プロローグ
ファンタジーといえば、異世界……
異世界といえばトリップなわけで……
『何で異世界トリップもの(小説)が置いてないんだ!!!』
思わず1000円札を握りしめ力の限り叫んでしまう。
その声にぎょっとした店員さんと目があい、急激に沸き上がる恥ずかしさからコホンと一つ咳払いした後、足早に書店の入り口から外へと出ていった。
さて、自己紹介が遅れたが私の名前は北本瑠衣、18歳。
ファンタジー小説が大好きな極フツーの女子高生である。
ファンタジーでも異世界トリップものが特に好きで、友達と久々に買い物やカラオケなんかで遊んだ後、残ったお金で本を買いに来たのだが……無い……ファンタジーや恋愛小説が置いてある本棚を片っ端から探してもそれらしい小説が何処にも見当たらない。
くそ!ファンタジーといえば異世界トリップは定番だろ!!(あくまで個人的な意見)
って、心の中で叫んでみたがついつい口にも出てたみたいで冒頭のようなことになったというわけである。
とぼとぼと路側を歩きながら握りしめていたシワシワの1000円札をポケットに入れる。
『はぁ〜、絶対あると思ったんだけどなぁ』
深い溜め息をつきながら私は我が家に向かって歩き慣れた交差点を突っ切った。
その時ぼうっとしていなければ……
もっと周りをよく見ていれれば……
私は…こんなことにならなかったのかもしれない……。
『危ないっ!!』
ププーーーーー!!
ドンッ
鳴り響くトラックのクラクションを最後に私の意識はそこで途切れたのである。




