

…もしかしたら、この爺さん中々侮れない性格の持ち主なのかもしれない。

てか、この世界に異次元空間存在したんだ。それじゃあ、もしかしたらドラ〇もんの四次元ポケットもあったりして……?


『…もしかして、異次元空間のバックとかって売ってたりしますかね?』


試しに聞いてみるとダーランさんは顎ひげを撫でながらふむ…とうなった。


『確かに王都の貴族街で売ってることには売ってるが一つ金貨6枚はするかのう……』


うほっ!金貨6枚っていったら60万ルストかかるってことじゃん!!

いくらなんでも高値すぎでしょ……。


『やっぱ自分で作るしかないのか〜。異次元空間の魔方陣ってどうやって出来てるんだろ?』


『あれは闇と光の応用魔術である空間魔法を魔方陣に組み込んであるのじゃ。まあその他にも色々と組み込まれているが単に異次元空間の魔方陣を作りたいのであれば王都にあるベルシュタイン王立図書館に行く良いじゃろう。あそこには全世界の様々な魔術書が置いてあるからのう。空間魔法に関する魔術書も置いてあったと思うぞ』


『ベルシュタイン王立図書館ですか…。――空間魔法の魔術書が出ているなら、何で異次元空間バックが一般市民にも広く普及されていないんですか?』


『ただでさえ修得するのが難しい光と闇魔法のさらに高度な応用魔術を必要するのじゃぞ?この国でもまともに使える者は10人にも満たないじゃろう。さらにこの魔法陣の魔術書はまだ世に出回っていないからのう。いくら魔術士がこぞって作ろうと思うても中々作れぬのじゃよ』


最後にダーランさんはニヤッと意地の悪い笑みを目元に浮かべながら此方を振り向く。

うぬ〜〜どうやら魔法陣の作り方までは教えてくれないようだ。

要は、ヒントは与えるから後は自分で調べて作れと言うことらしい。

中々手強い爺さんだ。


取り敢えず、異次元バックは王都に着くまでお預けにして肝心な魔道具に目を向けることにした。


初めに目についたのは宿屋フェアリーの台所にも置いてあったガスコンロ。実際ガスは使わないのでガスコンロとも言えないのだが見た目はそれに若干似てて、薄い鉄板のようなもの二ヶ所窪みがあり、その窪みには魔法陣が描かれている。

そしてそれを囲むように鍋を支える鉄の脚が5本生えていた。ようは普段一般家庭にあるガスコンロを薄くし火が出る中央に魔法陣が描かれていると思ってくれればそれでいい。


恐らく魔法陣の描かれたこの窪みに魔石を置くのだろうが、その事をダーランに尋ねると彼はどこからともなく赤色の魔石を取りだした。


『…まあ、見ておれ。《ファイヤー》』


ダーランは魔法陣の上に赤い魔石を置くと、火の初級魔法を唱える。

すると、呪文を唱えた途端赤い魔石が緋色の炎を上げて燃えはじめた。

突然のことに何が起こるんだろうと思わず顔を近づけていた私は『ぅわっぷ!』と変な悲鳴をあげながらのけ反る。


『ぁっぶな…炎が出るなら出るで言ってくださいよ〜』


『ほほ、すまんのぅ。つい忘れてたわい』


何だか段々ダーランさんの化けの皮が剥がれてるような気がするが、何故だろう素直に喜べない。

ルイは心中でため息を吐きつつも聞きたいことを投げ掛けた。


『この魔道具は一体どのような仕組みになっているんですか?』


『うむ…、これは調理をより簡単に行えるように発明したものでのう。魔力を持たない人間でも魔石に込められた魔力を省略呪文を唱えるだけで使役出来るようよう魔法陣に組み込まれておるのじゃ。使用頻度にもよるが大体3年くらいは持つかのう。大方、魔法陣の破損が原因じゃが、また新たに描き変えれば何年でも使える仕組みになっておる』


『なるほど…。あれ?でも確か宿屋で使ってた魔道具(ガスコンロ・照明・トイレ)はわざわざ口で唱えなくても起動させるボタン?のような物がついてたと思ったんですが、あれはどういう仕組みになってるんですか?』


『ああ、あの《スイッチ付き魔道家具》のことか…。あれは弟子がわしの発明を元に改良したものでのう。たしか《スイッチ》の部分が軽い衝撃を与えることで呪文を起動できるよう組み込まれた魔法陣になっていて、それが《魔導線》を通って本来の魔法陣に働きかけ魔石を起動させる仕組みだったような気がしたのう』


