何でもない日にケーキが食べたい
――ケーキが食べたいなぁ。
ふと、そんなことを思った。
でもなぜか躊躇してしまう。
それはきっと、今日が特別な日じゃないからだ。
クリスマスでもなければ、誕生日でもない。
今日はケーキを食べられるような特別な日じゃない。
だから無意識のうちに避けてしまっているのかな。
――別にお祝いの時にしか食べちゃいけないわけでもないのにね。
なんだか、不思議な思い込みで閉ざされていた扉が開いた気がする。
そんなわけで、わたしは今日ケーキを食べる。
なぜかというと、ケーキが食べたいからだ。
おめでたいことがあったわけでもないし、特別に頑張ったわけでもない。
何でもない日にケーキを食べる。
だって、可愛くて甘くて美味しいから。
それだけで、何でもない日がちょっといい日になる。
そんな毎日が増えればいいな、と思う。
きっと町のケーキ屋さんも大喜びだろうね。
――わたしのお財布と体重はちょっと心配だけど。
……でも、ついでに言うと特別な日もケーキが食べたい。
特別な日が、もっともっと特別な日になるから。
つまりは、わたしは毎日ケーキを食べたいと思っているわけです。
というわけでケーキ屋さん、明日も会いに行くからよろしくね。




