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依頼を達成しよう

今回ちょい多めですφ(..)

誤文があったので訂正しました。

《国名》

セレストリア→センスタリア王国


昼食を食べ終わった後は旅に必要な用品を揃えるため、先ほどアンナさんから聞いた雑貨屋に早速行ってみた。

雑貨屋は表通りに出るとすぐ見つけることができ、中に入ると冒険に使う実に様々なものが目に入る。

物珍しくキョロキョロしているとその様子を見て、店の奥から人の良さそうなおじさんが声をかけてきた。


『いらっしゃい、お嬢さん。何かお探しかな?』


ここの店主と見たルイはこの店にあるかどうかわからないが、簡潔に欲しい物を伝える。


『コンパスとここの国の地図、携帯用の砥石、旅用のマントはありますか?あと髪を縛る紐なんかもあったら嬉しいです』


『お嬢さんは駆け出しの冒険者さんかな?たしかコンパスと地図はこの辺にあったなぁ。砥石はこれでと、マントは何色がいいですかな?』


『青系でお願いします』


『成る程ね、それじゃこれがいいかな?お嬢さんは背が高いからね〜、ほいほいっと髪紐も青で統一しよう。よし、決まった。お嬢さん、こちらの品でいいかな?』


おじさんが手招きする方に行くとカウンターには木でできたコンパスとセンスタリア王国が載った地図、三つの小さな砥石に鮮やかな青色のマント、小さな水色のガラス玉がついた青色の可愛らしい紐が並べてあった。


『取り敢えずマントは旅に強い厚手の生地を使ってあるから長旅には大分使えるはずだよ。



一度羽織ってごらん』


おじさんに言われた通り手渡された青いマントを肩から羽織ると前を銀の金具でとめてみる。

丈もちょうどいいし、重いかどうか心配だったが、どうやら杞憂だったようだ。くるりと回るとマントは軽やかに舞いとても動きやすかった。

これなら剣を使っても大丈夫である。


『うん、さすがお嬢さん。様になるねぇ〜。そうだ、どうせなら髪も縛っていくといい』


そう言うやいなやおじさんは鏡の前の椅子に半ば強引にルイを座らせると、慣れた手付きで長い黒髪をポニーテールのように結い上げていった。


……うん。

おじさん良い美容師になると思うよ。


と、思うくらい綺麗に整った髪型にルイは心の中でそっと呟く。


『どうだい?嬢ちゃんは凛々しい顔立ちをしているからね〜。剣士の格好がよく似合うよ』


うんうんと達成感に満ち溢れた表情で頷くおじさん。お嬢さんから嬢ちゃんに変わってたのはこの際目を瞑っておこう。


『はぁ、ありがとうございます。…それで、お会計はいくらになりますか?』


『ああ!お会計ね。ちょっと待ってておくれ』


おじさんは今思い出したかのようにぽんと手を打つと、店の奥からそろばんのような道具を持ち出してきた。


『えーと、コンパスが15ルストに地図が20ルスト砥石が一つ5ルストに3つだから15ルスト、マントが200ルストに髪紐はプレゼントということで、合計250だな』


『え?髪紐はくれるんですか?』


思わず聞き返せばおじさんは寂しげににこりと微笑む。


『うちにも三年前に旅に出ていった娘がいてね。今は結婚して幸せに暮らしてるらしいが手紙ばかりでちっとも孫の顔を見せに来ないんだよ。その髪紐は久々に娘の顔を思い出させてくれたお礼だと思って受け取っておくれ』


なるほど。だからあんなに髪を結うのが上手かったのか。おじさんも中々顔を見せない娘に寂しい思いをしていたんだなぁ。

私は哀愁漂うおじさんに満面の笑みでお礼を言うと巾着からお金を払い、『また来ます』と言って店を後にした。


今はちょうど14時くらいかな?

