1.これは夢、終わったこと
これは夢だと分かっていた。
これはとっくに終わったことだった。自分は結局助かることができたのだ。
目の前で炎をあげる三本の柱の四本目に自分はならずに済んだのだ。
「シェリル、お前は神の僕として生まれ変わるのだよ」
そう、自分の肩に手を置いた男が言う。
「はい、修道院長さま」
シェリルは応えた。その自分の声は、その時も夢を見ているように遠く聞こえていた。自分の中で、何かが確実に死んで失われたのが分かった。
(違う……これは夢、夢よ。目を開いて、起きるのよ)
たとえ、すべてが終わり自分が助かったと分かっていても恐ろしかった。この悪夢にとらわれるわけにはいかない。シェリルは目を開いた。
「無実です……!私は何も知りません……!」
「そのような事実はありません……!」
たくさんの女たちが捕らえられて拷問されている。片手だけ縛られてつるされていたり、体を無理に引っ張られ、反らされた姿勢で熱湯を口に注ぎ込まれていたり……目を覆いたくなるような責め苦を負わされているのは、知った顔の女たちだった。
(知らない……!これは私は見ていない……!だめだ、起きなくちゃ……!)
それもシェリルが逃れることのできた地獄だった。拷問を受けている者たちを知っていた。それは修道院の同胞たちだった。この拷問の場面を知るはずがなかった。同胞と同じ運命をたどっていたのなら、話は別だが、だとしたらこうして生きてはいなかった。だから、これは想像だ。
(目を覚まさないと……!これは夢、夢よ……)
そしてシェリルは本当に目を開いた。