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【書籍化・コミカライズ】二度目の人生では、お飾り王妃になりません!  作者: 清川和泉
番外編2 (本編の各話の続きが主です)

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番外編1 アルベルトに抱きかかえられたセリス 前編

ご覧いただきまして、ありがとうございます。

コミカライズ第2話「国民へのお披露目」、Web小説版・第14話「アルベルトの機転」の続きのお話です。

 本日、ラン王国国王アルベルトと公爵令嬢セリスとの結婚式が開催され、式後に王国内の貴族や各国の主賓を招いての晩餐会が催された。


 その晩餐会も無事に終了し、セリスとアルベルトは会場内の拍手に包まれ退室したのだが、セリスは退室した瞬間、疲労、または虚弱体質ゆえなのかその場で倒れてしまったのだった。


 だが、アルベルトはセリスが倒れる直前に彼女を支え、周囲の侍女に声をかけた。


「直ちに王妃を私室へ連れていく」

「かしこまりました」


 近くに控えた侍女頭のティアがお辞儀をすると、「疲れているな、ゆっくりと休むとよい」「今日はよく最後まで頑張ってくれた」


 と囁いたあと、アルベルトは両腕でセリスを優しく抱き抱えた。


 その様子にティアは内心息を呑んだが、取り乱さず静かに数名の侍女らと共にアルベルトとセリスについていく。


(陛下がおんみずから、妃殿下を抱き抱えて私室へお送りするなんて)


 相変わらず表情は眉ひとつ動かさないが、その実内心では動揺していた。


(陛下は何事に対しても動じない方。日頃から有事の際に冷静に対応できるように一歩引いて判断なさる方なのに、ご自分から行動なされるとは)


 意外だと思いながらも、アルベルトの背後をついていく。


 同本宮内とはいえ、晩餐会が催された大広間からそれぞれセリスとアルベルトの私室があるエリアまで早足でも五分はかかるため、アルベルトはその間常にセリスを抱き抱えていることになる。


 常日頃から彼は身体を鍛えているので何の問題もないのだろうが、ティアは抱き抱えたこと自体が予想外で中々理解が追いつかないでいた。


 また、セリスに負担をかけないためなのか、アルベルトができるだけ振動を与えないように丁寧に歩いていること気がつき更に息を呑んだ。


(細やかなご配慮だわ)


 アルベルトが通る度に、廊下を歩いている使用人や文官らが立ち止まり頭を下げるが、皆一様に驚いているのか目を開きティアと同様に息を呑んでいるようだ。


 その様子を目の当たりにするにすると、ティアは胸の鼓動が高まり、今起きつつあるアルベルトの中で起きているであろう変化を感じずにはいられなかった。


 ◇


 ティアはラン王国王宮の侍女である。

 セリスが嫁ぐ以前は主に王太后専属であったが、元々来宮する貴族らを接客する部署にも属していた。

 そのため、ティアは妃教育のため王宮に通っていたセリスの対応を彼女が通い始めた十年前にしていたのだ。

 セリスが気兼ねなく接することのできる貴重な人物であったこともあり、元々侍女頭であったティアはセリスが即位したと同時に王妃付きとなったのだった。


 そういう経緯があり、彼女はこれまでセリスがアルベルトとお茶等をして交流する場面に何度も居合わせていた。

 そのいずれもセリスは始終柔かな笑顔を浮かべていたが、アルベルトとの会話は定型文が主であり大方蛋白であったと記憶している。


 そもそも、アルベルトはセリス以外の人々に対しても決して笑顔を見せたことはなく、取り立ててセリスだけにその対応をしていたというわけではなかったと思う。


(けれど、先ほど妃殿下に対して、陛下おんみずから笑顔をお向けになられていたわね)


 それはティアにとって晴天の霹靂だった。

 アルベルトが王太子の頃から王宮に仕えているが、彼の笑顔を目の当たりにしたのは先ほどが初めてだったと思う。



(やはり陛下の中で何かが変化しつつあるのかしら。この結婚式や晩餐がキッカケだったのか、もしくは……)


 そう思うとハッとし、思考を止めようと努める。

 ラン王国の最高権力者である国王アルベルトに対して、憶測で推測することはたとえ心中であっても好ましいことでないからだ。


 そう思い背筋をより伸ばして二人についていくが、アルベルトの様子がふと気にかかった。


 基本的には前方を見ているが、時折セリスの方に視線を向けているのだ。

 ティアは斜め後方を歩いているので彼の表情までは見ることができないが、何となく柔らかい雰囲気を感じた。

 そしてそれは決して、初めて感じたものではないとも思う。


 先ほど思い浮かべた二人がお茶をしている場面。確かにアルベルトはほとんど会話を交わさなかったが、他の者と接するときとは違う雰囲気を感じたことがあった。

 それは形容し難いが、少なくとも他の者と会話している時には決して感じなかったものだ。


(元々陛下が妃殿下に対して秘めた、封印していた想いがおありだったのでは)


 自然と先ほど思考を止めた考えが、心中で響いた。


 そう思うと、密かに心配していた二人の仲が冷え込む可能性は低いのではと、この国の先行きは明るいのではと密かに思ったのだった。

お読みいただきましてありがとうございます。


コミカライズ第2話配信記念、2話の続きのお話です。


今回は侍女頭のティア視点ですが、次話の後半は場面が変わった上でアルベルト視点の予定です。

次話は(おそらく)来週に更新予定です。


それでは、また次話でもお会いできますように。

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