とある配信者
「バーチャルアイドルの志願ということだけど、どうしてだい?」
「私は、トークも歌も踊りも得意です。自信があります。でも、容姿だけは自信がなくて。だから、バーチャルの姿を借りれば、私は一流のアイドルになれると思ったんです。」
「それ、いつの話ですか?」
「え?」
「確かにね、国内外でブームだった時期はそうだったらしいね。話しや歌が得意な一般人がバーチャルアイドルをしていたとか。でもね、実際のところその当時からね・・・ファンが気になるのは演者だったんだよ。」
「ちょっと待ってください。演者なんて言い方はやめてください。」
「じゃあ何て呼べばいい?」
「『魂』とか『分身』とか、やわらかい言い方があるじゃないですか。」
「ふん、表現方法の違いだよ、そんなの。話を戻すけどね、当時からみんなが気になっていたのは中身だったんだ。顔バレ、転生前とかって用語がよく検索されていてね。それがファンが本当に求めていたものだったんだよ。」
「そんな・・・私も当時バーチャルアイドルが好きでした。でも一番好きなのは、声とか、人格とか。そういった部分が大きかったです。」
「だから、今は違うの。人格が良くて、声がかわいくて、歌が上手なバーチャルアイドルで溢れかえったの。その中でもファンを獲得し生き残ってこれたのは、それらに加えて演者の容姿が良い人。それが、今。バーチャルアイドルになりたいなら、君も整形したらどうだね。」
面接官の胸倉に掴みかかったところで、大人数名に囲まれてビルの外に追い出された。
あれから数年が経過した。今は一般人として顔を出し、こういった経験談をネタに生配信をしている。
バーチャルアイドルには及ばないが、それでも視聴者はいて、生活に必要なお金は稼げるのであった。
読んでいただき、ありがとうございました。