それなら、ここからイーストウッドの森まで10分くらいでいけるし、一度森に行って採取やら討伐やらしてから17時には村に戻ろう。

夜の森は危険だってアンナさんが言ってたしね。


決めたら即実行!!がモットーの私はイーストウッドの森に向けて地図を確認しながら村を出る。

途中、行商人のおじさんとすれ違い『気をつけて行くんじゃぞー』とやけに心配されながら、その場を後にした。


『うーん、なかなかホーンウルフ出て来ないなぁ』


イーストウッドの森を歩くこと数分、迷わないように道から外れることなく歩くものの、違うモンスターが出て来るばかりでちっとも依頼の対象であるホーンウルフが姿を現さない。ちなみに森に入るために風の魔法を応用し身体の回りに高度な防御魔法と攻撃してきたら雷で反撃するよう二重に魔法を張っているためCランクのモンスターであれば傷一つつけられないどころか何もしなくても勝手に消滅していく仕組みになっていた。

しかし、それではつまらないので剣術と魔法を駆使しながらモンスターを倒していく。

今までで現れたモンスターは鳥の姿に似たモンスターにスライムのようなモンスターが断トツに多く、中でもクモの巨大版のモンスターが数匹現れた時は瞬時に風魔法で抹殺していった。風魔法は火魔法と違い全体的に攻撃できるため実に便利な魔法である。


『ちょっと〜、いい加減出て来なさいよ〜。またクモもどきが襲ってきたらどうしてくれんのよ〜。それともやっぱ森じゃなくて平野にいるのかな?平野を歩いたほうがよかったかなぁ〜』


恐る恐る周りを見ながら、あの八本足の怪物が襲って来ないかルイは精神を研ぎ澄ませる。

今度奴が現れたら確実に太い木を数本薙ぎ倒すだろう。

絶対そうである。


うんうんと確信しながら前に進んでいると今までのモンスターとは違う殺気が急速に近づいてくることに気がついた。


『この感じ…一体だけじゃないね。十……十五……。うん、十五匹群れを成してこっちに迫ってくる。これは《大当たり》かな?』


地面に張り巡らした地魔法から数キロメートル離れた敵の接近を察知する。

剣を両手で持ち敵が現れる方角に向かって構えていると、敵が数グループに分散したことがわかった。


なるほど。奴等も少しは知能があるようだ。

どうやら獲物の逃げ道を塞いで四方八方から攻撃するらしい。


私はくすっと微笑むと周りを取り囲む金色の眼を確認し、声を張り上げた。


『さあ!どこからでもかかってきなさい!』


『ガゥッ!!』


その言葉を合図に数匹のホーンウルフが四方八方から襲いかかってくる。

それらを華麗に避けると息をつく間もなく、流れるように背後から切りつけた。


ギャウン!!


甲高い断末魔を最後に次から次えと塵となって消えていく。

あっと言う間に十体倒し終えると最後の五匹に風魔法を放つ。


『ウィンドカッター!!』

中級の魔法を唱えると同時に複数の見えない刃が空を切ってモンスターを真っ二つに分断する。


断末魔を上げる間もなく、切られたモンスターたちは霧のように霧散していった。


『ふー、これで討伐完了!』


何だか着々と剣術と魔術の腕が上がっていることに思わず笑みがこぼれる。

辺りに散らばっている角をバッグに詰め村に戻ろうとするが、結局、帰る途中でも5匹のホーンウルフと遭遇し、計20匹のホーンウルフと6匹のクモもどき、8匹のスライム、7匹の鳥もどきを討伐した。


『…お、お前さんはとんでもねぇ剣士だな』


日も暮れ、辺りが薄暗くなるとモンスターの落とした素材(証拠品)でパンパンになったバッグを抱えギルドを訪れたルイに、カウンターに並べられた証拠品の数々を目の当たりにしたジャックはヒクヒクと強面の顔を引きつらせた。

まさか、昨日の今日…でも驚くが今日の今日依頼を達成するとは……。

しかも、依頼内容よりも遥かに上回る数を一人で……。

これには長年ギルドマスターをしていたジャックにも予想外の展開だった。

結果、ルイは登録したその日のうちに異例の早さでCランクに昇格し、報償金2万2740ルスト(ウルフ20×1000L、クモ6×50L、鳥7×40L、スライム8×20L、謝礼金2000L=銀22枚・黒7枚・青4枚)を受け取ったのだった。


お〜ほほほほ♪

今日はたんまり稼いだのう〜〜♪

このまま行けば億万長者も夢じゃない?

