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義務と崩壊

更新遅れて申し訳ありません。

話的に1話に纏めたいと思い時間がかかってしまいました。

読んで貰えると嬉しいです。

俺はその後暫くは孤児院に近付かない事を院長に伝えた。

院長も今の未寄子には落ち着く為の時間が必要だとわかって貰えた。


「当然だよな」


最初に未寄子が来た時は近くに寄りすらしなかった。

それが結子を通して接する様になって来た。

俺と未寄子の間に何かあった訳じゃない。


「ただ結子が繋いでくれていただけだ……それでも結子の居場所に未寄子は必要だ」


それは間違い無い。

そもそも必要無ければあそこまで他人と関わる事を恐れる未寄子が寄せ付けるはずが無い。


「美彩は元から対して愛情を注がれなかったから愛着が湧く事も無かったんだろう……けど未寄子はお母さん達両親を無くすまでは幸せに暮らしてた筈だ」


……待てよ。


「俺はそもそも美彩を何で妹だと思ってる?親すらいた事の無い俺が他人の兄になれる訳が無い」


一線を引く事で美彩と関わり過ぎない様にしていた?

もしかして俺は未寄子と似た様な事をしてるのか?


「そんなの今は良い……後回しだ」


明日は何をするか……孤児院には来れない。

結子の見舞いをしてもずっと居ても邪魔だろうし。

料理の練習かな?


「でも1人で出来る自信が無い……かと言って唯一俺の知ってる女子は美彩は確かに料理が出来るけど」


何故結子に教えてもらわないのかは確実に聞かれるだろう?


「美彩の事だから抜け出したりはしないだろうが……」


とりあえず今は考えるのは辞めよう。

う……意識が……

目の前が暗くなる様な瞼がとても重くのしかかる。


「大丈夫っ!!」


誰かが走りよって来て俺を支える。

頭がグラグラと揺れて居るように視線が合わず目の焦点を調整出来ていない。

だが自分の何時も横に居てくれた人なんて分かっている。

だから呼んだ……いつもの様に


「ありがとう……結子」


それだけ言うと意識が落ちたのか海斗の身体が一気に重くなる。

少女は1人で運ぶ事が出来ず応援を呼んだのだった。


「でも……さっき私の事を結子って」


何回も掛けてやっと繋がった。

その相手は紅葉だった。


「楓?どうしたの?」


「院長が海斗君が心配だから少し影から送って欲しいって頼まれたんだけど……」


「連絡をしたって事は何かあったのね」


「それが急にユラユラしたと思ったら倒れちゃった」


「……私はどうしたら良いのかしら?何かして欲しくてかけたんじゃないの?電話」


「その迎えに来てもらいたくて……1人だとその海斗君家まで運べそうに無いんだよね」


「現在地わかる?」


「うん」


「そこの住所送って」


「分かった」


「えっと…確認出来たわ」


「お願いします」


「元々彼の件を頼んだのは私よ」


その話を聞いて紅葉は海斗にも最悪の状況に片足を踏み込んでいるのではと推測したのだった。

紅葉の予想は楓の説明からすると恐らくは貧血だ。

しかし問題はそこじゃない。

恐らく原因は食生活の変化、精神的な問題その2つを合わせた不眠症だ。


「恐らく海斗君は眠れてるつもりで朝起きてるけど決して深く眠りに入ってないはず……」


海斗が料理が出来ないという予想は院長から聞いていた。

それこそ食べた事無いけど結子ちゃんが作るから必要無いと院長が言うならそれだけ上手いのだ。


「そして結子ちゃんが何で孤児院から居なくならないか……それは海斗君が絡んでるんだからねぇ」


それは昔結子がとある家族の引取りの話が出て来た時の面談の時だった。

結子の時以外も知らない大人が来て応接室に入ると皆孤児院から居なくなった。

当時は美彩ちゃんも未寄子ちゃんもいなかった。

ホントに2人のための孤児院となっていた。

そして結子ちゃんのその話が来て応接室に入った時に話をしてる時に問題が起きた。


「海斗くんが孤児院から1人で飛び出して行った」


元々結子ちゃんは残りたいと言うつもりだったそうだ。

しかし…殆どの人が応接室に入るといなくなった。

だから結子ちゃんも居なくなると思った幼き海斗少年は結子ちゃんと離れる事を我慢出来ないのではと周りの大人は考えたのだ。


「そして出した答えがこの孤児院の手伝いをしてもらう事だった。もし大人になっても二人の関係が変化しなければ2人には正式にここで働いて貰えば離れる心配は無い」


恐らくは親に捨てられ親という物を理解する事が出来ない海斗と結子は互いに相手を自分に重ねて行く事でここまで仲良くなったのだろう。


「年齢が同じなのに今では結子ちゃんはお母さんみたいになってるって話を聞いた時は笑っちゃったけど結子ちゃん自身が笑えない今は笑えないわね……」


原因が取り除けない以上彼の睡眠時間はほぼ皆無になるかもしれない。

今の彼は何時倒れてもおかしくないくらいに損耗していると結論付けた紅葉は車でナビに目的地を登録して走らせた。

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