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水月43 詩:人工物の憂い
~ 人工物の憂い ~
人の絶えた電車の裏側に 言葉の余燼が燻っています 誰かを残らず燃やし尽くそうとした燃えさしが まだもうもうと煙を吐いているのでしょうか
綺麗にレイアウトされた電車の内側に 人のモラルがぺたぺたと張り付いています 誰かを弾き出すための装置が 尽きぬ燃料を延々と燃やして あくせく働いているのでしょうか
人の絶えた電車の外側には 燃え尽きた神の恩寵が 御手に掬われる塵だった頃の夢を見ています
外には方舟に収まらなかった奇形の化け物たちが やはり あくせく生きています