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橋本病院

「……」


 ただ無言で病院に向かって走る。

 そして15分がたった頃目の前に橋本病院が現れた。

 自動ドアが反応して開く。

 中に飛び込む様に駆け込む。

 受付の方に結子の病室を確認する。

 そして驚愕の事実を知る。


「棗様ですね…少々お待ち下さい…病室は有りませんね」


「え?…」


「別で調べて見ます…集中治療室に棗結子様が居られます」


「集中治療室?」


「現在…確認してみます…お客様の名前を確認しても良いですか?」


「海斗です」


「海斗様がお越しになりました。畏まりました誘導します」


 受付の人が対応してくれているのだろう。

 待つことしか出来ないことがもどかしい。


「海斗様を付き添い人と認める連絡と確認したい事があるそうなのでお通しする様になりましたが構いませんか?」


「お願いします」


 結子の元に行けるなら良いだろうと答えた。

 まずは先生と話す事になった。


「こちらです」


 受付の人が代わりの人と交代して案内してもらうと1つのドアの前に来る。


「五十嵐海斗様をお連れしました」


「ありがとう。通してくれ」


「どうぞ」


「ありがとうございました」


 一連の動作を見て受付の方に御礼を伝える。


 そしてドアを開けて中に入る。


「お越しいただきありがとうございます。私はこの橋本病院に努めてる中山大知だいちと言います」


「こちらこそ連絡ありがとうございます」


「結子さんの制服からもそうですがお二人は双明高校の生徒さんですか?」


「本来は今日からですけど…そうですね」


「それはタイミングが悪かったですね…容態ですが」


「はい…」


 真剣に目を見て内容を聞く。

 結果は今は断定不能。

 結子は何かしらが原因となって意識不明のまま目覚めていないらしい。

 幸い発見が早かった事と病院の手助けがあれば治療方法を探す事は可能だそうだ。

 大凡の予想は出来る。

 しかし、本人から意見を聞けない為倒れる。直前の状況確認を出来ない今は症状の断定をして行動移すのは危険だと言われた。


「わかりました」


「一刻も早く回復出来る様にこちらでも尽力させていただきます…力不足で申し訳ありません」


「いえ…こちらこそ結子の為にありがとうございます」


 この時になって色々な事が頭に浮かぶ…

 もしかしたら合流ではなく最初から一緒に行けば結子が意識を失う原因から守れたのでは?

 そんな後悔が頭に何度も鳴り響く。

 そして何時も家族の居ない俺達だからこそ共に過ごして来た結子がどれ程大きな存在だったのかに気付かされた。


「やばいなぁ〜どうすんだよこれ…お前が同じ高校にするって言ったから無理矢理勉強教えて受験の高校まで決めておいてお前が居なかったら俺は勉強に関して全く自信無いぞ…」


 夕陽を反射してキラキラと反射する黒い瞳に俺が映っていた。

 何時も何時も俺の世話焼きをしているから殆どの時間映ってるのは俺なんでは?なんて思ってもいた…


「なのに…目が開いてなきゃ俺すら映らねぇじゃんかよ…」


 元々黒髪のツインテールだったけど色が茶色に変わって何度も頭髪検査に引っかかって泣いてたっけ?

 俺は黒髪でも茶髪でも結子の事が大切だったから気にしなかった。

 恋愛感情があったかは自意識過剰になると嫌だから断言しなかったけど友人…家族的な意味での好意はあったと自負している。


「早く起きろよ結子…寝坊した俺をお前が起こしてくれないと困るよ」


 周りからすると自分で起きろと言われるだろうそれでも少しでも早く目を開いた結子と話したいとい想いから呟いた。

 目には涙を浮かべて鼻水は啜らずに声を抑えるように非常階段のドアの向こう側で俺は1人泣くのだった。

 病院からの電話で止まった時が現実を改めて実感して再び動き出したかの様に何時までも泣き続けた。

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