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水月44 詩:分裂
~ 分裂 ~
私が私に分化し その記憶も感情も分裂していくたびに
基幹から離れて行く いくつかの感情に気がついた
それらは細々としていて しかし とても先鋭な一種の過剰な神経だった
分裂をするたびに 私は俺になり 僕になり やがて 他者と共有できぬ感情を持つ一つの特異な構造体となった
まだ分裂が間もない頃 余計な感情も痛みも生まれることがなかった太古の私は 生物として切ないほどにその姿を露わにしていただろう
分裂を繰り返して 私達は圧倒的な数の細胞となり 原初の姿を忘れて行くのです