それぞれの夜
この時期になると、毎晩のように夢を見る。あの日の夢を。
寒暖差のある季節、夜は冷え込むようになり風邪をひかないようにあったかい布団に潜ってレイは眠りについた。
ぐっすり眠っているレイは、物音にすぐには気がつかなかった。
急にカチャンと自分の腕を道具で拘束され、驚き目を開けると、この前雇われた20そこそこのメイドがニヤリと笑ってレイの口に布を巻いた。
「んんっ!!んんんん!!!」
「レイ様。とってもお美しい。あぁっ。私のレイ様。」
女はうっとりとレイを見つめた。そして…抵抗するレイに鞭を使い、痛みに悶絶するレイに興奮した。
どんどんと女はレイの体に赤い跡を残す。
「っつ!!!!ううっ!!!」
裸にされたレイは顔を青ざめ恐怖心で首を横に振るが、女はレイの下半身へと鞭を打った。
「んうううっ!!!!ううっ!!!」
あまりの痛みに意識を失いかけ、そして、また激痛で意識が戻る。
(痛いっ!!怖いっ!やめてっ!!!早くっ!早く終わって!!!誰か!助けてっ!!!!)
「誰かっ!!!!」
ガバっと起き上がり、レイは息を切らして辺りを見まわす。
「はぁっ、はぁっ。また、この夢か。」
汗びっしょりのレイは着替え、そしてふと、無理矢理渡されたカップを見た。
「……。よく眠れるって言ってたな。」
レイは冷め切っている中身をスプーンで数回混ぜ、一口飲んだ。
「冷た。でも、……美味しいな。」
全部飲み切ったレイは、チョコレートの甘さでリラックスし、そして入っていたワインのおかげか次第に体がポカポカし始め、今度は穏やかな眠りへとついた。
リオンは自室で考えていた。
なんとか飲み物は受け取ってもらえたが、今後どうするか。
「どうやって仲良くなるかが問題だな。」
窓を開けて外の空気を吸う。
「ううっ。夜は冷えるな。日中は暑さも引いて過ごしやすいんだけど。そんな日は乗馬で散歩するのが1番……そうだ!!!」
何やら思いついたリオンは、明日が来るのを楽しみにし、眠りへとついた。