遭遇
俺の名前は鷹宮晴人。最近ハマっているものがある。
それは、ざまぁ系のネット小説である。
悪い奴が必ず痛い目にあう、因果応報の展開。見ていてとてもスカッとする。
空いた時間に暇つぶし程度に読んでいたのだが、無料ということもありいつの間にかめちゃくちゃハマっていた。
「そろそろ更新の時間か…」
帰り道、信号の待ち時間にスマホを見ようと鞄のポケットを探る。
「…あれ?ない。…あ」
夏休み前のホームルームで担任教師の話が長すぎたから思わず机の中でスマホいじってたんだった。
「…因果応報」
スマホを取りに、早歩きで教室に向かう。
―――
やっと2階の教室までたどり着いた。
「…藤瀬君!好きです!付き合ってください!」
おっ、告白か。俺は向こうから死角になっているドアの隙間から中の様子を覗く。
告ってる女子は…誰だ?女子の顔なんて分からないから覚えられない。だってみんな同じような髪型してるし。
…告られてるのは、藤瀬皇輝か。
俺の同族嫌悪(性格の悪い奴)レーダーに引っかかっる位、性格の悪い奴だ。イケメンで外面だけはいい。でもそれ位しか分からん。合わないやつとは関わらないのが1番なので奴の詳しい情報は知らん。
と、藤瀬が口を開いた。
「…何言ってんの?」
「え?」
「お前みたいなデブスが僕と付き合えるとかマジで思ってんの?お前が僕らのグループにいられたのは僕が少し優しくしたら良い金ヅルになってくれたからだよ?」
「…ぇ」
「まぁ、いいか。そろそろ目障りだったし、夏休みにお前みたいなデブスがいたら台無しだしね」
「……」
「じゃあね」
やべぇ…想像以上に性格が悪い。俺より性格悪いとか相当だ。
藤瀬は俺の反対側のドアから出ると、そのまま振り向きもせず去っていった。
「…ぅう…」
どうしよう。中に入れない。だって悲しそうな声がさっきから10分位聞こえるんだもん。
…スマホには代えられん!もうどうなっても知らん!
ヤケクソ気味に教室のドアをガラリと開ける。
すると、泣いていた女子の顔がこっちを向いた。
確かに藤瀬の言う通り近くで見ると太っていた。
ん?
実家がダイエットジムだからか、俺は痩せたら顔が良くなるかどうかが分かるようになっていた。嫌な特技だな。
そして、その特技で分かったことはーーーこの子痩せたらめちゃくちゃ可愛くね?という事。
その時、俺の脳内でピースがカチカチとハマり始める。
これは…リアルざまぁが見れるのでは?
「ねぇ、痩せて藤瀬をざまぁしない?」
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