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27日目

読みに来てくれてありがとうございます

 正直、ギリギリ間に合うか間に合わないかというところ……になる予定だったのだが、まさかここまで早く痩せるとは思わなかった。


「ふっ!」


「……椎名さん、ちょっと休憩しよう」


「……はぁ……はぁ……分かった」


 そう言って垂れてきた汗を拭う姿は完全に黒髪の美女。


 その姿はまるでファンタジー小説に出てくるクーデレ担当女騎士様の様。


 思わず見蕩れてしまっていると、椎名さんが訝しげな顔をしてこっちを見てきた。


「な、なにジーッと見てんの?」


「いや、なんか物語に出てくる女騎士様みたいだなーって」


「ふふ、女騎士様って」


 面白そうに笑う椎名さん。


「あ、そうだ。『くっ…!殺せっ!』って言ってみてくれない?」


「え、嫌だよ。ゴブリンにその、襲われる前の女騎士じゃんそれ」


「お願い!昼飯めちゃくちゃ頑張って作るから!」


「……しょうがないな」


「おぉ!椎名様!」


「い、いくよ?」


「うん」


「ッスー……くっ!殺せっ……!」


 迫真の演技。羞恥に頬を染めて屈辱に染った視線で相手を睨む。まさにくっ殺だ。


「おぉー……凄い!演劇やってた?」


「……ねぇ、鷹宮」


「ヒッ、何?かな?」


 少々の殺意を感じる。


「あんたもなんか演技やってよ。私もやったんだからさ」


「えぇ……まぁ、いいか。何すればいいの?」


「……よし、じ、じゃあ……思いつくドエス彼氏のセリフ言ってみてよ」


「なにそのアバウトな命令は……まぁ、いいけど」


 姉が読んでたな……たしか……


「……お前は、俺のモノだ……後でお仕置だからな?」


 ドエス彼氏っぽさを出すため椎名さんの耳元でそう囁いてみる。迫真の演技には迫真の演技で対応しなければいけないだろう。


「鷹宮のモノって……お仕置……」


「え?」


 椎名さんの目がおかしい。気持ち悪すぎたか?


「あんたら、何やってんの?」


「ひゃあ!?」


 椎名さんの後ろから姉が突然出てきた。


 それに驚いて椎名さんが萌えキャラみたいな声を出した。


「突然出てこないでよ姉さん」


「あ、お姉さんおはようございます!」


「おはよー。で、何やってたの?」


「俺がドエス彼氏で椎名さんがくっ殺女騎士様になってたんだ」


「何それどゆこと?まぁ、イチャつくのもいいけど他のお客さんも見てるからね」


 そう言われ周りを見ると温かい眼差しを御老人の方達から、憎しみの視線を出会いを求めてジムに来た男子から送られていた。


「〜っ」


 それに気づいて真っ赤に顔を染める椎名さん。


「いやいや、イチャついてるとか椎名さんに失礼だから……」


「はぁ?あんた真名ちゃんはどう見ても……」


「お姉さんストップ!」


「うおっ」


 姉に何故か飛びかかった椎名さん。


「あー……まだ秘密的な感じ?」


「そうです……」


「ごめん、デリカシー無かったわ」


「いえ、こちらこそ飛びかかってすみません……」


 今の光景、椎名さんが姉を押し倒している感じ。


「ちょっと、2人とも。百合百合しいんだけど」


「あ、ごめんなさいお姉さん!」


「おいバカ弟、何アホなこと言ってんだ」


「だって美しすぎて……」


 姉は俺と似ずツインテールのクソ美人だし、その上に椎名さんが覆いかぶさっているのは色々と素晴らしい。


「あんた百合豚?」


「違うわ。シンプルに美人同士が絡んでたから率直な意見を言っただけ」


「美人……」


 なんか椎名さんが座り込んでブツブツ言ってる。


「あんたさぁ。ほんと鈍感」


 何言ってんだ(こいつ)


「は?何言ってんの?俺は人の感情の動きには誰よりも敏感だよ?」


「そゆことじゃないんよ。まぁ、自分で気づきなよ」


 姉はそう言い、暇そうな受付に戻って行った。


「なにをだよ……あ、椎名さん大丈夫?」


 座り込んでいる椎名さんに手を差し出す。


「あ、ありがとう」


「どういたしまして。じゃあ続きしよっか?」


「うん……」


 あと4日、仕上げに入っていこう。

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