ふむふむ…と、遠くを見ながら答えるダーランさんにルイは若干目を見張った。

おお?ダーランさんて弟子がいたんだね〜。知らなかったよ。

まあ、ダーランさんて見た目かなり年とってるし弟子の一人や二人いてもおかしくないか……。



『……てか、《魔導線》てなんですか?』


そこで、ふと気になった単語が頭の中に浮かび上がる。

いきなり問いかけた私にダーランさんはこっちを見るといぶかしそうに肩眉をあげた。


『なんじゃお主。魔導線を見たことがないのか?』


ん?私ほどの魔術力があれば知っているとでも思ったのだろうか?


いや〜でも知らないものは知らないしね。


私は『母親からは教わってませんね』と答えると、彼は一瞬怪訝そうな表情をしたあと『なるほどのう…』と呟きながら部屋の奥の壁にかけてある銀色の長い杖のようなものを持ってきた。

白銀色に輝くそれは、魔術士が使うスタッフのようで長さ1メートルあり、持ち手の棒の先には透明の水晶がついている。

そして、持ち手の部分にはツタのような繊細で美しい文様が流れるように水晶まで描かれており、シンプルでも見惚れるような美しさがそこにあった。


『うわ〜、きれ〜い!これって魔術士が使う杖ですか?』


『その通り。これは純銀に貴重な白真珠を混ぜてつくったスタッフでな、杖の核には純度の高い魔水晶を使っておる。…まあ、おそらくお主には魔水晶の意味もわからんと思うじゃろうからそれは置いとくとして、魔導線とは簡単に言えば《魔力伝達》の呪文を文様にしたものでの、こういった魔術師が扱うスタッフに刻まれておる。ほれ、ここがその文様じゃ』


ほほう〜、何やら聞き捨てならない言葉もあったが…なるほど、この持ち手の部分に描かれている繊細なような文様が魔導線か……。どうやらこの文様には《魔力伝達》の他にも《魔力強化》や《防御強化》など様々な魔法が文様として刻みこまれているらしい。


それにしてもこれダーランさんが作ったんだよね?


文様はおそらく魔術で刻みこんだのだろうが、本体の部分はどうやって形作ったんだろう。

もしかして、魔術の中に鍛冶屋スキルでもあるのかなぁ?


『ダーランさん、このスタッフ本体はどうやって作ったんですか?』


『なんじゃそっちか。それは文様以外は知り合いの鍛冶屋に頼んで作らせたんじゃ。さすがに、わしでも鍛冶業を魔術でこなすなんぞ聞いたことないわい』


『へ〜、鍛冶屋と共同して作ったんですか。じゃあ、魔水晶って何ですか?』


『やはり知らぬのかお主は…。魔水晶とは魔石よりも貴重な石で、魔術士の使うスタッフでもそうじゃが様々な魔道具につかわれておる。お主の羽根型のブローチにはめられてる石もそうじゃ』


『あ、これ魔水晶だったんだ』


私は左胸についているギルトでもらった身分証明書のブローチをつまみあげた。

今はCランクなのでそれ(魔水晶)はきれいな緑色をしていた。


『魔水晶については……まあ、他にもいろいろあるが、後で《魔道具の作り方・入門編》をやるからそれから学ぶがよい』


『――え!?それだけですか!あれだけ前置きしといてあっさり本だよりですか!?』


『なんじゃいらぬのか?』


『……いえ、いります。ほしいです。ぜひください』


ぎろりと少しだけ睨まれたので、すぐに腰をまげてお願いする。

――うん、よかった。日本人に生まれて。


その後一通り魔道具を見せてもらうとその部屋を後にした。

ありがたくもダーランさんから《魔道具の作り方・入門編》をいただき、帰り際今日のお礼を述べる。


『今日は本当にありがとうございました。本までいただいちゃって…。これ見て勉強頑張りますね』


『お主なら良い魔導具を作れるじゃろう。道中達者でな』


『はい!ダーランさんもお元気で!』


初めてふんわりと柔らかい微笑みを浮かべたダーランさんにルイも釣られて満面の笑みを浮かべるのだった。


魔術概念って考えるの難しいですね(+_+)

意味不明な箇所があったらごめんなさい。

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