表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の空はより青く  作者: クソクラエス
序章
9/41

午後の調査(2)

 コンクリートでできた階段を下りきると、そこは体育館ぐらいの大きさの空間があった。


「ここが避難所……」


 ところどころ老朽化している壁以外はこれといった損傷はない。おそらくここで物資の受け取りや集会などをする予定だったのだろう。ライトで照らすと細長いテーブルや、ホワイトボードといったものがあるのも分かった。


 だけど一つおかしな点がある。それは……


「ここに人はいたのだろうか……」


 あのような緊急事態があったというのに、人はおろか使用された痕跡が一切見つからないのだ。誰も避難できなかった?じゃあ一体なぜ?もう少し探る必要がある。


「あの、あそこに扉がありませんか?」


 後ろから彼女が暗闇のある一点を指差した。そこに合わせてライトを向けると、確かにそこには扉があった。


「どうして分かった?」


 僕は彼女のほうを見る。こんな一寸先すら見えない暗闇の中で、彼女はいったいどうやって扉を見つけたというのか?


「私、もともと暗視機能が付いているので鮮明にではないですが、ある程度は視ることができるんですよ」


 自分の目を指差しながら彼女は答えた。


「めちゃくちゃハイテクじゃないか」


「ま、まあ……」


 ちょっと照れた様子の彼女だったが、一瞬にして表情が凍り付いた。


「ん?どうし……」


 僕がその理由を聞こうとした瞬間、彼女は僕の口を塞ぎライトを消した。


 視覚を失ってしまい、何が起こったのか全く分からなかったが、彼女の息遣いから普通のことじゃないことが分かる。


 どのくらい経っただろうか。彼女が「もう大丈夫です」と言うと、ライトを付けてくれた。


 明りに照らされた彼女の顔は蒼白して、何か彼女にしか見えないものを見てしまったようだ。


「あの、どうしたんだ……」


 恐る恐る彼女に聞く。


「先に出てからお話しますから」


 彼女はそう言うと、降りてきた方向を指差した。


「……分かった」


 ここにきてやっと自分も第六感ともいえる危機感が働き、彼女の指示通り地上に戻ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