表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ】二度目の人生では、お飾り王妃になりません!  作者: 清川和泉
番外編2 (本編の各話の続きが主です)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/101

番外編1 アルベルトに抱きかかえられたセリス 後編

ご覧いただきまして、ありがとうございます。

後編、アルベルト視点となります。

 アルベルトは晩餐会後、セリスを抱きかかえて王宮内の廊下を進んでいた。

 彼女の顔色は青白く体調が芳しくないように見えるため、より慎重に優しく彼女を抱えている。


(大事ないだろうか)


 心中で呟くと、アルベルトの脳裏にとある日のセリスの姿が過った。

 確か、以前に中庭にて共にお茶を飲んでいた時だったはずだ。


 婚約時に交流を交わす目的で何度か皇太后と共にセリスと茶会を開いたが、その際セリスはいつもにこやかに微笑んでいた。


(私が知っているのは、そのほとんどが笑顔の彼女だった)


 笑顔であることに問題はない。

 ただ、アルベルトが知っているセリスの笑顔はよくも悪くも裏のない笑顔である。

 それは、純粋無垢で屈託のないまっすぐなもので、王族の綺麗だけではない世界にどっぷりと浸かった彼には、向けられてよい類のものではないと本能的に悟ってしまうのだ。


(彼女は、自分とは違う道を歩いているように感じていた)


 思えば、それはこれまでアルベルトがセリスと積極的に接することを控える原因となっていたと言ってもよいだろう。


 ただ、だからといって自分と同じく王族として国や人々の暗部を多く目にし、それに対して完璧に免疫を持ち対策を行える女性になって欲しいのかと問われれば、ある程度は仕方がないが、決してそうではないと思う。


 セリスは永遠にそういうものから無縁であって欲しい。


 願わくばそう思うのだが、アルベルトは立場からそれからセリスを守るべきであるから、矛盾しているが虚弱体質ではあるが、今後彼女には最低限の公務を行って欲しいとは思っていた。

 むしろ、それが王妃としてのセリスを守ることになるだろうと考えていたのだ。


(だが、それは杞憂なのかもしれぬな。彼女は婚儀前、凛と真剣な表情で控えていたし、晩餐会の際は王妃として心構えを変えるべく自戒するとも言っていた)


 言葉にするだけなら安易にできるだろう。

 だが、これまでの幼い頃からのセリスと先ほどのセリスとは形容し難いが何か根本的に違うように感じた。


(それは覚悟と近いだろうか。何が彼女に心境の変化をもたらしたのかは不明だが)


 アルベルトは感覚的にセリスが自分と同じベクトルを向き始めたのではないかと思った。


 セリスにはそのまま純粋無垢のままでいて欲しいという願いもあるが、孤独の道を進むアルベルトは寄り添い共に歩いてくれる同行者、伴侶になって欲しいという願いも、胸の深いところにあることに気がつく。


(それは私には過ぎた存在だと思っていた。だが……)


 もし、本当にそれが実現するとしたら、どんな気持ちになるのだろか。

 一瞬考えが過ったが、アルベルトは軽く首を横に振った。


 そして、セリスの私室前の警備を担う騎士がアルベルトに気がつくと右手を胸に当て敬礼をしたあと、すぐさま扉を開けた。


 セリスの私室に入室すると、先回りしていたティアにより魔宝具の灯が照度を抑えて室内全体を照らしている。

 アルベルトは慎重にセリスをベッドに下ろした。


「……ん」


 小さく息を吐くセリスに思わず動きを止めるが、再び眠りについた様子にホッと胸を撫で下ろした。


「王妃の身支度を頼む」

「かしこまりました」


 セリスを無事私室に連れて行くことができたので退室する運びになったが、アルベルトはセリスの様子が気にかかり彼女の方へと振り返った。

 アルベルトはそっと手のひらでセリスに触れる。


(彼女が安心して療養できるように努めなければ)


 そう思うと、以前に王宮の中庭にて幼いセリスがしゃがみ込んで泣いていたことがあったことを思い出す。

 そのときは、確か夢中で彼女が喜ぶと思い確か手持ちのハンカチと……。


 再び婚儀前のセリスの凜とした表情が目前に過ぎると、なぜかアルベルトの鼓動がドクンと跳ねた。


 それは、これまで誰に対しても感じたことのない形容し難い感情であった。


(なぜこのように鼓動が高鳴るのか。のちほど考察する必要があるな)


 小さく息を吐くと、今度は視線の先の寝息を立てて眠るセリスに安堵感を覚え、胸の奥に温かいものが芽生えたように感じた。

 すると、気がついたらそっとセリスに向かってしゃがんでいた。


「今日はよく最後まで頑張ってくれた。ゆっくり休んでほしい」


 そう彼女の耳元に囁くと、アルベルトは後のことを侍女らに任せて自身は自室へと戻った。

 元々来賓対応は終わっており、二人の王族としての本日の役目は終わっているのだ。


(業務報告のあと、本日の出来事を日記を書かなければ)


 そう思いながら、アルベルトは一度自室に戻り早速手配を整えたのだった。

お読みいただきまして、ありがとうございました。


コミカライズ第2話「国民へのお披露目」、Web小説版・第14話「アルベルトの機転」の後編、アルベルト視点でした。


なぜ、二度目の人生でのアルベルトのセリスへの対応が、一度目とは違ってセリスを気遣うものだったのか(あくまでもセリスの認識ではですが)、


本編でも語られてはいますが、別の形で書きました。


また、書籍①巻書き下ろし番外編「アルベルトの日記」にもその事情が描かれていまして、本話の続きにもなっています。


その日の終わりに日記を書き、セリスへの気持ちを整理する様子を作中の人々と会話をしつつ描かれています。

ぜひ、こちらもお読みいただけましたら幸いです。

(広告の下に書籍の画像にリンクが貼ってあります)


現在、コミックノヴァでコミカライズの3話まで連載掲載中、ピッコマで先行配信中、コミックノヴァでは未配信の第4話「ペンダントの謎」①がピッコマではすでに配信されていますので、ぜひそちらもお楽しみください。


また、コミックノヴァの無料配信は1話以外は最新話も期間限定となってますのでご注意ください。(公開日から2週間ほどで終了するようです)


次回の番外編はもう少し先のお話に関しての内容の予定です。よろしくお願いいたします。


それでは、またお会いできますように…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミックノヴァさまにてコミカライズ連載中です!(作画さとうさなえ先生) ↓画像クリックで連載サイトに飛びます i1044104 書籍1、2巻(イラスト・音中さわき先生)サーガフォレストさまにて発売中です。 ↓画像クリックでリンク先に飛びます…! i817249 ↓画像クリックでリンク先に飛びます…! i894997
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