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第42話 体質の改善方法

ご覧いただき、ありがとうございます。

 アルベルト陛下はコホンと咳払いをすると話を続けた。


「して、王妃の魔力を抑え込むような根本的な方法はあるのか?」


 陛下の冷静な声と、今も握りしめてくれているその手の温もりが心を和ませてくれる。


「……ああ。それは魔術を使えば、思いのほか容易な方法で可能だと思われる」


 全身の力が抜けていった。

 わたくしの幼き頃からの懸念材料だった虚弱体質が、思いのほか容易な方法で改善されるかもしれない……? 

 喜ぶべきなのに、どうしてかしら、狐につままれたような気持ちにもなるし、どうしてお父様は魔術からわたくしを遠ざけていたのかと言う暗い感情も湧き上がって来て、心からは喜べそうにないわ。


「今から詳細は調べるが、恐らく私の見立てによれば、陛下の協力と私の魔術があれば可能だろう」

「そうなのですね! それでは、今すぐその方法を試みることはできますか?」

「今ここでですか?」


 バルケリー卿はわたくしから視線を逸らすと、何やら気まずそうな雰囲気を醸し出した。


「お二人は夫婦なのだから問題はないのだろうが、やはり私がその場にいるのは道徳的な問題が……」


 バルケリー卿は、何か道徳的な問題がどうとかとボソッと呟いたけれど、一体それはどういった方法なのかしら……。

 そして小さくコホンと咳払いをしてから、わたくしの方に視線を戻した。


「方法はともかく、膨大な魔力を抑え込むためには妃殿下の魔力の質とは別の性質の魔力を加えて、中和させるのが手っ取り早いです。そうすることにより、溢れ出ていた魔力を凝縮させやすくなりますので」

「中和……凝縮……、そんなことができるのですか?」


 バルケリー卿は、何かの理論を組み立てるかのように言っているけれど、それは実現が可能なことなのかしら。


「ええ。まあこれから、道徳的な面も考えまして専用の魔宝具の作成に入りますので、お時間をいただきたいと思います。ただ、私の見立てでは既存の魔宝具を参考に作成することが可能かと思うので、然程時間はかからないかと」

「左様ですか」


 鼓動が跳ね上がった。……もし、それが実現するのであれば、わたくしの虚弱体質が改善するかも……しれない?


「……ただ、妃殿下には前もってお伝えしなければならないことがあります。よろしければ暫しの間、二人でお話をしたいのですが」

「……分かりました。……陛下よろしいでしょうか?」

「……ああ、構わない」


 先程の様子から、もう少し渋りそうかと思ったけれど、思ったよりも引き際が良いように感じるわ。

 少し寂しいと感じてしまうのは、わたくしが陛下の温もりや優しさを享受することに慣れてしまているからかしら……。

 そう思った瞬間、陛下に握られていた手がより強く握りしめられる。


「……王妃の体質が、僅かでも今より改善することができるのなら、私の私財から賄うので資金がどれほどかかっても構わないし、私も全面的に協力を惜しまない」

「……そうか。まあ、それ程費用はかからないと思うが、これには……いや、詳細は妃殿下と話をしてから改めて陛下にも伝えておきたいことがあるので、隣の部屋で少々待っていてくれないか」

「了承した」


 陛下は手を解くとスッと立ち上がり、わたくしの方を一瞥すると速やかに退室して行った。

お読みいただき、ありがとうございました。

次話もお読みいただけると幸いです。


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― 新着の感想 ―
ま、まさかのR展開?よしっ、心の準備はできた! 陛下ととなりの部屋で待ってまーす。
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