目指せ!世界一の金持ちファイター!!

グランドスラム!!


異世界初日で大儲けしたことにフンフン鼻歌を歌いながら私は宿の部屋へと戻る。

お金は持っていても重いし大金なので全てギルドに貯金することにした。

ちなみに本日の宿の夕食は牛肉?のようなものを煮込んだビーフシチューもどきと、ふわふわのロールパン、新鮮なサラダに鶏肉の照り焼きもどきである。

とろとろに煮込んであるビーフシチューは高級料理店並みに美味しくて3倍もお代わりをしたのだった(お代わり自由)。

美味しい食事もたらふく頂いたところで、今日の疲れを癒すためにお風呂を準備する。

お風呂は蛇口を捻ると火の魔石で適度な暖められたお湯が出る仕組みになっており、それをバスタブに貯めて使うようになっていた。お湯が大体貯まったところで、服を脱ぎ桶でお湯をくんで身体にかける。

ここにはシャワーが無いため身体を洗うにはお風呂に貯めたお湯を使う必要があった。


そういえば、この世界にはシャンプーやリンス、ボディーソープはあるのだろうか?


ふと思いだし、棚を見るとピンクと水色の2つの固形石鹸が置いてある。

石鹸台にはピンクが《髪用》、水色が《身体用》書かれているので、どうやらこれがこの世界での髪と身体用の洗う物なのだろう。

取り敢えず髪が痛まないのを祈るだけだが、どうやら石鹸は無臭だと思ったら匂いがついており、ピンクはローズの香り、水色はブルーマリンの香りがした。

女性からしたら嬉しい限りだが、男性からしてみればこの香りのチョイスはどうなのだろう?


ゴツい剣士のオッサンの頭から華やかなローズの香り………。


……うん。実に遭遇したくない光景である。


きっと、お昼にいたお客さん(全員男)たちも渋々この石鹸をつかったんだろうなぁ……と、弱冠同情しながらもルイはピンクの石鹸を手にとった。

念入りに髪と身体を洗った後、お湯にもゆっくり浸たり身体の疲れを取る。

異世界初のお風呂に満足しながら部屋へと戻ると、濡れた髪は火と風の魔術を応用し温風を出して乾かした。


そして、気づいたことが一つ。


髪の毛が……艶々してる!!!


一階の台所で洗い物をしているアンナさんに急いで理由を尋ねたところどうやらあの石鹸は天然のローズのエキスが入っているらしく、良い香りと髪に良いことから女性にも男性にも大人気だと教えて貰った。


……あ、男性にも人気なんだ。なんか…意外だな。

まあ、それは置いといて石鹸は雑貨屋に一つ10ルストで売っているみたいだから今度買いに行ってみよう。

野宿した時なんか使えそうだ。

え?お風呂はどうやって用意するのかって?

フフ、それはもちろんこれから考えるのだよ。


服はどうしようかな?

替えがほしいところだけど、このバックじゃ荷物になるだけだからね〜。

お風呂の残り湯で風魔法と水魔法と石鹸を駆使したら綺麗になったから、今は一枚だけで我慢するか。


とりあえず明日は村を見学して買い物した後、練習がてらギルドの依頼も受けてみよう。

Cランクになったから色んな依頼を受けられそうだ。


大体予定も決まったので、簡素なシングルベッドにいそいそと潜りこむ。

ベッドは固いと思いきやアンナさんが出かけている間に布団を干しておいてくれたのか、ふかふかで中々良い寝ごごちだった。


布団に入ってからわずか5分……こうして、彼女の異世界初日は順調に幕を閉じるのだった。


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