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水月53 詩:夕焼けの影 詩:何者かになる
~ 夕焼けの影 ~
夕焼けを浴びて 僕の影が伸びて行く
夕焼けを浴びて 君は影を横たえる
束の間の 他愛ない遊びに夢中になって
僕らは 夕焼けの園に取り残された
そして 僕らと影が曖昧になって行く
日が沈む毎に
~ 何者かになる ~
白昼夢の少女が 午後の窓辺で 空を眺める
もくもくと白い雲が 湧いている
形があるようで無い雲たちが くっついたり離れたり どんよりとしたり雨を降らせたり
カラッと輝いたりギラッと鋭くなったり そして どこかへと消えて行く
いっぱいに水を湛えて 次の空へ散って行くのだろう
ひとりの少女が 午後の窓辺で 雲を掴もうとした
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