痴漢と公認
遅くなりました。
これからもよろしくお願いします。
《土曜日・夜》
話したけど楓が未寄子に言わないでくれて良かった。
これで明日からも暫くは孤児院に迎えないけど安心要素が増えた。
楓さんに結子の事を説明しても良いかもと思ってはいる……しかし俺もまた知ってる事が少な過ぎる。
わかるといえば高校初日に電話があって呼び出されたって事だけ。
そして到着してみたら意識不明だ。
「分からないって辛い」
今は結子の帰る場所を護るんだ。
「海斗君今いい?」
外から楓の声が聞こえる。
「大丈夫だよ」
ドアを開けて入って来た楓。
「夜御飯出来たんだけど?」
「なるほど。今から行くよ」
「分かった待ってるね」
楓が部屋から出て行く。それを追うように俺も部屋を後にする。
そして食卓に来るとそこには味噌汁とご飯と言う何度も食べて来た食事が並んでいた。
「作って見たけど口に合わなかったら言ってね」
……おかずは無いのか?
「今もう1つ持ってくるね」
「何を」
考えていたらズドンと物をテーブルに置いた楓。
「カレー?」
「お母さんが貧血かもって言ってたでしょ?だから鉄分を良く取れる食事って事でシーフードカレーにしたんだけど……海斗君が食べる量分からないから作って自分で量決めてもらおうかなって」
イカ、アサリ、タコ確かにシーフードだ。
「色々考えてくれたのか……ありがとう楓」
「どういたしまして」
そんなやり取りをしてる横から紅葉が入ってくる。
「ん〜楓の手料理食べた男子って海斗君が初めてじゃない?」
それを聞いて肩をビクッと震えさせる楓。
「そうなんですか?」
「楓が連れてくるとしたら千恵ちゃんだけよねぇ〜」
「輪島さんですか?」
「そうそう。輪島千恵ちゃん」
「仲が良いんですね」
「そうとも言うと思うけど彼女しかそこまで心を開く相手が居ないって解釈も出来るのよね……今1人怪しいのが居るけど」
「痴漢ですか?」
怪しいと聞いて少し目がキツくなる。
「あははははは」
それを聞いた紅葉は大爆笑していた。
それを見ていた楓は顔を赤くしながら紅葉に言う。
「お母さんには関係無いでしょ!」
「ん〜将来的には関係あるんじゃない?」
「将来?」
「んな!気が早いよバカァ〜」
自室に向かったのか走り去って行く。
見送ると紅葉は佇まいを正して真っ直ぐと俺を見据える。
「さて……貴方にお願いがあるの」
「お願いですか?」
「そう」
「出来ることならしますけど…」
「それで良いのよ。無理はしないで」
「内容は?」
「千恵ちゃんも居てくれるから大丈夫だと思うんだけどやっぱり心配なのよね……高校で楓に何かあったら力になってあげて」
「言われなくてもしますよ」
返事を聞いた紅葉は軽く笑う。
「必要無かったようね」
「はい」
「娘をよろしくお願い」
あれ?何かおかしく無いか?何か凄い重い決断をさせられてそうな気がするんだが……後でいいか。
「こちらこそよろしくお願いします」
「公認してあげるから結子ちゃんが目覚めても楓とは仲良くしてあげてね?」
「勿論です」
そんな会話をしてる間楓は自室に籠城していた。




